閏2月も明後日でおしまい。前に見える竹林も、ベランダ越しに見える梅の木も例年の移ろいと一見なんら変わらない。一月前に書いたように、ただ植物たちは正しく日にちの勘定ができていないだけ。木々の営みに関係ないでしょと、反論の声も聞こえる。元はと言えば温暖化なる人類のもたらした愚行によるが、逆に人から嘲笑を受けている。可哀そうに。。
前回のうるう年にふと思いが跳ぶ。2016年の1月ハノイで住宅問題に遭遇し、ホーチミン市の学校に職場を換えたころだ。授業で生徒たちに、2月29日生まれの人の誕生日の祝い方、4年に1回しか祝わないはずはないが、前日、翌日、又は週末？初級の彼らではあるが、こういうハマったテーマには正しく言えないながら、考え、語ろうとする人間の普遍的な性を垣間見た記憶がある。
先日新聞に、故郷広島の聖火リレーの概説を見つけた。今列島を南から順に連載でコースの詳細、トピックなどが記載されている。各県どうやら2日を割り当てられ、主だった場所を廻るようだが、コース決め、ランナー選定、時間決め等、地方に任せてやっているように見える。結構なことだ。
私は1964年には小学6年生だった。昨年55年ぶりにクラス会を行い、記念写真の共有に誰からともなくＬＩＮＥグループを作り、ときどきチャットを楽しんでいる。その記事の写真をアップし、誰か走る人いない？と投げてみた。たちまち当時の話題になって、会話が弾んだのである。当時の写真があって、自分が写っていたり、しまいに同じ場所で写真を撮ろうと提案がでたり。。
広島での話題は、厳島神社のある廿日市市を出発し、平和公園という二つの世界遺産を巡り、その日ＩＯＣのバッハ会長が訪れる予定だとか。近年ではオバマ大統領、ローマ教皇に次ぐ大物の来広となる。二つ目は、東京大会で最終走者を務めたのは坂井義則さんで、彼は早稲田の陸上選手、原爆記念日・45年8月6日生まれというのはよく聞く話。その坂井さんは県北の三次市出身で、もう一つのコースはそこを出発点にしている点である。自ら当時、国道2号線で旗を振っていたというので、俄然オリンピックそのものも更に身近なものになってきた。
不要不急の外出を控え、潤沢な自由時間にする新しい楽しみの一つには、読書を先ず選んだ。ある一日かけて、書棚とにらめっこ。まだ全部読めていないシリーズものが目に留まった。「ローマ人の物語」である。確か17巻あり、単行本を11巻分保有しているが、読んだのはシミなどの外見から判断するに第4巻までだ。イタリア赴任の前後に読んだ記憶だが、後日読もうとそのままになっている。何せ厚いのは一冊500頁ある。ローマ在住の作家・塩野七三さんの書、「何故ローマ人だけがあれほどの大を成すことができたか」、それを明かそうという壮大な試みと巻頭にあり、それを垣間見てみようという、小さな試みを企てたのである。
巷にはオリンピックをやるやらないという、ＩＯＣや東京都、現内閣の関係者を巻き込んだ小さなさざ波も立っている。これひとえに、いまだ見えぬ新型ウイルスとの闘い次第であるが、半月ほどの国を挙げての忍耐勝負で見えてくるという見立て自体、ほんまかいな？と思う。ゆめゆめ敵を甘く見てはいけない。まだ正体はその欠片も見いだせてないのだ。
写真左：1964年、広島県廿日市市を走る聖火と応援する私たち
右：5月に予定されている広島の聖火リレー記事（朝日新聞より）
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