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2015年04月01日02:44

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「バードマン あるいは(未知がもたらす予期せぬ奇跡)」

アメコミのヒーロー役でかつて一世を風靡した映画俳優が
再起をかけ、今度は必死になってブロードウェイ舞台での成功を狙う姿を描く
繊細なコメディタッチの人間ドラマ、またはダークファタジー映画。
監督は「バベル」「21グラム」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
主演は「バットマン」シリーズのマイケル・キートン。
第87回アカデミー賞で9部門にノミネートされ作品賞、監督賞を含む4部門を受賞した。

俳優リーガン・トムソンはイラ立っていた。
かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」の主役で世界的な人気を博したが、
今は小汚い屋根裏部屋の楽屋で下稽古のタイミング待ちだ。しかも、
公演のチケットは売れているし、契約はあるし、自分が共同主催者なのに、
初日が決まっているにも関わらず配役の一人が突然の降板、おまけに
代役もなかなか決まらない。
リーガンはイラ立ちのあまり、部屋にある調度品を手当たり次第投げて壊し始めた。
手を使わずに。
レイモンド・カーバーの小説「愛について語るときに我々の語ること」を
自ら脚色し、演出も主演も兼ねて、一世一代の大舞台にして何とか巻き返したいのだ。
やっとの事、代役に実力派俳優マイク・シャイナーが捕まり契約を取り付けて
喜んだのも束の間、スタンドプレイで自分ばかりが注目されようとするマイクに
怒りをぶつけ、関係も悪化。娘のサムとの溝も深まる一方。
何とかゲネを終え、舞台の初日前夜、バーで会ったのは大物演劇批評家・タビサ。
うまく取り入ろうとするが全く相手にされず、
「史上最悪の批評を書くわ。舞台を潰してやる」と宣言されてしまう。
周りの不協和音で、徐々に、徐々に精神的に追い詰められていくリーガン。
そして、遂に……。

主人公を演じたマイケル・キートンはティム・バートンの「バットマン」で
実際に一世風靡しているので、現実にダブった面白さがある。
第三者視点というか、ずっと主人公を追いかけるカメラはほとんどワンカットで
撮影が続く。うまいと思ったらカメラのエマニュエル・ルベツキは
「ゼロ・グラビティ」を撮影した人だった。
でも、一番すごいのは開き直って楽屋から歩いて出てくるところ。
写メや動画のネットアップもものともせず驚きのまなざしのみんなの前を闊歩する、
かっこ悪いシーンがカッコいい!! 

心の解放がテーマになっていると私は思う。
バードマンや超能力のシーン(いくつかあるが実際観て現実との境界を確かめて欲しい)を
願望や妄想とみることもできるし、実際に能力を秘めた超人が、
何とか人間社会に溶け込んで暮らそうと苦悩しているともとれる。
ヒーローの私生活がけちんけちょんというコントネタを見たことがあるが
その路線なのかもしれない。

如何に解釈するかで、作品のイメージが全く変わる不思議なテイストの映画なのだ。

監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 、 ニコラス・ヒアコボーネ 、
    アレクサンダー・ディネラリス・Jr. 、 アルマンド・ボー
撮影 エマニュエル・ルベツキ
美術 ケヴィン・トンプソン
音楽 ホセ・アントニオ・サンチェス
編集 ダグラス・クライズ 、 スティーヴン・ミリオン
衣裳デザイン アルバート・ウォルスキー
出演 マイケル・キートン ザック・ガリフィアナキス エドワード・ノートン
   アンドレア・ライズボロー エイミー・ライアン エマ・ストーン
   ナオミ・ワッツ リンゼイ・ダンカン メリット・ウェヴァー
   ジェレミー・シェイモス ビル・キャンプ ダミアン・ヤング

4月10日よりあなたの心にも「バードマン」がいるなら観に行って一緒に翔べ!!

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