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2020年07月18日17:48
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河内見聞記�� 42 ドナウ河畔で一番好きな町・Passau（完）
写真：城山近くの道端で見かけた野草の花
ドイツの川と言えばライン川が先ず思い浮かぶだろう。私にしても、最初に踏んだ土地はデュッセルドルフであるし、その日のうちに入った宿も、当時の会社の事務所もライン川沿いにあったのだ。その後仕事で何度も通ったハイデルベルグへの移動も、常に国鉄で、有名なローレライの伝説の場所を含むラインの景色を楽しめる行程なのである。だが、そういう私が到着早々ドイツ語の研修のため滞在したのはなんとドナウ河畔の麗しき歴史ある町、パッサウだったのである。そこで二か月滞在したので、ドナウの良さを、ライン川を知る前に体験しているのである。その期間中に鉄道で二時間少々のウイーンへ行き、かの地のドナウも見ている。もっともウイーンのドナウは景観的にはもう一つで、ほとんど記憶にないが。
ところでドイツ人にとっては、ラインこそ「父なるライン」と呼ばれ、彼らの心の故郷でもある。ドナウとなると地方の川で、オーストリア以後の川沿いの民族が抱くような「ドナウ意識」はないようである。それよりミュンヘンを貫くイザール川やアルプスの尾根から流れるイン川が親しまれている。
（１）で書いたように初日は、かつて住み、歩いた道を辿ってバスターミナル、語学学校、パッサウ大学、イン川沿いの遊歩道をホテルまで歩いた。その後旧市街を大聖堂からドナウの川岸を丁度城山の正面まで散策し、夕食を摂っている。
クルーズ船が停泊している辺りのレストランで、ドイツ料理の定番・シュバイネハクセ（豚の煮込み）、クネーデル（団子）、ザワークラウト（酸っぱいキャベツ煮）を食べながら、南独独特のヴァイツェンビールを何杯も飲んだのは一年前の7月5日。一年後今日のコロナ禍を誰が予想しえたであろうか？
昨年の日記では翌日レンタカーで城山とイン川側の教会へ行ったとある。その後は詳述されていないが、勿論記憶にはしっかり残っている。借りた車にはナビが付いており、オーストリアの国境まで２，３Km。更に１０Kmほど行くと右折してイン川を渡り、ドイツに戻れそうだったので、そちらへ向かった。国境には予想通り何もなかった。元々兄弟のような両国、文化も言葉も同じで通り過ぎる村々も同じに見える。イン川に架かる橋を渡り終わったとき先行車が何台か路肩へ停車しつつあった。ドイツの警察の取り締まりだった。別にヤマシイところはなかったが、何せ30年振りの運転で、その日の5時間くらいの運転中緊張していたのがまざまざと思い出される。因みに免許証は1980年に頂いたものが終生使えると聞いてきたが、先年法改正で数年後に更新手続きが行われるそうだ。従って20代の青年の写真が貼ってある。似ても似つかぬ顔と体形、おっと体形はない。笑
最後の日は、一転曇天に。昼頃まで時間があったので、今度は大聖堂を見ながらイン川の川岸を下り三角形の先端、ドナウとインの合流地点へ行ってみた。そこには大勢の旅行客が屯していた。見ると我が同胞かと思えたが、聞くと名にし負う「大声の民族」であった。ガイドらしい人と英語で会話ができた。上海からの御一行様のようで、ウイーンからパッサウ、さらにブダペストまでの川の旅とのことだった。なかなかこだわりの旅じゃないかと肯定的に評価していたような気がする。
都会の喧騒などない、別世界のような国境沿いの田舎町。30年以上の時を越えて当時の面影を探った二泊三日の旅だった。当時の人々はだれもいないのが僅かに寂しさを感じさせはしたものの、ひとときでも40年前の余韻を感じることができた。一年前のあの感覚を今又、時空を超えて感じている、これまた至福のひとときと言える。 （完）
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