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2018年11月13日12:43

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11/11 京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ@東京国立博物館

久しぶりの休日。どこの美術館へ行こうか、迷った挙句東博に決定。「ぶらぶら美術館・博物館」で予習したばかりし、東洋館で開催中の「斉白石展」も見たかったのでちょうど良い。行楽日和の上野公園は賑わっている。シャンシャンもフェルメールもルーベンスもあるからね。東博が一番空いていたのではないかしら。
昨年「運慶展」を見た。それから、最近では半蔵門ミュージアムにも行った。
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運慶を見たからには、快慶も見なければ、である。
仏師三大流派のひとつ慶派の中で運慶と快慶は兄弟弟子、彼らの頃から目には玉を使うようになってリアルさが増し、武士の世になり、彫りも力強く躍動的で、人間味が出る。
快慶の弟子が行慶で、行慶と同時代の慶派仏師が肥後の定慶。「快慶、行慶、肥後定慶(カイケイ、ギョウケイ、ヒゴジョウケイ)」は「sin,cos,tan」みたいで覚えやすい(笑)
平成館の企画展示室は二つ、いつもはどちらも使うが、今回は、右が「快慶・定慶のみほとけ」展で、左が「マルセル・デュシャンと日本美術」展、つまり、いつもの半分の量。これなら体力なしの私でも東洋館に行く余力はある。東博の○○寺展は、割と混むのだが今回は量が少ないせいか、日曜日でもあまり混んでいなかった。仏像と向き合うにはその方がいい。
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1914
https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/
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京都市上京区に所在する大報恩寺は、鎌倉時代初期に開創された古刹です。釈迦如来坐像をご本尊とし、千本釈迦堂の通称で親しまれています。本展では、大報恩寺の秘仏本尊で、快慶の弟子、行快作の釈迦如来坐像、快慶作の十大弟子立像、運慶の弟子で、行快とほぼ同じ世代である肥後定慶作の六観音菩薩像など、大報恩寺に伝わる鎌倉彫刻の名品の数々を展示いたします。

大報恩寺の歴史と寺宝−大報恩寺と北野経王堂
聖地の創出―釈迦信仰の隆盛
六観音菩薩像と肥後定慶


大報恩寺は通称千本釈迦堂、北野天満宮のすぐそば。学生時代の京都旅行はいつも北野天満宮のお参りから始まっていたので、多分行っているはず。あまりに昔のことなので覚えていない(笑

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行慶作の釈迦如来坐像をチーム快慶作の十大弟子立像が取り囲むような配置は伽藍をイメージ。いつもながらに東博のライティングは美しく、ドラマチック。釈迦如来の光背の影が床に落ちて綺麗、でも人々がそれに気づかず踏んづけているよ。釈迦如来坐像の金箔は綺麗に残っている。眉やつり上がった目の輪郭線もすっと伸びている。それに比べ十大弟子の方はところどころ彩色が残っている程度なので、余計に肋骨や血管、衣の襞が目立つ。

さて、鑑賞するにあたって、「ぶら美」を見るのと見ないのとでは大違いだった。快慶の特徴、行慶の特徴までは会場キャプションにあるが、「チーム快慶」の中の快慶作と快慶一門作、運慶一門作の見分け方(特徴)の解説はない。
ぶら美によると、頭がゴツゴツとした弟子が4体、頭が丸い弟子が6体あり、作風が違う。前者が兄弟子運慶一門の作、後者が快慶一門の作とのこと。運慶一門の作風は人間臭く一瞬の表情を捉えている感じで、快慶一門の方はいかにも理想的な仏像、優美だ。衣の裾もくるぶしまでの実用的な長さと、引きずっている優美な長さの違いがある。
さらにマニアックなところでは、耳の中の軟骨だって。チーム快慶の中でも、軟骨の先が前を向いているのは快慶系で、上を向いているのは行慶系。まさかそんなところで違いを見るとは。帰宅後再び録画を見て確認。こういう予習も鑑賞の楽しみではあるね。

快慶自刻とされているのは目犍連立像。痩せていて猫背で膝も曲がっているので横から見ると他と全然違う、一番年寄りみたいだが、眼光鋭く腕の血管が浮き出てリアル。
行慶と快慶、師弟の銘があるのは優波離立像。こちらは一瞬の表情の捉え方がうまい。
私が一番好きだったのは、阿那律立像。「天眼第一の弟子」で盲目だが心の目で見通せる。頭は丸く、衣の裾も長めの快慶一門(あれ、耳はどうだったかな)、物静かで徳のある印象。7人の弟子は衣の片肌を脱いでいるが、阿那律含め3人は衣が胸で合わさっている。だから衣の襞も左右対称で優美。

大報恩寺には、天王と5体の羅刹立像があるが、この羅刹たち(六道の夜叉か四天王の眷属か)がコミカルに踊っていて面白い。手が取れたものがほとんどなのでどんなポーズをとっているかわからないが、太腿やふくらはぎの筋肉がいかにも鎌倉彫刻といった感じ。

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最後の部屋はチーム肥後定慶の六観音菩薩像。
如意輪観音−天道、准胝観音−人道、十一面観音−阿修羅道、馬頭観音−畜生道、千手観音—餓鬼道、聖観音−地獄道、といった具合に、六道それぞれを救ってくださる観音信仰があるそうだ。6体完存は珍しいらしい。10月30日より光背を外して背中も見られるようになっている。普段見せない後ろも手抜かりなく美しく彫り込んでいるのを見せる美術館の配慮。テレビではまだ光背を外していなかったが、そちらの方が影も美しく見たかったかも。
チーム定慶の中でも、准胝観音は定慶自刻というだけあって、ぶら美で言っていたように十六本の手のつき方が妙で、どの角度から見ても美しかった。髷の垂れ方や衣の裾の跳ね具合も流麗で、他の観音さまの方がやや硬い。腰のあたりのリボン結びもいいね。
写真撮影可は、聖観音のみ。
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ぶら美のおかげでポイント押さえながらゆっくり見られた。12月9日まで。

平成館ラウンジの入り口にTOTOの便器が!
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デュシャンの便器作品レディメイドができた年と日本初の陶器製水洗便器ができた年が奇しくも同じだと。これは日本初の水洗便器ですって。


本館の特別展示、下村観山の《白狐》と《修羅道絵巻》はよかった。
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先頃みた狩野芳崖の《山水》はサーキュラススペーシングの構図で復習。
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余力を残して「斉白石」の展示へ急ぐ。フォト



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