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2020年09月26日23:19
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河内見聞記�� 54 幻の東北旅行
我家の裏山は秋のよそおい。
菅内閣が発足し、新しい時代が始まった気分になってきた。「令和」のときはちっとも変化を感じなかったが、何かが変わりそうと思うのは自分だけであろうか？ただし、当然ながら良い方向ばかりとは限らない。新聞、テレビではいろんな識者が安倍政権を振り返って語っているが、一つだけ心に残ったものがある。それは京大名誉教授・佐伯啓思さんの次の言葉である。曰く、最高の地位にある政治家は最高の「行政官」であり、身を粉にして仕事をしなければならない。人々もそれを求める。だが、政治家とはそもそも世界状況を読み、その中で国家の長期的な方向を示すべき存在でもある。「旗」をたて、その旗のもとに結集すべく人々を説得する「指揮官」でもある、と。私も同感であり、長期政権とは言うものの人口減少やエネルギー政策等々、日本丸の方向性を定めたとは言い難い。
さてタイトルのとおり、今週予定した東北旅行は実現しなかった。突如発生した台風がまさに旅立ちの日、東、北日本に最接近したのである。これぞ神風の真逆の風と呼ばずして何と呼ぼうか？発生直後から大型を予想され、10号並みの被害とも言われ、旅立ちの前日、航空会社は無償での予約変更、払い戻しを発表する事態となったのである。台風シーズンの旅行は何度もしてきたが、解約に至ったのは初めてだ。なんとも残念ではあるが、天変地異には勝てない。捲土重来、次の機会を待つことにせざるを得ないと、気分を切り替えて来たここ数日である。ただ気分的にはもう、小休止のあとを見据えている。
それでと言ってはなんだが、7年前初めて行った東北旅行、今回とは反対の東東北への旅を回想してみた。2013年、黄金週間の直後に仙台空港から宮城、岩手、青森までのドライブ旅行を楽しんでいた。
日本三景の一つ松島は、宮島になじみ深い私としては、少年のころからの憧れであった。30代で天橋立を訪ねた私としては、早く行きたい思いの強い場所でこのときやっと念願叶ったわけだ。そのとき海辺の通りを歩いていて、ふと2年前の2011年の東北大震災の際の津波の痕跡に遭遇し、改めて我がこととして天災を身をもって感じた。近くに有った伊達家の菩提寺では、永らくその名に接しただけの伊達政宗公の人物を間近に感ずることができた。
次の旅のお目当ては、中尊寺。北上川沿いの高速を離れ、小高い丘に参道がのび、木立ちの中を登ると、仏教建築が散在している。松尾芭蕉の碑があり、時代は大きく異なるものの、参拝者としての立場の共感にひととき喜びを感じた。
旅の終着は青森市だった。ドイツで知り合った旧友と30年振りの再会を果たすことができたのもそのとき。棟方志功記念館、縄文時代の三内丸山遺跡、ねぶた伝承施設などを巡った思い出深い訪問となった。5月の青森は丁度桜の満開の季節、しかし遺跡の背後に見えた岩木山の白い雪は、非常に印象的であった。
青森からは新幹線で仙台まで戻った。駅前で牛タンの店を探したが、多数あって探しあぐねたのが昨日のことのように思い出される。
（おわり）
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