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2019年10月17日03:17

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クッキーの副材料混合とカードシャッフル問題について

クッキー生地にチョコチップなどの副材料を混ぜ込む方法と、ボードゲームにおいてカードをシャッフルする方法には、実は類似点がいっぱいあるんじゃないか!とふとヒラメいてしまいました。
その話をこれから長々と書きます。その両方に興味がないとちょっと読むのはしんどいと思いますので、ダメな人はそのまま次のエントリーに移って下さいね。


というわけでまずはカードシャッフルについてですが、これが実はすごく難しい話なのです。
まずは代表的なシャッフル方法を紹介します。

・ヒンドゥシャッフル
山の中央付近からひと塊を抜いて上に重ねていく方法
利点:簡単。
欠点:かなり繰り返さないと、順番の入れ替わらない塊が残ってしまう。

・リフルシャッフル
山を二つに分け角を弾いて交互に重ねる方法
利点:カッコイイ。全てのカードの順番を変更できる
欠点:カードが痛む。交互に重ねるので混ざり方に規則性が出来る。一番上のカードは一番上のまま。

・ディールシャッフル
3〜5つの山に配って最後に重ねる方法
利点:例えばカードを3枚セットで使うゲームなら、4つの山に分けるなど塊を分散できるように調整可能。
欠点:メンドクサイ。時間がかかる。

・ファローシャッフル
山を二つに分け、ふんわりとさせてカードに隙間を作り、側面を合わせてそれぞれの隙間にカードを押し込むようにして二つの山を合体させる。そのままだと難しいが、カードをスリーブと呼ばれる保護フィルムに入れると、ちょっとやりやすくなる。

利点:どこに隙間が出来るのかは偶然の産物なのでリフルシャッフルのような規則性はない。ただし一番上のカードは上に残る。
欠点:スリーブに入ってないと難易度が高い。

ここでそれぞれのシャッフルの特性を考えます。その特性とはランダム性と均一性です。以下のように分かれます。

<ランダム群>
ヒンドゥシャッフル、ファローシャッフル
<均一群>
リフルシャッフル、ディールシャッフル

ところで、ランダムになったカードと均一になったカードは何が違うんでしょう。
均一というのは、例えばトランプのように4種類のマークがある場合、上から4枚カードを引いたら、必ず4枚がばらばらで4種類全てが手札に揃うような状態です。
一方ランダムでは、4枚引いた時4枚全てばらばら(ブタ)なのは2197/20825(1/10ぐらい)です。
全て同じマーク(フォーカード)も44/4165(1/10ぐらい)で、2枚づつ揃う(ツーペア)が5616/20825(5/20)、2枚だけ揃う(ワンペア)が11232/20825(5/10)、3枚まで揃う(スリーカード)が2574/20825(3/20ぐらい)です。
大体半分ぐらいは1種類足りないですし、残り半分のうちの半分ぐらいは2種類が足りません。ランダムというのはその殆どが偏っているものです。綺麗に期待値どおり出現するのは「全部同じマークだ!ちゃんと混ざってない!!」っていうのと同じぐらいの確率なのです。それがランダムです。
つまり手札の偏りも含めてゲームだというのなら、ランダム性が確保できるファローシャッフルかヒンドゥシャッフルこそが正義といえます。しかしファローシャッフルはスリーブに入っていてもちょっとコツが要るので、次点として最初か最後にヒンドゥシャッフルでランダム性を確保したディールシャッフルを行うのが、ボードゲーム界隈でよく見られる光景です。
ちなみにトレーディングカード勢はファローシャッフルを愛用しているようです。まあまず間違いなくスリーブに入ってますしね。


さてそれではクッキーに話を戻します。
クッキー生地に副材料を入れて混合する方法をシャッフルに例えます。

・ヒンドゥシャッフル風混合術
生地の中に副材料を切り込むように、へらで生地に切り込み、半分程度をすくって上下を返して合わせる。また角度を変えてへらで切り込み、同様にすくってあわせることを何度か繰り返す。
利点:手軽
欠点:何度も繰り返さないと副材料の塊が残りやすい。しかしあまり繰り返すと生地が練られてしまい、焼き上がりが硬くなる。

・リフルシャッフル風混合術
生地を伸ばして半分に副材料を広げる。生地を半分に折りたたんで、また伸ばす→折りたたむ→伸ばす、と繰り返す。
利点:均一に広がり副材料の塊は発生しにくい。
欠点:生地の水分量が多いとベタベタして作業できない。また伸ばすのは練るのと同義。何度もやると焼き上がりが硬くなる。

・ディールシャッフル風混合術
予め生地を分割し、また副材料も計量して分割する。1つずつ合わせて成型する。
利点:生地と副材料の比率はどれをとっても同じ。完全に均一な美しい世界が現れる。
欠点:超メンドクサイ。

ここで問題です。
ボードゲームの世界ではランダム性が尊ばれますが、製菓の世界、特に売り物にするならば均一である事が絶対の正義です。
ですので当店のスコーンは「リフルシャッフル風混合術」を採用しています。副材料を入れてから2回折りたたんでいます。スコーンって何故かみんな上下半分に割りたがりますから、上にも下にもちゃんと具材が入るように2回です。
しかしビスコッティは水分量が多く、現状は「リフルシャッフル風混合術」です。そこで「焼き上がりが硬くなると嫌だな〜」と思いながら作業すると、写真のような状態になってしまいます。
分かってるんです。正解が「ディールシャッフル風混合術」であることは。
でもね、超メンドクサイんですよ。

すみません。そんなイイワケのためにこれだけ長々と書きました。
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