前々日横浜でオランジュリー美術館のジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクションを見た。
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今度は、丸の内で山形美術館寄託の吉野石膏コレクションを見る。どちらもルノワールをメインビジュアルに据えたフランス近代絵画コレクションだ。見比べてみるのも面白かろう。
吉野石膏株式会社はBS日テレ「ぶらぶら美術館、博物館」のスポンサーだし、いろんな美術展で貸出の表示を見る。どれほどのコレクションがあるのだろうと気になって調べたら、自社で美術館は持っておらず、山形美術館に作品を寄託している。これまでも各地でコレクション展はあったみたいだが見逃していた。楽しみ。
作品数は72点で、横浜と同じくらいだが、三菱一号館美術館の小さな展示室にとても似合ったアンティミスムな作品が多くて、どの作品も美しく、可愛らしく、伸びやかで、明るく、見ていて安心する、和む、飾っておきたい作品ばかり。
素朴派ルソーの作品が、横浜ではインパクト強いものばかりだったのに対して、こちらではこのおとなしめ風景画1点のみ。
《工場のある町》
激しい画風のスーティンはなく、最後は夢のような美しい色彩のシャガールの大作10点で終わる。後味良し。
《モンマルトルの恋人たち》
赤い猫?
《夢》
愛妻ベラとの死別後に見た夢
《翼のある馬》
アラビアンナイトのリトグラフを油彩に
特に、大展示室には、ルノワール《シュザンヌ・アダン嬢の肖像》とドガ《踊り子たち》とカサット《マリー=ルイーズ・デュラン=リュエルの肖像》の3点が並ぶコーナーがあり、これが圧巻だった。
この3点、いずれもパステルで描かれていて、パステル特有の優しい色調が少女たちの肌や髪や衣装を柔らかく表現していて、可愛らしさ、美しさにうっとりだった。
ルノワール《シュザンヌ・アダン嬢の肖像》は、旧ブリジストン美術館にもあって、こちらはおなじみだったが、今回のはブルーの瞳がより印象的だ。
ドガ《踊り子たち》は、何と言ってもチュチュの色が素晴らしい。
カサット《マリー=ルイーズ・デュラン=リュエルの肖像》は、荒く塗り残した筆致がまたいい。
展覧会(=コレクション)全体の印象は、悪く言えば、無難でアクがない、大衆受けすると若い頃の尖っていた私ならいうかもしれないが、やはりいいものはいい。日曜の午後にゆったりと味わうにふさわしい展覧会だった。
https://mimt.jp/ygc/
印象派などの名品で世界に誇る吉野石膏コレクションは、優しく、親しみやすい作品が多く、フランス近代絵画の流れを一望できるものです。
ルノワールの初期から晩年までの重要な作品、モネの《睡蓮》や、ピサロ、シスレー、セザンヌの詩情豊かな風景画、ルノワール、ドガ、カサットによるパステル画、ピカソの肖像画、国内有数の質と量を誇るシャガールの油彩画など、選りすぐりの72点が一堂に会します。
本展では、石膏ボードでおなじみの大手建材メーカー・吉野石膏株式会社による、珠玉のコレクションを紹介します。
1章 印象派、誕生〜革新へと向かう絵画〜
2章 フォーヴから抽象へ〜モダン・アートの諸相〜
3章エコール・ド・パリ〜前衛と伝統のはざまで〜
ミレー《バター作りの女》
足元にスリスリする猫、入り口に鶏、遠くの草原に羊、牧歌的でいいなぁ。
シスレー《ロワン河沿いの小屋、夕べ》
シスレー死去後、モネが遺族のために追悼オークションを開き、出展された作品
ピサロ《モンフーコーの冬の池、雪の効果》
構図はジャポニズム。筆とナイフ両方を使って雪の表現が見事。惚れ惚れ。
モネ《テムズ河にチャリング・クロス橋》
大学生くらいの男子2名が「これ、すごい!」と歓声を上げていた。そう言えば、私も初めてモネを見たとき、霧に煙る大聖堂の絵にこれが印象派の大気か!と感動したのを思い出す。いいなぁ、若い人!
モネ《睡蓮》
モネは睡蓮は押さえておきたいというのがコレクター。
ルノワール《森の散歩道》
ルノワールらしいふんわりした色と筆致。人物を極端に端に置くのも浮世絵の影響か。
ルノワール《幼年期(ジャック・ガリマールの肖像)》
シュザンヌに続いてルノワールの愛らしい絵。ただし、男の子です。
桃の絵もありましたが、オランジュリーの桃の方が素敵でした。
ルノワール《箒をもつ女》
ルノワールにしては珍しい絵?シスレーの追悼オークションに出品。
セザンヌ《マルセイユ湾、レスタック近郊のサンタリン村を望む》
好きなセザンヌは好きな風景画。
ゴッホ《白い花瓶のバラ》
ゴッホは好きではないのだが、花の絵だけは好き。これも小品ながらゾクゾクした。
ぼってりとした絵の具、暖かい色合いの絵が続きます
ボナール《靴下を履く若い女》
マティス《花とコーヒーカップ》
ヴラマンク《セーヌ河の岸辺》
赤い土と緑の葉のコントラストがパッと目を引く
ブラマンク《花瓶の花》
動きと緊張感
ヴラマンク《村はずれの橋》
セザンヌっぽい。セザンヌに「うねり」が加わった感じ
ミロ《シウラナ村》
ミロのフォーヴ時代か、楽しい風景
キスリング《背中を向けた裸婦》
マン・レイの《アングルのヴァイオリン》を彷彿とさせる。背中の曲線が美しい。
「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」に対して、こちらはルノワールと27人の画家たちでした。
1月20日まで。
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