午後7時過ぎN病院。体温37,2度。微熱。遂に「中心静脈ポート」に点滴が繋がつた。あれから駱駝は何匹も針の孔を通つたのだ。低タンパク血症によつて手足が腫れ上がつた状態で通常の点滴が出来なくなつた時の脚部の静脈へのカテーテルの挿入。コーヒー色の吐瀉物があり、発熱したときの鼻から胃へのチューブの挿入。さらに高熱と黄疸の原因と考へられる胆管へのチューブの挿入。それに今日の「中心静脈ポート」からの点滴。どれも、昨年末の、まるで水風船のやうに腫れた手足を前にオロオロして居た時には、そんな手立てが存在することさへ知らなかつたことだ。あとは、「食堂裂孔ヘルニア」といふ針の孔に駱駝を通すかどうか、といふ最も不可能に近い課題が残るのみである。
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