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2019年10月07日23:30

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10/6 コートールド美術館展 魅惑の印象派@東京都美術館

名画ばかりの来日、「ぶら美」でも放映したし、日曜日の午後1時はきっと混んでいるはず。入場制限をしていたら、9日で終わってしまう「伊庭靖子展」だけ見て帰ろうと思っていた。術後2ヶ月、まだちゃんと歩ける状態でもないし。
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しかし、行ってみたら空いていた!目玉の絵の前は人だかりができるが、ちょっと待てば前列正面からゆっくり鑑賞できる程度。点数は多くないが、印象派・ポスト印象派が好きな人にはハズレなし、絵画初心者がポイント抑えて鑑賞できるパネルもあり、わかりやすい良い展示。子供も多く来ていたが、私も子供がいたら、きっと連れて行く。
12月半ばまでやっているのできっと11月後半から混んでくるはず。見るなら今がチャンス。

コートールド美術館所蔵品展は1984年に見た気がする。「印象派・後期印象派展」というタイトルだ。当時最も「後期印象派」の画家に夢中になっていた時。当時のチケットやチラシが残っているかと探してみたら、スクラップは1985年から始めていてそれ以前のはなかった。記憶を辿ろうとネットで調べたら、こんな記事があった。
https://blog.goo.ne.jp/k-caravaggio/e/76664dddd94ec6dc22c91dd2a956a0e9
以前に来たものが今回もほとんど来ているのね。

見た事があろうがなかろうが、素晴らしい作品群に感動。60点という少なめの点数もゆっくり味わうにはちょうどいい。章立てとは別に「収集家の目」と題したキャプションでは、セザンヌ、ルノワール、ゴーガンを挙げていた。
コートールド氏の収集の中で最も多いのがセザンヌという。セザンヌ大好きの私にはたまらない。10点全てが素晴らしかった。
ルノワール作品の、全体に流れる詩情、優美さ、人物の愛すべき表情にコートールド氏は魅了されたというが、果たして、選ばれた作品は全てそういったものばかりで、古典主義が前面に出たような(私があまり好きでない)作品はなく、ルノワールって優しくていいなぁと思える作品ばかりだった。
ゴーガンは、ポスト印象派作品として初購入したという。イギリス随一のゴーガンコレクションだそうだ。(私はあまり好きじゃないのでパス)
フォト
展示室のパーテーションや壁の写真なども、コートールド美術館の設えを模して、オシャレだった。Bunkamuraのよう。

https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_courtauld.html

https://courtauld.jp/
フォト
ロンドンにあるコートールド美術館のコレクションから、印象派・ポスト印象派の作品を紹介します。実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションを核に1932年に設立された同館は、美術史や保存修復において世界有数の研究機関であるコートールド美術研究所の展示施設です。本展覧会では、その研究機関としての側面にも注目し、画家の語った言葉や同時代の状況、制作の背景、科学調査により明らかになった制作の過程なども紹介し、作品を読み解いていきます。
日本の風景のようだと語られたファン・ゴッホによるアルルの風景《花咲く桃の木々》、19世紀後半の近代都市パリの風俗を映すルノワールの《桟敷席》やマネの《フォリー=ベルジェールのバー》、科学調査が作品の秘密を解き明かしたゴーガンの《ネヴァーモア》やモディリアーニの《裸婦》などをはじめ、選りすぐりの絵画・彫刻約60点を展示します。

1画家の言葉から読み解く
2時代背景から読み解く
3素材・技法から読み解く

モネ《花瓶》フォト 
最初に胸掴まれたのがこの作品。美しいの一言。
1881年頃に着手したが、ずっとアトリエに放置、1920年に加筆してサロンに出品、売却。40年経って加筆するってすごい。

モネ《秋の効果、アルジャントゥイユ》フォト
美しさで言えばこちらも。奥に見える風景が、近代化を象徴する工場かどうかが話題になっているが、やはり美しいのは黄葉した木々と湖面。アトリエ船に乗って描いたとか。そうそう、ドービニーが船に乗って描く事を初めて、モネも真似したんだよね。

セザンヌ《アヌシー湖》 フォト
セザンヌでは、風景画、静物画、人物画の順に好き。そしてこの風景画にノックアウト。再構築された面と線でできた風景が透き通る。美しいなぁ。

セザンヌ《レ・スール湖、オスニー》フォト
ピサロの影響を受けて、パレットナイフで描く

セザンヌ《ノルマンディーの農場、夏》フォト
セザンヌはもはや印象派ではなく、ポスト印象派に入るのだが、光の揺らめきや風の匂いを感じる絵だ。

セザンヌ《カード遊びをする人》フォト 
解説パネル付き。この題材では、メトロポリタン、バーンズコレクション、オルセー、コートールド、個人蔵の5パターンがあるという。小さい写真があったが、コートールドと個人蔵のが最も完成度が高く良かった。個人蔵は見る機会がないかも。

セザンヌ《キューピットの石膏像のある静物》フォト 
セザンヌらしい、視点がいくつもある構図。コートールド氏はこれを最初に購入したという。セザンヌがぎゅっと詰まった感じ、セザンヌ通でないと買わないかも。

セザンヌ《曲がり道》フォト
晩年体力の低下で未完に終わった作品。色彩や筆の置き方がいかにもセザンヌ。こういうのが見られるのも嬉しい。

おっと、セザンヌばかり紹介してしまった!

フォト
メインビジュアルになったマネの《フォリー=ベルジェールのバー》はもちろん時間をかけて鑑賞。この絵にはたくさん謎が詰まっている。後ろの鏡に映る女性の後ろ姿は位置が不自然、が、それは意図的に描き直したらしい。バーメイドは時に娼婦にもなるらしいが、彼女のぼんやりしたような、あるいは物憂げな表情は何を物語っているのか。鏡にだけ映る男性とはどんな会話を?鏡に映る沢山の客たちで賑わう店内の様子と手前の酒瓶や果物盛り鉢の煌めきが彼女の黒のドレスをさらに引き立てている。ゾクゾクするドレス。

マネ《アルジャントゥイユのセーヌ河岸》フォト
こちらのマネも目を引いた。印象派っぽい筆遣い。色は画像よりはるかに美しく、いい画像がなかったのが残念。

ルノワール《春、シャトゥー》フォト
春の草むらにポツンと少年の後ろ姿。詩情豊かな作品で、気に入ってしまった。モネに似ているけれどやっぱりルノワールのタッチ。

ルノワール《アンブロワーズ・ヴォラールの肖像》フォト
ルノワールは人の表情をとても愛くるしく描く。モデルは、実際は団子鼻で大柄でいかつい風体の画商だというが、目の表情が優しい。だいぶ盛っているかな。

ルノワール《桟敷席》フォト 
こちらもメインビジュアル作品。劇場桟敷席は当時最新のファッションに身を固めた男女が集まるところとして大注目。それを絵画の題材の取り入れたのは先駆的。男は舞台でなく、別の桟敷席(の女性)を見ているだろうし、女は向こうの桟敷席から見られている事を意識している?当時風刺画にもなった桟敷席に物語を与えている。

モディリアーニ《裸婦》(部分)フォト
モディリアーニも大好きな画家。こちらも解説パネルあり。顔と体の描き方を変えて工夫していることなどがわかる。それにしてもデフォルメされた体の線の艶かしさ。目と眉の周辺に入った青色もアンニュイな表情を生み出しているし、乱れた髪はかき上げたばかりの感じ。全体の画像が見つからなくて残念。


自分の好きな画家ばかり、かなり偏ったレポになってすみません。12月15日まで。

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