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2020年01月24日23:30

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聖域

「申し訳ありません。 至急ルイン様に伝えたいことがあると、その…ライオット王子が…」


泣きそうなほど歪んでいる表情。  私を守るのが彼女の仕事ですが そこへ、隣国の王子から火急の用と言われてしまえばどちらを優先していいかわからないのでしょうね。最悪の場合、王子か私の不興、どちらかを買うことになるわけですし。


「教えてくれてありがとう。至急通していただけますか」
 そんな心情を思い、努めて優しい声音を出した。


所詮組織に属している以上はその方針に従わねばなりません。  ラナさんみたいな中間管理職が大変なのは分かってますから。



個人の考えをどうこう言うつもりはない…けど、普遍的な価値観でない以上 それにより迷惑をかけておきながら一言もなく 更には逆ギレされるのは止めて欲しい。

私はライオット王子が聖女にしたことを調べましたし、聖女本人からも伺っております。


「わざわざの足労大儀です。 どうされましたか?」


ライオット王子との面会の翌日 元聖女様がいらしました。



異世界人なんて呼んだ隣国には次元震が襲い、空間に落ちた人の親族はめっさ怒っており、民衆の支持を得た私は 口封じされず、忠誠心もなくなった彼女から教えてくれた王宮の隠された通路を使って隣国に攻め込み、聖女の理不尽極まりない防御結界で 犠牲者を出すことなく落とすことに成功しました。


その報酬として隣国の一部の所有権と聖女様をバトラス王から直接認められました。


海洋国家である隣国の一部を手に入れたのは南区としては大きな利益でしたが、既に国の一部が崩落しているため まずは民間人の救助となり忙しい時期が続きました。


巫女が行うのはあくまで奉仕活動です。
その場で困っている者には手を差し伸べますが、その者の生活が改善されるような選択肢は与えません。具体的に例をあげるなら、お金を稼げる仕事を斡旋する、食べ物を作れる畑を与える、とかまではしないのです。 何故か。市民の生活が教会ではなく領主の管轄だからです。表向きは…ね。


実際は適度に苦しんで貰わなければ信仰されなくなるから。困った時の神頼みとはよく言ったものです。満たされてしまえば神など必要とされなくなりますからね。 言い方は悪いですが、依存するよう仕向ける、言わばその場しのぎに過ぎないのです。


仕事なんて選ばなければいくらでも転がってる? パンすら買うのに一苦労する方々に出来る仕事がどれほどあるか考えたことありますか? 字が読めない者に金勘定が出来ますか? 口達者に渡り歩ける者がいつまでも底辺に留まりますか? 這い上がれる能力が身に付かない状況で、お肉を口に出来ない者に激しい肉体労働が出来る? なら、やれ? 出来るハズないでしょうに。そんなことをしたら 教会の布教にも支障をきたし、異端との烙印を押される未来が目に見えます。


つまり何が言いたいかと言うと忙しい時期が続きました。 はい。嘘ではありません。 ですが、救助する民間人は選びました…ということです。


「『病気』を運んでくる死骸は、動物たちが食はみ・・・。病気は、虫から動物に『感染』する。・・・動物同士も感染する。動物の死骸が腐敗すれば、『病原菌』は空気中に混じり、風で拡散して、吸い込んで感染する。もし、感染した動物が『食卓に上がるもの』なら・・・解体作業者に、刃物に、病原菌が付着し、感染していない動物の肉にも病原菌が次々付着する。加熱が不十分なら、人は感染し・・・死ぬ。人に危害を加える虫から、直接『病原菌』をうつされて感染源になる人も・・・」


まぁ簡単に言うと隣国の民間人だったからと気にせず一緒の食事をして死骸を片づけましょう とお誘いした感じです。


景気が悪化した隣国地域ですが、各地から商人たちが集まる性質上、 お金を動かすという意味においても無視することができないのならば、無駄を咎めたところで、その貯えが民間人のために使われるとは限りません。


「ずいぶんと野暮なことをおっしゃる。民衆など捨て置けば良いのに。ずいぶんな入れ込みようですな」

なので 盛大にお金を使うことで、気前のいいところを見せたいという貴族たちの願望の方向性を少しだけ変えてやり、民間人を救うという次善の策でしかない方法をとらざるを得なかったのです。


もはや、やけくそレベル で、ひきつる笑みを浮かべつつ、民たちを自らの屋敷に招いた貴族だったが、 民とともに酒を飲みかわし、同じ者を祝うために歌い……、などとやっているうちに、ちょっとだけ、気持ち良くなってきた……。


飢饉の対策にもならなかったですが、今まで 民衆にとって貴族って税を搾り取っていくもの。目に見える形で、なにかをもらうなんてことはないこと なんてなかったのでしょうね。


「気前のいい領主さま」

おだてられれば悪い気はしない。それに、しょせんは、たった五日のこと。 短い間だけ、民衆にいい顔を見せておけばいいのだ、と……、自らも楽しむことにした。それが、勅命だからと、そうした。 結果……、彼らの心にもまた、刻み込まれた。 領民との楽しい祭りの思い出が……。


ただ、税を納めてくるだけの者たち、ただの他人だった者たちが、酒を飲み交わした顔見知りになったのです……。 それは、少なくはない影響を彼らに及ぼすことになっていく。


中には仲が悪い者もいたでしょう。ですが、お祝いの席 と言うことで、今日のところは仕方ない。とこらえ、笑って、私を祝ってくれた。メディアスを通じてそれを確認した私は成功したことに嬉しく感じました。


その内、酒が回り、 お酒を商人が供出すると 雰囲気に乗せられた 別の商人がそれならばうちは、と、つまみを提供すると人々も家に残っていた食べ物を見知らぬ人々にも振る舞い始めた。

そんな賑わいに 人々の間にあったわだかまりは……、無理矢理に浮かべた笑みの中に溶けていき、そして偽物の笑顔は、いつしか本物の、楽しい笑顔へと変わっていった。



「最初は ただ困惑していたのですが、離れ離れにもなっていた家族との再会させて頂き、こんなによくしてもらって何もしないのはいけないと思い、何か私に出来ることがあれば…」
「向こうでは 家族にも会うことが出来ず祈り続けたと聞いています。 聖女さまと言えど人の子。 両親や妹さんとの別れは辛かったと思います。 また一緒に暮らせるようになったのですから…」


軽く話を逸らしたのですが 強く志願して貰えたので 私の直属の聖女になって貰いました。



新たに 神を迎える場という意味の名の巨石「神籠」を起点とし 南区の結界を張ることで、内側からの侵入に対しても有効となりました。

どんな時でも内乱は考えなくてはなりませんので 信じられる聖女に結界が張っていただけるのは嬉しいです。

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