01 私モロナイに宛てて書かれた父モルモンの手紙は、次の通りである。これは、私が神の務めに召されて間もなく、私に宛てて書かれたものである。父は私に次のように述べている。
02 「愛する息子モロナイよ、私は、主イエス・キリストが貴方を心にかけ、主の務めに、また主の聖なる業に貴方を召して下さった事を、非常に喜んでいる。
03 私は祈る度に、いつも貴方の事を心にかけ、御父の限りない慈しみと恵みによって、また貴方が最後まで御父の聖なる御子イエスの御名を信じ続ける信仰によって、御父が貴方をお守り下さるようにと、御子イエスの御名により父なる神に絶えず祈っている。
04 ところで、我が子よ、私が非常に憂慮している事柄について貴方に述べよう。貴方方の中に論争が起こるのは、私にとって悲しい事である。
05 もし私の聞いた事が事実であれば、貴方方の中には、幼い子供達のバプテスマについて論争があったという事である。
06 我が子よ、私が願うのは、貴方が力を尽くして、この大きな過ちが貴方方の中から取り除かれるようにする事である。私がこの手紙を書いたのはその為である。
07 私は、貴方方のこの状況を聞いた後すぐに、この件について主に尋ねた。すると、主の御言葉が聖霊の力によって私に下ってこう言われた。
08 『貴方方の贖い主、貴方方の主、貴方方の神であるキリストの言葉を聴きなさい。見よ、私がこの世に来たのは、義人を招く為ではなく、罪人を招いて悔い改めさせる為である。健康な人には医者は要らない。要るのは病人である。幼い子供達は、罪を犯す事ができないので健康である。したがって、アダムの呪いは、私によって彼らから取り去られており、彼らを支配する力を持っていない。また、割礼の律法も私によって廃されている。』
09 聖霊がこのように神の御言葉を私に明らかにして下さったので、愛する息子よ、私は、幼い子供達にバプテスマを施す事が、神を酷く嘲る行為である事を知っている。
10 見よ、私は貴方に言う。貴方方は責任を負う事ができ、罪を犯す可能性のある者に、この事、即ち悔い改めとバプテスマについて教えなさい。親達に、悔い改めてバプテスマを受け、幼い子供達のように遜らなければならない事を教えなさい。そうすれば、彼らは皆、幼い子供達と共に救われるであろう。
11 幼い子供達は悔い改めもバプテスマも必要ない。見よ、バプテスマは悔い改めに導くものであり、罪の赦しを得る為の戒めを守る事である。
12 幼い子供達は、世の初めからキリストによって生きている。もしそうでなければ、神は不公平な神であり、気まぐれな神であり、人を偏り見る御方である。何と多くの幼い子供達が、これまでバプテスマを受ける事なく死んだ事であろう。
13 もし幼い子供達がバプテスマなしでは救われないとすれば、これらの子供達は無窮の地獄へ行ったに違いない。
14 見よ、私は貴方に言うが、幼い子供達にもバプテスマが必要であると考える者は、苦汁の中におり、罪悪の縄目を受けている。このような者には信仰も希望も慈愛もない。したがって、そのような考えを抱いたまま絶たれる事にでもなれば、地獄に下って行かなければならない。
15 ある子供はバプテスマを受けたので神によって救われるが、他の子供はバプテスマを受けていないので滅びる、と考える事は恐ろしい悪である。
16 このように主の道を曲げる者達は災いである。このような者達は、悔い改めなければ滅びるからである。見よ、私は神から授けられた権能を持っているので、大胆に語る。私は人のする事は恐れない。完全な愛はあらゆる恐れを取り除くからである。
17 私は慈愛、即ち永遠の愛で満たされているので、全ての子供は私にとって等しい存在である。したがって、私は完全な愛をもって幼い子供達を愛している。幼い子供達は皆等しい存在であり、救いに与る者である。
18 私は神が不公平な神ではなく、気まぐれな御方でもなく、永遠から永遠にわたって変わらない御方である事を知っている。
19 幼い子供達は悔い改める事ができないので、幼い子供達への神の清い憐れみを否定する事は、恐ろしい悪である。幼い子供たちは皆、神の憐れみのお蔭で、神によって生きているからである。
20 幼い子供達にバプテスマが必要であると言う者は、キリストの憐れみを否定し、キリストの贖罪とキリストの贖いの力を軽んじる者である。
21 このような者は災いである。このような者は、死と地獄と無窮の苦痛を被る恐れがあるからである。私は神から命じられたのでこの事を大胆に語る。これらの御言葉に耳を傾け、注意を払いなさい。さもなければ、これらの御言葉は、キリストの裁きの座で貴方を責めるものとなる。
22 見よ、全ての幼い子供達はキリストによって生きている。律法のない者達も皆同様である。贖いの力は律法を持たない全ての者に及ぶからである。したがって、罪に定められない者、即ち罪の宣告を決して受けない者は、悔い改める事ができないので、このような者にとってバプテスマは何の役にも立たない。
23 寧ろ、それは神を嘲る行為であり、キリストの憐れみと神の聖なる御霊の力を否定し、死んだ行いに頼るものである。
24 見よ、我が子よ、このような事があってはならない。悔い改めは罪の宣告を受ける者、律法を犯して呪いを受ける者の為にあるのである。
25 悔い改めの最初の実はバプテスマである。バプテスマは信仰によって行われ、戒めを守る事である。そして、戒めを守る事は罪の赦しを生じ、
26 罪の赦しは柔和で心の遜った状態を生じ、柔和で心の遜った状態であれば聖霊の訪れがある。この慰め主は、希望と完全な愛を人の心に満たされる。そしてこの愛は、熱心に祈る事によって、全ての聖徒が神と共に住む終わりの日が来るまで続くのである。
27 見よ、我が子よ、私がすぐにレーマン人に向かって出て行く事がなければ、また貴方に書こう。見よ、この国民、即ちニーファイ人の民は、悔い改めなければ高慢の為に滅びてしまう。
28 我が子よ、彼らが悔い改められるように、彼らの為に祈りなさい。しかし見よ、御霊が既に彼らを励ますのをやめているのではないかと、私は懸念している。この地方の者達も、神から出ている全ての権威と権能を倒そうとしており、また聖霊を否定している。
29 我が子よ、彼らはこれまで理解していたそのように大いなる知識を拒んだので、間もなく滅びるに違いない。そして、預言者達の述べた預言と、私達の救い主御自身の御言葉が成就するであろう。
30 我が子よ、私がまた貴方に書く時まで、或いは貴方に会う時まで別れを告げる。アーメン。」
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