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2019年10月14日17:35
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シュヴァーベン日記��. 10 新ドイツ紀行10 マイセン 下
長崎での学生時代、一人で佐賀県の有田を訪ねたことがある。そのときの印象が良かったので、90年代に家族と西九州を廻ったとき呼子や名護屋と共に再訪している。山あいの小さな町に小川が流れていた。マイセンは地形がとてもよく似た町だった。
そのペンションは若い快活そうな夫婦できりもみしている宿で、とても気持ちのいい対応だった。鍵をもらって、何もなければ翌朝7時から朝食を食べて、良い旅をねと言ってくれて別れた。同じ建物の上部に住んでいるとのことだった。玄関の前にバス通り、前方にバス停が見え、その向こうにトリビッシュというエルベの支流が流れている。その川がなんと澄んだ清流だった。ドイツで清流を見ようと思えば山間部に行かないと見られない。そこも地名にトリビッシュタールと谷を意味するタールが付いている。両側に緑の林が続いていた。あの有田の地形にとても似ている。
それから川沿いをしばらく歩き、左に折れて真っすぐ行くと先ほどのバス通りに戻り、10分ほど歩くと、国立マイセン磁器製作所が右手に現れた。工場と思しき建物群と見るからにショールームのありそうな大きなガラス窓のある建物があって、入り口を入って行った。すぐ受付があり、見物したいというと、急いで今のグループに間に合うからと、チケットと日本語で説明をするレコーダーを渡された。それから案内が始まり、いくつかの磁器製造工程を見て回った。粘土から成形をしたり、飾りを付けたり、絵付けをしたりする複数の行程である。20分ほどでショウ―ルームと売店のスペースへ。
マイセンは高級品のイメージだが、値をみるととても手が出ないものが多い。コスパの高いものを集めたコーナーがあって、コーヒーカップ、花瓶、お皿などを購入した。後日談だが、日本の人たちは随分喜んでくれた。今は高級ブランドで通っているが、ドレスデンの宮殿の博物館で見たように、元々は東洋の陶磁器にあこがれたザクセン候が命じて自前の白磁を作らせたもので300年程度の歴史しかない。手本とされた中国・景徳鎮などは漢代以来というから比較はできない。しかし今日の価値をもたらしたブランド戦略は大いに評価されていいのだろう。
それからバスで中心に向かい、アルブレヒト城と大聖堂が並び立つ小さな丘に登った。城に入って3階まで上り、窓から外を眺めると、エルベ川が正面に大きく見えた。手前のオレンジ色の屋根の旧市街と対岸の新市街の白っぽい建物のコントラストがはっきり感じ取れたものだ。
有田は焼き物以外に思いつかないが、同じような地形のマイセンは城もあるし大聖堂もある。観光地としては、とても恵まれていると思われる。日本人など飛びつきそうな、ドレスデンからマイセン路だが、まだ十分知れ渡っておらず、これからもっと人を呼べる地域になるだろうと思った。（完）
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