先日、１０月１４日の記事（岸田劉生展）で触れました通り、今日、国立新美術館にて独立展、二紀展を見てきました。上野公園の会場からこちらへ移ってもう何年になるのでしょうか。最初は、やはりこういう展覧会は上野の緑に囲まれた所で見たい、と思ったものですが、慣れというのはおそろしいもので、あまりそんなふうに思わなくなってしまったのが寂しいです。
例年通り、というか例によって、というのがふさわしいイベントです。
昨年は少し遅れて１１月３日の記事で次のように書いていました。お名前を挙げている４人の方はご縁のあった方や興味を抱いた方です。
［以下引用］
独立展の世利さんはいよいよ青の世界に沈潜し、具体から抽象へ向かうのかというような作品であった。
二紀展の吉岡さん、佐藤さん、柏木さんの作品もそれぞれ印象に残った。柏木さんは摩訶不思議な「足」の絵で、おお、マジカル柏木の復活！ と思ったのでした。
［引用終り］
今年の世利さんはふたたび抽象から具象へ。コバルト・ブルーの界からブルーの界へ。丁寧に重ねて塗るよりも墨絵風に黒の筆跡でアクセントをつけるような描き方でした。世利さんのほか、独立展には何人かおなじみの作者の方がおられますが、今年もまたおなじみの作風でありました、ということで紹介略。
吉岡さんの作品は展示室に入るやいなや、ああ、あそこに吉岡さんがいるよ！と瞬時にわかるものでした。いかにも吉岡さんの作品で、もしかしてこの絵はすでに何処かで見たのでは？ という感なきにしもあらず。佐藤さんの作品もいかにも佐藤さんでしたが、今年は淡いブルーを基調としてほとんどモノトーンの場末の工場のスケッチ。絵の真ん中近くに一筆だけ紅が入っていて、それが工場の奥のあたりにあたるのですが、なお工場の火は消えていないのかと思わせ、廃墟のように見えながらうっすらと人の気配を感じさせたりもする画面でした。柏木さんは今年はアイデア勝負の作品で、６、７枚の絵を大きな額縁内にコラージュ風に配したものでした。配された作品の中にはいかにも柏木さんという感じのケッタイな絵もあるのですが、この全体の構成はちょっとアイデア倒れだったか…？
独立展も二紀展もあまたの展示室にあまたの絵が（二紀展は彫刻も）展示されていて、時に絵の圧に押されて「絵に酔う」といった感じになることもあるのですが、今日は大丈夫でした。こちらに相応のパワーがあったのか、あるいはこちらが鈍感だったのか。ま、その双方ならむ。
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