夜、表参道を歩いていると、声をかけられます。
「原宿駅は、どっちですか」
パキスタンの男性です。
同じ方向なので、駅まで一緒に歩きます。
60歳代と思われるこの男性は、日本語が堪能です。
35年前から日本に何度も来ているけれど、
ほとんど2、3週間の短期滞在だそうです。
今日は、原宿から北千住まで行って、
「つくばエクスプレス」に乗り替えて、
茨城県の水海道(みつかいどう)まで行くのです。
男性は、キャリーバックを引きずりながら、
竹下通りの人々の群れを、縫うように進みます。
キャリーバックなしの私よりも足が速い。
歩きながら、尋ねてみます。
「この時期は、パキスタンも寒いですか」
口に出した瞬間に、おばかな質問だったと後悔します。
脳裏に、おぼろげですが、日本の2倍か3倍の広さの、
パキスタンの地図上の姿が浮かびます。
ひと口に、パキスタンは寒いかどうか、
言い切れないでしょう。
男性の返事に救われます。
「カラチは沖縄みたいに暖かです。
でも、私の住んでいるところは雪が積もっていますね」
駅前で、男性と握手を交わしてから、別れます。
そうか、カラチは、暖かいのか。
家に戻ったら、『中学校社会科地図』を開いて、
パキスタンの地理を再確認しなくては。
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