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2022年05月10日23:51

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美術大学や音楽大学は,有能有為の人材の宝庫です…職務遂行能力を中心にして

 今まで気付かなかったのかい・・・率直に言って,僕はそんな気分でこの記事を読みました。

 新規採用において優れた人材を雇用したいと願うのはどこの組織であっても同じです。どんな企業であれ官公庁であれ,能力の高い職員を必要としているのは全く同じことですから。とはいえ,学生さんの殆どは今までに仕事をした経験が無く,彼らの実務能力を図るのはなかなか困難なことです。一部の勤労学生を別にすれば彼らはせいぜいアルバイトに従事したことがある程度でしょうし,一方の勤労学生はといえば既に就職しているのですから大学卒業後の新しい就職先を探す人は多くないでしょう。結果として就職活動をする学生さんについては「偏差値の高い大学(や高校)に入学出来た人だから,事務処理能力が高いだろう」「体育会に所属している人だから,困難に耐え抜く力が強いだろう」などと,いわば間接証拠から職務遂行能力を推測して雇用するしかありません。それでも採用に成功することは無論珍しくありませんが,入試を突破する能力と仕事で求められる事務処理能力はイコールではないし,体育会で養われる根性は仕事で必要な図太さと同じではありません。そのため中には「良い大学を出ているのに,仕事をさせてみたら全くの無能だった」「体育会出身なのに,ストレス耐性が低く打たれ弱かった」などという問題も実際に起きているようです。
 無論,学生として求められる能力と職業人として求められる能力とが完全にイコールではない以上,そういった「期待外れ」を完全に防止することは不可能でしょう。しかし職業に極めて類似した経験を積みそれを成功させている学生さんであれば,そうしたミスマッチはかなりの程度防止できるに違いありません。たとえば「大規模なイベントを企画立案し,必要な事務処理や折衝を的確にこなし,来場者を大いに満足させる」ためには,大学の文化祭実行委員会やイベントサークルであれ,企業や官公庁であれ,ほぼ同じ能力が求められるというのは理解のしやすいところでしょう。もし「ミスマッチを極力解消したい」というのであれば,そういう点に注目して採用を行えばきっと多くの場合において成功するに違いありません。

 では,具体的にはどのような学生さんを雇用すれば,実際に仕事の能力の高い人を集めることが出来るでしょうか。上記のとおり,文化祭実行委員会やイベントサークルで仕事をした人であれば無論大いに結構です。実際,そういう方たちは人気の高い企業などへの就職に成功している事例も多いようですね。しかしそういう学生さんは決して数多くはありません。これはご自身も大学で学んだ経験を持つ方であれば容易に推測が可能な所ではないでしょうか。かく言う僕も大学で学びましたが,同時代にともに学んでいた友人たちの中でそうした委員会やサークルに所属していた人というのは心当たりがありません。
 しかし最近になって美術に関心を持つようになり,そうした経験を持つ歳若い友人たちを大勢得ることが出来て参りました。それは言うまでも無く,美術大学の学生諸君です。彼らは学生であると同時に自らも創作活動を行うクリエーターであり,制作した作品を世に問おうということに非常に熱心な人たちも少なくありません。無論,中には画廊などからの招待を受けて制作のみに専念する学生さんも居ないことはありませんが,そういう非常に恵まれた特殊な事例を別にすれば彼らは自らの力で展覧会を企画立案し実行しなければなりません。それは或いは個展であるかもしれませんが,それほどの大量の作品を既に制作している人でなければ同じ大学,或いは同じ出身高校や予備校の友人たちと協力してのグループ展を行うことになるでしょう。そうした形で展覧会を開こうとすれば,特にグループ展の場合にはまず同士を募り展覧会の運営方針についてコンセンサスを獲得することが求められますね。また個展であれグループ展であれ「どのような作品をどのように展示すればより大勢の来場者を得ることが出来るだろうか」と考えることは展覧会を成功させるのには不可欠です。事前の準備として会場を借りフライヤーを印刷するなどの準備において専門業者と折衝をすることも必要なのは言うまでもありません。そして無事開催にまでこぎつけても,何日何時に誰に在廊してもらうかということも検討しないとならない。グループ展であれば「交代で在廊する」という形で対応することになりますが,個展であれば在廊不可能な日などには友人に依頼してアルバイト代を支払うといった形でスタッフを確保する必要が出てきます。そして展覧会において展示のみならず販売をも行うのであれば,お金を用意し管理し清算するという別の仕事も必要です。

 そうした経験を積んで展覧会を成功させ,或いは失敗から苦い経験を得た諸君は,企業や官公庁において求められる職務遂行能力と全く同じか,少なくとも極めて類似した能力を身に付けていることでしょう。無論彼らは「美術を学んだ経験から,他の人とは違う視点を持っている」といった点でも期待の存在でしょうしそれもまた有為の能力には違いありませんが,そもそもにおいて彼らの多くは高い企画力・折衝能力・事務処理能力の持ち主なのです。実は僕は美術大学の学生諸君から「デザイナー等の技術職を別にすると,どうも就職活動において美術大学というのはあまり高く評価されないようだ。色々と苦戦している」という話を聞いたことが何度かありますが,これほど有為の人材を冷遇するとは企業や官公庁の人事担当者は一体何を見ているのかと疑問に思っておりました。しかし今回こちらの"PRESIDENT Online"の記事を読み「人事担当者諸氏,今になってやっと気づいたか」という我が意を得たりの思いを強く感じています。
 なお,この記事の題名は「美大・芸大生」と,美術分野を学ぶ学生諸君に限ったお話のようになっていますが,記事本文でも触れられているとおり音楽大学の学生諸君にも全く同じ話が当て嵌まります。彼らもまた,場合によっては合奏団を構成するなどした上で自ら演奏会を企画実行している存在で,音楽大学の学生さんたちもまた僕が上記で述べてきた能力を持つ大変有望な人材です。

 このようなお話をすると「美術大学や音楽大学の学生諸君が有能なのはよく判った。しかし彼らはフリーの芸術家になりたがっているのではないか」とお考えの向きもあることでしょう。無論,そうした人々もたしかに存在します。しかし全員がフリーランスを志望しているというわけではなく,実際に就職活動を熱心に行っている美大生・音大生諸君は決して珍しくありません。企業や官公庁の人事・採用担当者各位は「美術大学・音楽大学は職務遂行能力に長けた人材の宝庫である」という認識を持って新規職員の採用に当たって頂きたいし,それは多くの有能有為の人材を獲得するという形で必ずや近い将来の社業発展に大いに役立つに違いありません。



三井不動産、アクセンチュア、DeNA…「美大・芸大生」が超人気企業からバンバン内定を取れる本当の理由 求めるのは絵画や音楽の才能ではない…アート人材の凄い能力
https://president.jp/articles/-/57079
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