シラノ 2021年作品

原題　Cyrano 2022年02月25日公開予定
5.5/10
ジョー・ライト(｢つぐない｣)監督
ピーター・ディンクレイジ　ヘイリー・ベネット　ケルビン・ハリソン・ジュニア
ベン・メンデルソーン　バシール・サラディン
シラノ・ド・ベルジュラックの最新の映画化。
自分はCyrano de Bergerac　(1990)　愛しのロクサーヌ　(1987)は観ている。
メールやSNSで繋がる現代はシラノの舞台にはふさわしくないので時代は原作と同じ。
多様性ばかりが声高に主張される今、ディンクレイジ(ファンです)がシラノを
演じるのは自然の成り行きだとは思うのだけれど、剣の達人というのは無理がある。
また17世紀フランスでアフリカ系がクリスチャン役というのもおかしい。
障碍者を起用したり、観客が鑑賞してなんかよいことした気持ちにさせてしまう
この映画にみられる気分が残念。個々の役者は良い演技だった。
障碍者を扱うのならば、Chained for Life (2018)の様な激しい表現を期待してしまう。
本作のストーリーは原作に忠実なようだが、一番盛り上がるところは、
書き手の心を愛していたロクサーヌが手紙の書き手が瀕死のシラノであることを知って、
驚き涙するシーン。ミュージカル映画においてこれ以上無い名シーンが
期待されるのだけれど、演出の唐突さ(ここでのベネットは酷く見えた)や歌曲の悪さで
全く盛り上がらない。
ここまでがっかりするミュージカルシーンは稀だと思う。