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2018年12月12日12:00

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12/11 国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア@Bunkamuraザ・ミュージアム

シベリア寒気団が南下して来たかというような寒い寒い日、ロシア絵画の至宝を観にいきました。トレチャコフ美術館のロシア絵画といえば同じ Bunkamuraで9年前に見た展覧会が忘れられない。

日記
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1151060639&owner_id=2083345

「忘れえぬロシア」展ではロシアの近代美術史の観点から構成されていたので予備知識なく難しかったが、今回は制作年代や流派関係なく、題材別になっていて純粋に1点1点を楽しめた。相変わらずロシア人の名前は覚えづらいが、レーピン(レーピン展の日記)に加え、海のアイヴァゾフスキー、森のシーシキン、そして女のクラムスコイは覚えておこうと思う。
特にアイヴァゾフスキーの波の表現は素晴らしく、現在東京富士美術館で大作《第九の怒涛》《大洪水》が展示されているとのこと(「ロシア絵画の至宝展」12月24日まで)。見に行きたいが、遠いので夫が首を縦に振らない。年末の忙しい時で一人ではいかないと思うので見送ることになって残念。
会場は空いていて、観覧者もマナー良く黙って鑑賞、終始静かで作品リストの紙の音しか聞こえなかった。久しぶりに気持ちよかった。1時間半強。
展覧会マスコットはチェブラーシカ。亡くなった友人が大好きだったのを思い出す。
フォト
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_russia/

 ロシア美術の殿堂、国立トレチャコフ美術館のコレクションより、19世紀後半から20世紀初頭に描かれた名作が来日する。
 国立トレチャコフ美術館は12世紀の貴重なイコンに始まる約20万点を所蔵。 創設者のパーヴェル・トレチャコフは生涯をかけて「ロシアの芸術家によるロシア美術のための美術館」に取り組み、アカデミーの潮流のみにとらわれず、確固とした信念に基づいてコレクションを充実させた。また、イリヤ・レーピン、イワン・クラムスコイ、ワシーリー・ペローフらの支援にも努めた。
 ロシアの画家たちが白樺や樫の木の深い森、雪に覆われた大平原、長い冬が終わり樹木や草花が芽吹く春などにロマンを見出し、自然を題材とした絵画を多く描くようになったのは19世紀後半のこと。ロシア帝国が崩壊し、やがてロシア革命を迎える激動の時代であった。芽生えはじめていた郷土愛とともに、当時のロシアの複雑な社会、同時代を生き抜いた人々も作品に登場する。
 自然や人々の姿から、激動のロシアをありのままに伝える本展は、国立トレチャコフ美術館のコレクションから選りすぐった72点を展示。近年注目を集めるクラムスコイらによる「移動派」の作品と、20世紀初頭に印象派の手法を用いた画家たちの作品を中心に紹介する。
 名作《忘れえぬ女(ひと)》をはじめ、同じくクラムスコイによる、麗人をテーマにした神秘的な作品《月明かりの夜》は見どころのひとつ。深い森に吸い込まれるかのようなイワン・シーシキンの《雨の樫林》、雪で真っ白に覆われた樹木が透き通った大気を感じさせるワシーリー・バクシェーエフの《樹氷》など、ロシアの自然を描いた風景画も必見だ。

第1章 ロマンティックな風景
 春/夏/秋/冬
第2章 ロシアの人々
 ロシアの魂/女性たち
第3章 子供の世界
第4章 都市と生活
 都市の風景/日常と祝祭

ヴェレシャーキン《アラタウ山にて》フォト
奥行き感が素晴らしい

アイヴァゾフスキー《海岸、別れ》フォト
海に出る漁師と家族の別れのシーンが朝焼けの美しい色にジーンとくる

アイヴァゾフスキー《嵐の海》 フォト
これまでも多くの海洋画を見て来たが、海の色、波の形が天下一品!この人の作品をもっと見たいな。

シーシキン《正午、モスクワ郊外》フォト
シーシキンの風景画はただの風景だけでなく、物語や情感を感じる。他の画家の絵と並んでいて、「お、いいな!」と名前を見ると必ずシーシキンだった。

シーシキン《松林の朝》フォト
本展展示はラフに描かれた習作の方で、こちらが同美術館所蔵の本画。熊の親子の愛情、感じる。本画をいつか見たい。

ミャソエードフ《秋の朝》フォト
美しい写実絵画。ロシアの春夏秋冬では、夏の作品が一番多く、冬が少なかった。北の人は短い夏を謳歌するのよね。

クラムスコイ《花瓶のフロックス》フォト
もし1点もらえるなら断然これ!たとえこの展覧会に《忘れえぬ女》や《月明かりの夜》が来てなくても、これがあっただけで満足しただろうと思う。

レーピン《画家イワン・クラムスコイの肖像》フォト
クラムスコイとレーピンは盟友

レーピン《ピアニスト・指揮者・作曲家アントン・ルビンシュテインの肖像》フォト
人物の内面が感じ取れる

マコフスキー《自画像》フォト
レーピン描くクラムスコイと同様、画家は鋭い目をしている

クラムスコイ《月明かりの夜》フォト
月に光に照らされてひとり物思いに耽る女性…大作、幻想的だ。女性の目、よく見ると物思いに耽るのではなく、何かを考え、考え抜いて、確信し、決断を下したような強い眼差しをしている。頭からかぶるレースも美しい。

クラムスコイ《忘れえぬ女》フォト
クラムスコイの描く女性はいずれも強い目をしている。モデルは高級娼婦だという説もあるが、私は黒い服のせいか(喪服ではないのに)未亡人のような印象を受ける。一人で生きていかなければならない女の決心、強さみたいな…

ステパーノフ《鶴が飛んでいく》フォト
鶴の群れが南へ飛んでいくのは短い夏が終わり、やがて厳しい冬がやってくる兆し。それまで遊んでいた子供達の視線の先に哀愁を感じる。とても気に入った作品。

ヴィノグラードフ《家で》フォト
おさげで黒タイツ姿は少女の定番。かわいいな。

コマロフ《ワーリャ・ホダセーヴィチの肖像》フォト
遠目で見たらかわいい絵だが、少女の表情は屈託ないというより気難しくて賢そう。全体にかわいい絵に見えるのは、横長の画面と少女の赤い服、人形の赤い帽子のせい。

カルドフスカヤ《少女と矢車菊》フォト
女流画家。メアリー・カサットを連想させる。木漏れ日がいい。

コローヴィン《小舟にて》フォト
小舟でこの構図といえば印象派、当然影響はあっただろう。

マクシーモフ《嫁入り道具の仕立て》フォト 
嫁ぐ姉のため、妹たちが集まってドレスを縫っている。話し込む弟と後ろ姿の妹や姉の顔を見上げる末の妹はいいとしても、縫い物をしながら何かをチラと睨む中央の妹、両手を頭で組む嫁入りする本人、後ろの女性、どんな気持ちなのか、どんな物語があるのか知りたくなる絵。(余談、画像ではわからないが、右下にとてもブサイクな猫がいた)

マコフスキー《大通りにて》フォト
こちらには物語の解説があった。出稼ぎに出た夫に会いに来た妻と乳飲み子は当惑したような悲しい表情、隣でアコーディオンを引く夫は飽き飽きした様子、家庭崩壊の始まり、だそうだ。夫は稼いだお金をウオッカにつぎ込んでしまったのかな。

1月27日まで


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