mixiユーザー(id:2083345)

2019年11月16日23:02

266 view

11/15 ルノワールとパリに恋した12人の画家たち@横浜美術館

駅のエントランスには大きなクリスマスツリーフォト

美術館前の公園の木々は色づいて初冬の趣フォト

フォト
夫が朝会議だけ出勤だったので待ち合わせて行って来ました。この展覧会、副題に「オランジュリー美術館コレクション」となかったら、さらに言えば、これが画商ポール・ギヨームのコレクションと知らなかったら、はるばる横浜まで行かなかったと思う。今更ルノワールでは食指は動かない。ルノワールを冠したのは、一般受けを狙ったのか、出品点数で言えばルノワール8点に対し、スーティン8点、ドランに至っては13点もあり、看板に偽りありの感。まあ、確かにルノワールの《ピアノを弾く少女たち》は素晴らしいが。
フォト

さて、ポール・ギヨーム。この名前を知ったのは、モディリアニの肖像画から。
《新しき水先案内人ポール・ギョームの肖像》フォト
貧しく売れない画家モディリアニの才能を見出し、支えたのが彼。うんと年上だと思っていたら、23歳の時の肖像だって。自動車修理工場勤務時代にアフリカ彫刻仮面と出会ったことをきっかけに前衛芸術家たちとの交流が始まり画商となった変わり種。かの有名な大富豪のコレクターバーンズにも頼りにされていたそうだが、なんと42歳で逝去。
他の画家も肖像を描いている。
ドラン 28歳ごろフォト

ドンケン 39歳ごろフォト

少し気弱そう。背伸びしている感じもする。
展覧会の初めにドラン描くポール肖像と一緒に掲げられていたのが、ドメニカ夫人の像。
フォト
こちらは堂々たる風格、きつそうな女だ。
マリー・ローランサンはたおやかに描いているが。フォト
このドメニカ夫人がなかなかの食わせ者で、夫亡き後、養子をもらい、有名建築家ジャン・ヴァルテルと再婚、コレクションを続ける。ギョームがまだ評価定まらない若き画家を支援したのに対し、ドメニカはそれを売り払って価格安定の大御所作品を購入。この辺りでなんだかなぁ、だが、もっとキナ臭い話が。夫が不審死し、養子との不仲による暗殺未遂の訴訟問題を起こすのだ。コレクションは国家に売却、訴訟問題はうやむやとなり、これには国家と裏取引があったとかなかったとか。まあ、おかげで、素晴らしい作品群が散逸せず、国立の美術館に所蔵されたわけだが。このいきさつは、公式ではかなり控えめに書かれている。
フォト
https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190921-540.html
https://artexhibition.jp/orangerie2019/
横浜美術館開館 30 周年を記念して、オランジュリー美術館所蔵品による「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した 12 人の画家たち」を開催いたします。
パリのセーヌ川岸に建つ、オレンジ温室を改修した瀟洒な佇まいのオランジュリー美術館。画商ポール・ギヨームが基礎を築いた同館所蔵の印象派とエコール・ド・パリの作品群は、ルノワールの傑作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、マティス、ピカソ、モディリアーニらによる名作がそろったヨーロッパ屈指の絵画コレクションです。
ギヨームは若き才能が集まる 20 世紀初頭のパリで画商として活動する一方、自らもコレクターとして作品を収集しました。私邸を美術館にする構想を果たせぬまま彼が若くして世を去った後、そのコレクションはドメニカ夫人により手を加えられていきました。そしてこれらの作品群はギヨームとドメニカの二番目の夫の名を冠した「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」としてフランス国家へ譲渡され、同館で展示されるようになりました。
本展は同館が所蔵する 146点の絵画群のうち 13人の画家による約 70点が、21 年ぶりにまとまって来日する貴重な機会です。コレクションに秘められた物語とともに、世界中の人々に愛され続ける名品の数々をご堪能ください。


展示は、画家毎。シスレー1点、モネ1点、ルノワール8点、セザンヌ5点、ルソー5点、マティス7点、ピカソ6点、モディリアーニ3点、ドンケン1点、ドラン13点、ローランサン5点、ユトリロ6点、ス—ティン8点。

メインビジュアルはルノワールの《ピアノを弾く少女たち》フォト
同じモチーフのものが6点あるそうで、ネットで探した。
オルセー美術館蔵フォト

メトロポリタン美術館蔵フォト
どちらか、あるいは両方、過去に見ているはず。区別がつかない。人気の絵だった証拠。オランジュリーのは、背景がラフにかかれているが、かえってその方がいい感じだ。ちなみに隣にあった《ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》の方が、表情がいい。ピアノも上手そうだし(笑)
フォト

ルノワールは静物画も良かった。
《桃》フォト
セザンヌの直線的な筆致も好きだが、ルノワールの曲線を重ねた筆跡が桃の柔らかさ、瑞々しさを表せていて、いいなぁ。

《花束》フォト
背景の青とのコントラストが素敵。

セザンヌは何と言ってもこれが秀逸。ドミニカが購入。
《りんごとビスケット》フォト

ルソーが面白かった。
《人形を持つ子ども》フォト
以前「子ども展」のメインビジュアルになっていた。なぜか草間彌生を思い出す。

《婚礼》フォト
ツッコミどころ満載。花嫁が宙に浮いたようなのが指摘されるが、花嫁とつないでいる花婿の手がどこから出ているかも気になる。

《ジュニエ爺さんの二輪馬車》フォト
大きな犬と小さすぎる犬、それに抱かれている犬、シュールだ。

マティスは、ギヨームが大量に購入したのに、ドメニカがニース時代の絵を除いて大型作品を売却してしまったそうな。
《若い娘と花瓶》 フォト

《ブドワール(女性の私室)》フォト

ドランは充実
《アルルカンとピエロ》フォト
大きな作品。ピエロはギヨームがモデルだそうだ。

《台所のテーブル》 フォト

《座る画家の姪》(部分)フォト
他に《美しいモデル》など女性像もいい。

《黒い背景のバラ》フォト
でも最も気に入ったのがこれ。なのに2段がけ上段に飾られてみづらい。近くで見たかった。

マリー・ローランサン
《マドモアゼル・シャネルの肖像》フォト 
シャネルは気に入らなく受取拒否、ローランサンは怒って「田舎娘が!」と描き直さなかった。これ、いいけれどなぁ。

スーティン
最後にスーティンが来たのは衝撃的。高校生の時初めて知ってショッキングだったのを覚えている。荒い筆致で屠殺された獣を描く。バーンズがギヨームを通してスーティンを知り、まとまったコレクションができたとか。
《牛肉と仔牛の頭》フォト
 
《七面鳥》フォト

この後コレクション展「東西交流160年の諸相」を見るが、内容が壮大すぎて疲れていたので理解できず、好きな絵だけ見て終えた。
来年1月13日まで。

おまけ
ポール・ギヨームの邸宅の再現模型。食堂と書斎。
フォト 

フォト フォト

フォト 

フォト フォト
ギヨームは邸宅を美術館にする構想を持っていたが、資金援助を依頼したバーンズに「贅沢すぎる」と断られて、仲が悪くなった。

18 9

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年11月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930