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2020年05月22日01:42

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内省を深めていく10代『野ブタ。をプロデュース』

まだコロナで図書館が休み。映画アーカイブも夏まで休みなので、仕方無いから家でドラマとか見ている。
初めて『野ブタ。をプロデュース』を見て、面白かったのでTSUTAYAで全巻借りて来た。

『野ブタ』が制作された2005年はまだリーマンショックでド不況になる前の東北大震災前で、永遠に安定した日常が続くはずだと信じられていたころだ。
しかし衣食住が満たされると人は「社会的承認」を求めて悩み始める。盗んだバイクで走りだす中二病的な反社会的行動ではなく、何か自分に社会的価値を見出そうとしたい。しかしやりたいことは何もないのだ。それどころか他人の愛し方も分からない・・・
高2の主人公は「人気者」の地位を学校内で維持したいがゆえに、偽りの自分を毎日ルーティンワークして生きている。その彼の内省と葛藤、そして自立という・・・深〜いテーマだ。


〇『野ブタ。をプロデュース』(2005)−−制作:日本テレビ。原作:白岩玄。脚本:木皿泉。全10回。
物語は−−、
【都会のエスカレーター式私立に通う高2の修二は学校内でポジション維持のために美人のカノジョを作り、学園一の人気者を演じていた。
そこにイジメられっ子の信子(野ブタ)が転校してくる。露骨にイジメられ抵抗も出来ずに人生を諦めている野ブタの態度に修二は苛立ち、押し掛け親友の彰にせっつかれて二人で野ブタをプロデュースして学園一の人気者にしてやろうと計画を練る。しかし、ことごとく悪意のイジメに妨害される。いったい誰が?なぜ・・・?】
軽いノリの彰がキツネの指で「コン!」とシャイニングのように修二の内面をお告げする。
修二の内面を彰が代弁してくれてるので悩む修二のモノローグだらけの作品にならず、楽しい相棒物になっている。うまい演出だ。

青春ドラマではよく教師が生徒に「自分を見つめろ」とか「自分と向き合って」とか忠告するが――つまり「内省」を深めろってことだが――、そんなこと言われても具体的にどうするのか十代には分からない。
このドラマでは、その内省を深めていく過程が順序だてて分かりやすく、しかも軽いノリで好感度良く描かれている。野ブタを自立させようとして修二が自立していくのだ。

終盤はまとめモードに入ってしまって、ハッピーエンド至上命令なのか〈みんな仲良しね!〉な脱力ものに成り下がる。サイコパスとお友達など全く共感できない。
だが、中盤までは素晴らしい。役者たちも主演の二人をはじめ、夏木マリや忌野清志郎など個性的でみな良い。お薦めの青春学園ドラマだ。
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