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2019年06月25日20:42

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うちには、天使がいます。 18.ゆかさんの帰還

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<前回までのお話>
2018年(執筆している時点で去年)4月初め、
やまねこのパートナー・ゆかさんは卵巣に腫瘍が見つかり、悪性の疑いを指摘され、
4月24日火曜日には自宅で脳梗塞を起こして救急車で病院に搬送されました。
腫瘍の引き起こす脳梗塞、いわゆるトルソー症候群でした。
翌日から入院、卵巣腫瘍の手術まで抗凝固剤の治療を受けていたのですが、
29日、2度めの脳梗塞。激しい発作を起こしてしまいます。
ゆかさんは個室に移動し、その夜からやまねこも泊まりこむことになりました。
そして5月2日、ゆかさんは無事手術を終えてICUへ。やまねこも久しぶりにうちに帰ります。
(なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です)



5月3日の朝、やまねこはぎしぎしきしむ病院の仮設ベッドではなく、
ふとんの上で目を覚ましました。

メイさん(ねこ)が「にゃー」と言いながら、ダイニングをとことこ歩いてきました。
朝はいつもそうやって「ごはんちょうだい」のサインを送ってきます。

ここはうちだ。
あらためてそう感じました。
メイさんがいる。やっぱり落ち着く。よく眠れた。
ゆかさんはいないけれど…

病院だと朝6時半には看護師さんたちがきて血圧を測ったり採血したり、
否応なしに一日が動き始めるのですが、
自然に目が覚めるまで寝ていられました。
なんだかからだが生き返ったような気がしました。

からだ―今、からだがたいへんなのは由香さんなんだ。
どうしているだろう?
きのうも落ち着いてるかんじだったし、
集中治療室でずっと看てもらえてるってことは安心と言えば安心だけど、
容態急変したりしてないかな。
そうでなくても心細かったりしないかな。


今日は10時半に母を迎えに行き、いっしょに病院に行く予定です。
ゆっくりメイさんにごはんと薬をあげて、
まだ確実に出演できるかどうかはわからないけれど、
念のために、あしたのLIVEのために何曲かピアノと歌も練習します。

「早ければ今日ICU出られるかも」って話だったけど、
あくまで「早ければ」だし、今日もあまりゆっくりは会えないのだろうな。
なんて考えながら、車で出かけていきました。

母は、マンションの外まで出て待っていてくれました。
ほんのひと月前は、外出のときはゆかさんに車椅子を押してもらっていたのに、
杖は手放せないけれど、多少は無理もしているのかもしれないけれど、
ずいぶん元気になったなぁー、と感心します。
自分のためではなく誰かのため、ということが、
モチベーションを上げてくれるのかもしれません。


G.W.なので、今日も病院は閑散としています。
さらに人気のないICUのフロアへ。
ドアの脇のインタホンで「×××ゆかの夫です。面会に」と告げて待っていたのですが、
なかなかドアが開きません。
母「旧姓言ってたわよ」

自分のパートナーの苗字(つまり自分の苗字)間違えるかな、ふつう。
緊張するんです。電話とか、そういうのって。
インタホンから「そういうかたは、こちらには…」と聞こえてきて、
あわてて訂正すると、

「ああ、そうでしたか、病棟に戻られてますよ。
きのうまでと同じ病室です」


もし今日中に戻れるとしても、午前中なんてことはないと思ってました。
「ありがとうございます!」
思ったより回復が早いのかな?
「よかったですね!」「ほんと、早かったわね」
少しうきうきしてきました。また退院というわけでもないのですが。


病室に入ると、ゆかさんは少しだけ上体を起こして、横になっていました。
こちらを向いてゆっくりと笑い、「おかぁさん。ねこさん」と言いました。

きのういったん取り外された点滴とか電線とか、ふたたびてんこ盛りに取り付けられて、
鼻のチューブもまだ着いていますが、
元気そうだ。思い描いていたより、ずっと。

まだこちらに戻ってきたばかりのようで、看護師さんたちが数人、
忙しく立ち働いています。
看護師さんたちともだいぶ顔なじみになってきたな、なんて思います。

「ゆうべはよく眠れた?」
「うん、よくねむたよ。
テレビもずっと見られたし(内容あんまりわからなかたけど)
ICU快適だたよ」

こんなに会話できるなんて、思ってなかったです。
もちろん話し方は少し妙だけど、それでも、
もっとぐったり消耗しているのを想像していたので。
少なくとも、ICUにとどまる必要はないと判断されたわけで、
これはぜったいいいことなのです。うん。

「午前中の血液検査で貧血の兆候が見られて、
腹腔内の出血が疑われますので、まだ抗凝固剤の点滴は再開していません」
少し現実に引き戻されました。
そうだよね。きのうおなかを切って、
ソフトボールくらいのかたまりを取り出したばっかりなんだ―


主治医で、きのう執刀してくださった葛西先生も顔を出してくれました。
「落ち着いたら、すぐに歩く訓練できるようになりますよ」
基本的にポジティブです。

脳神経内科の平良先生、橋口先生も来てくれましたが、
「いや、ベッドを降りるのは、しばらくの間は…」
こちらは基本的に慎重です。
「今日は上体を起こすのも、15度くらいまでにしてください」

脳梗塞を起こす原因になっていた腫瘍は、取り除かれたはずですが、
専門によって見解はさまざまです。
あとで聞いたことですが、
じっとしていると腸閉塞を起こす危険が高まるので、
その見地からすると、早く歩いたほうがいいのだそうです。


元気そうに見えるゆかさんですが、
ときおりせき込むようになりました。
「これね、心臓の手術のあともそうだたけど、
麻酔するから、呼吸のために肺に管いれるね、
それ、のどこすれるから炎症起こすね、
しばらくの間、すごく苦しいね」
本人がよく知っています。
痰が絡む割りになかなか出ないので、苦しそうなせきです。
ベッドは降りられないので、
売店で買ってきてあった「うがい受け」(形から通称「そらまめ」)で受けて、
洗面所で洗ってきます。

のどが苦しそうなのですが、
まだ水は飲まないで、とのことでした。
むせたり誤嚥の可能性があるので。
「水を含んで、うがいだったらいいですよ」
そんなときもそらまめ君が活躍します。

麻酔の点滴はもちろん続いていますが、
6時間ごとという話でした。
ときおり痛みは感じるようでしたが、
せきと、その痛み以外はおおむね状態は落ち着いているようでした。

思いきって、訊いてみました。

「ゆかさん、やまねこあした歌いに行っても大丈夫?」

「うん大丈夫よ。
あたしなら、看護師さんたちも先生もいてくれるし、大丈夫よ。
待ってる人いるし。歌いに行ってきて」
ゆかさんはにっこり笑いました。

「ありがとう。
行ってくるね。夕方には帰ってくるからね」

四谷天窓.comfortに「あした出られます!」と電話しました。
さぁーて忙しくなりました。
とりあえずどの歌うたうか決めないと(^^;


(続きます)





<うたうやまねこ今後のLIVE予定>

  6/29(Sat.)四谷天窓.comfort → http://otonami.com/com_top
  Open12:30/Start13:00/Charge \2,000+1D

  高田馬場のビルの5階、
  大きな窓から空の見えるライブハウスでの、お昼のLIVEです。

  グランドピアノの弾き語りになります。
  初夏の歌、梅雨の歌、たくさん歌いますね。
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