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2020年09月13日09:26

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お、お姉さまーーっ!『モロッコ』

今回の帰省中、娘はアメリカ映画ばかり観て帰った。

『バック・ツー・ザ・フィーチャー』のあとに、「基本の米映画も観てよ」と『モロッコ』の話をしたら、娘は「観たい」と。
私が語るゲーリー・クーパーの指のしぐさやディートリッヒの麗人姿や真珠の首飾りがバラけるシーンに興味を惹かれたようだ。
ありがたいなあ、私の語りで観てくれるなんて。
夫は「それって基本?」と言ってたけど、いや、基本だよ。『モロッコ』ですぞ?
この男装の麗人スタイルにどんだけ少女漫画家がイカレたことか!「お姉さま−−っ!」と何度画面に向かって叫んだことか!


〇『モロッコ』(1930/ジョセフ・フォン・スタンバーグ)−−米映画。92分。モノクロ。
物語は−−、
【ありえないほどの美貌の歌手(高級娼婦かもしれない)ディートリッヒがモロッコくんだりまで流れて来る。貿易商の紳士がさっそく目を付けて、よかったら世話させてくれと名刺を渡すが、鼻で笑って破り捨てる。
外人部隊の兵士たちが憩う酒場で、ディートリッヒはなんと男装スタイルで登場する。さっそくブーイングの嵐だが、それを鎮めたのは兵士のゲーリー・クーパーだった。ディートリッヒは悠然とタバコをくゆらし、そして男装の麗人スタイルのまま歌いだす。(客席を回って女の子にキスまでする。−−お、お姉さまっ!)もう大拍手!
あとはクーパーと貿易商の紳士との三角関係になるのだが、しょせん外人部隊はいつ戦死するか分からぬ身。クーパーはわざと愛想尽かしして、ディートリッヒは紳士と婚約する。
婚約発表の日、席に付こうとすると外人部隊が帰還する太鼓の音が聞こえてくる。ディートリッヒはハッと立ち上がり、窓に駆け寄る。そのとき真珠のネックレスが椅子に引っかかり、パーン!とちぎれる。紳士は何も咎めず、使用人に「拾っておきなさい」と。そして客人たちに「彼女の望みが私の幸せです」と語る・・・】
ラストは皆さんご存知の通り、熱砂の中をハイヒールを脱ぎ捨ててゲーリー・クーパーを追っていく。

どう考えても未来の無い外人部隊の男よりも貿易商のほうが良い。教養ある紳士だし。
20代の時に、「なんであの貿易商にしないで兵士なんか追いかけてったんだろ?」と話してたら、年配の映画ファンに、「それは貴女がカタギの女だからだよ」と指摘された。なるほどね・・・。
その話をしたら、娘も妙に納得していた。
娘は私の語りを聞いて、真珠がちぎれるシーンは絶対にスローモーションだと勝手に脳内変換していた。しかも3回「パーン!」「パーン!」「パーン!」と。そりゃ出崎演出の見過ぎだww

改めていま『モロッコ』を見直すと、ディートリッヒもクーパーもスタジオを一歩も出ていない。
異国情緒あるモロッコ(?)での撮影はその他大勢とロングばかりだ。当然ラストに裸足で外人部隊を追っていく有名なシーンも後ろ姿で吹替え丸出し(太りすぎ)で、興ざめである。せめてディートリッヒにスタジオの砂の上を歩かせて合成してほしかった。
過去の評論でこの吹替え丸出しに言及してないのは、それは暗黙の了解だったのか?
まあ、そんなことはディートリッヒの魅力とは全く関係ない。女優のお仕事は「恋に落ちる理由を説明する必要がないくらい」美しいことだ。
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