mixiユーザー(id:2027350)

2020年05月13日22:16

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妖艶な「ナルシスノアール(黒水仙)」

母は「黒水仙」が好きだった。
といっても若い時に使っていただけだ。鏡台の引き出しから小さな香水の空き瓶が出て来て、幼い私は初めて香水の甘い香りを知った。それが黒水仙。キャロンの「ナルシスノアール」だった。
といっても食い物以外にはドケチな母のことだから、試供品のような小瓶だった。それでも空瓶を捨てなかったのはやはり好きな香りだったのだろう。
グロリア・スワンソンも愛用したという黒水仙なので、そこんとこが母のツボにハマったのかもしれない。
中田家は祖父も祖母も長身痩躯で、母も宝塚の男役のように長身でスマートでスーツが似合うキャリアウーマンだった。
けれど私は背が低くて小太り短足。まったく黒水仙など似合わない。母はずいぶん私の外見に失望していた。

2007年に母が亡くなって、命日に仏前にお供えするため「ナルシスノアール」(3万円也)を買った。
妖艶な香り。
だがすでに2000年に香りが更新されていた。遅かりしだ。昔の思い出の香りのほうがもっと甘くて濃厚だったような・・・
思い出は常に美化されていく。あんなに毒母だったのにね・・・
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