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mixiユーザー(id:19073951)

2019年06月23日09:01

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想像力と創造力

昨日の「switchインタビュー達人達」養老孟司と山下洋輔の対談,とても面白かった。

**********以下引用と抜粋*********
山下 50年前かな、今までのジャズの決まり、音楽の決まりを、もう全部壊してしまえということをやりましてね。一切何かに似たような音は出すのはよそうと。結構強烈なのを始めたんですが、今になって考えれば何か別のやり方に移行しているだけですね。結局やり方そのものってのはいつまでもある。壊してしまうことよりも、何かに乗り移ったんですね。別のものに。そうやっていいよという法則ですね。ですからそれをやるうちに「ほかの法則のものを混ぜ込んでいただいた」ことになって今につながっています
養老 逆に言うと普段の規制が強すぎるんですよね。抑圧が強かった。思い切って壊さないと、という時期がある
山下 そうすると今度は安心して、前の決まりのあるものを扱えるんですね。それが前の自分ではないんですね。一旦そうなった自分がやっている。なにか不思議な感覚ですね
養老 たぶん「格に入って格を出ずる」格というのは形式ですね。形式に入って形式を学んだらひとりでに出ちゃうというか。壊してるんじゃなくて。
山下 壊すということではないんですね。別のことに入る
養老 理想というか、根本じゃないですか。進んでいくときの

養老 相手がバカというよりも、自分がそう(笑)。あることが全然通じない。お互い様ですよ。壁でね。なんだこれ、って。自分が興味ないことって、およそ理解しようとしない。解剖がそうでしょ。死んだことはあまり考えたくないから。そもそも解剖なんて話を持ち出した瞬間に昔の人は「縁起が悪い」相手にしない(笑)完全に壁を作っちゃう。それはその人がバカでわからないからじゃなくて、分かりたくないからブロックしてしまうんですね。そういう好き嫌いがちゃんと出来てくるのが、僕は中学生ぐらいからだと思ってる。音楽なんかでもひょっとすると、どうですかねぇ
山下 教えられるのが好きな子も当然いるわけで、教えられるのは嫌だけど好きなことはやりたい、僕みたいなやり方もありますしね。とりあえず好きだってことを続けてこられたのが幸い。好きなことにはなんの疑問もない
養老 それについては議論の余地もないですね。
山下 なんでお前はジャズが好きになったかっていうのは野暮(笑)
養老 マイナスですよね。好きだからしょうがねえだろって

*********引用ここまで*********

「私たちは,脳が勝手に見聞きしたいと思っているものを見聞きしているだけ」「音楽とは,空気の振動に,脳が勝手に思い込んだものを乗せているだけ」とする徹底した唯物観の養老先生の見解と「世界を,自分の見たもの,聞いたもので再構成し,想像力で創造していく」という芸術家が担う役割は,そもそも相容れないものとばかり思っていた。

しかし実際には,終始和やかに対話は進む。
互いに,「もっと知りたい,もっと高いところにたどり着きたい」,そんな何かを求める真摯な姿勢を,遊び心をもって極めんとする者同士の,信頼と尊敬に満ちた対話を見たように思う。

お2人とも,若い頃は厳しい,笑顔の中にもどこか眼光鋭い,切羽詰まったような見かけをしていたが,いまではすっかりロマンスグレーが似合う穏やかな紳士。
しかし,両者とも,心の中は若き日の張り詰めたような,鋭くとがった姿勢を今でも持っている,その心情が時折思わず透けて見えるような気がした。

養老先生に至っては「こんなことをしているより,(大好きな)虫や猫をみていたいのに」なんて本音まで口走っているし。
そんな,嘘のない姿勢こそが,私を惹きつけるのだろう。

山下洋輔も,若い頃の火を噴くかのようなピアノは,今もなお健在。

お2人とも,見た目は穏やかになっても,なお心は鋭く尖った若き日のままなのだ。
ただ,若い頃は認めがたく許しがたかった「不条理」「矛盾」に対する許容量が増えた,ということなのだろう。

「不条理なものがほしくなる」のは,あまりに「条理」にとらわれ過ぎている浮き世の中にあって自己を保つ上で,健全な欲求であると思う。

現実世界では忌避されるべき不条理が,矛盾なく調和し,条理の世界であるこの現実世界にまるでパラレルワールドのように存在するのが,芸術世界なのでは,と思える。

芸術家は,美しい声を持たない私たちの代弁者でもあり
学者は,自らをとりまく世界を自らの思考で再構築する
ともに,想像力から世界を想像していく存在。

某マイミクさんが「年齢を重ね,欠けたり失ったりするものに対して敏感になってゆくような気がします。」と仰っていたが,だからこそ,自らの手で積み上げ,築き,作るものがいとおしく感じられまる今日この頃,

私も,このお二人のように,心は尖ったまま,見た目は穏やかに,年を取りたいものだと思った。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 09:41
    > mixiユーザー いやいや,全く別の話どころか,まさしくそういう話です(^^)
    「バカの壁」を乗り越えた瞬間ですね!(^^)

    ピアノで上手く弾けない部分を,ただひたすら猛練習するのではなく,一歩引いて「なぜ弾けないのか?」から考えてみると,例えば指の筋肉と骨格がこう付いているから,どうしてもこの運指だとムリが生じるとか。
    じゃあ,力の入れ方をこう変えてみよう,とか,一般的な運指を自分なりにこう変えてみよう,とか,想像して実践してみる,そんなことを教わった気がします。

    とらねこさんは,いつも私の日記で伝えたかったことを的確に受け止めて,しかもそれをわかりやすい事例で伝えてくださるので,とても嬉しく思っていますよ!(^^)

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 10:05
    > mixiユーザー ありがとうございます。と同時に,私も,私の伝えたかったことを,ご自分の言葉で文章にしてお返事を下さるとらねこさんに,尊敬と感謝の念を抱いておりますよ!(^^)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 10:55
    ご紹介頂いていたので、観ようと思っていたのに、うたた寝して・・・残念です!
    アップして頂いてありがとうございます!面白そう〜
    また、放送されないかしら!?
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 10:59
    > mixiユーザー 
    土曜に再放送がありますよ!(^^)!
    https://www4.nhk.or.jp/switch-int/2/
    この番組,
    学者×音楽家
    料理人×アーティスト,
    小児科医×プロレスラー
    って,異種格闘技が面白いです!(^^)!
    互いが互いの知らない自分を引き出し合う,って感じです。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 11:08
    【備忘録】
    以前の放送,かの香織(音楽家兼酒蔵杜氏)×パーヴォ・ヤルヴィ(指揮者),対談の抜粋

    *************
    かの パーヴォさんが指揮をされると、新しい、聴いたことのない、見たことのない命がその中に吹き込まれている感じがして、全く別物に感じてしまったりするんですね。

    パーヴォ そう言っていただいて光栄です。音楽家にとって一番の賛辞です。音楽は有機的なものであって、自然で論理的でなければなりません。勉強に打ち込んできた音楽家は、どうしても頭で考えてしまって、分析しすぎるあまり、頭でっかちな演奏になることがあります。やはり音楽というものは感じなくてはならない。だからそれまで考えていたことをすべて忘れて、感情に任せて直感のおもむくままに音楽と一体になるのがコツです

    かの パーヴォさんと楽団員とのコミュニケーション、とても親密に感じたんですよね。懐かしい友達に会うような近さ。音にもものすごく大きな影響を与えてるんじゃないかなと感じたんですけれども

    パーヴォ オーケストラは、人とのコミュニケーションと同じです。1人で100人の演奏家と向き合わなければなりません。彼らに曲の素晴らしさを引き出すリーダーとして、認めてもらわなければなりません。どんな懐疑的な人にもね。特にリハーサルの場合は、心理学者のようなこともしなければなりません。時間をかけないと理解できない人もいるし、すぐに飲み込める人もいます。色々と説明したがる人もいます。私の場合、なるべく音楽に頼りません。音楽による指示がうまく伝わってないと感じたら歌ってしまうんです。そのほうがオーケストラに伝わりやすいんです。オーケストラの第一言語は音楽なので、そのほうが理解が早いんです。昔の指揮者は独裁的で、オーケストラの楽員に恐れられていました。今は幸いそういったことはありません。一体感を生み出すには恐怖感よりも、優しく愛を育むことが一番です。

    かの アメリカに行った時は、もう戻ってこれないかもしれないなという思いもお有りだったと思うんですけれども、その後エストニアに戻るという...戻った時のエストニアは、どう映りましたか?
    パーヴォ 今はすべてが違います。それは人々が自由になったからです。人として基本的なことができるようになると、すべてが変わるのです。エストニアの人たちがアイデンティティを失ってしまうことを恐れています。世界の一員になるのを喜ぶあまり、自分たちのルーツを忘れ去ろうとしている。私の理想は自分のルーツとつながり、世界の一員として自由を得ることです。
    いいレコーディングをしたと思っても、1年後聴くとがっかりすることがある。ある程度の距離と時間をおいて自分を客観視し、批判的に見つめ直す。そうすることで初めて成長できる。それが指揮者の醍醐味。終着点はない。

    かの 心の勉強というか、音楽もそうだと思うんだけど、心にどんどん響いてくるものがあるっていう世界で。ものづくりっていうところでは音楽もお酒も一緒。
    麹自体のコンディションが悪いと、ちょっといつもと違う匂いがすることがあったり。確認確認を繰り返しながら、赤ちゃんをいたわるように。
     浄化された世界、清らかな世界で造る。言葉もすごい大事で。ネガティブな言葉、悪い言葉、きたない言葉は一切使うことができません。もし言ったら、一緒に働いてる蔵人がすごい投げやりになったり「なんだよ」って道具に当たったり。最終的にお酒の味があまりよくないところまで行き着く。味づくりでは大切な要素になってくると思うんですね

    パーヴォ 私もそう思います。オーケストラでも同じです。一人の悪い態度で変わってしまいますからね。私も気をつけます。

    パーヴォ 音楽で大活躍されてたのに、なぜ酒造りを

    かの 家業が宮城の十二代目、1757年からスタートした造り酒屋だったんですね。ある日親が「やめてしまおう」言った時の顔がね、なんか寂しそうで。本当に素晴らしい世界なのに全部やめてしまうのが本当に悲しかった。それを受け止めて、自分で小さな規模だったらやれるかなというのがそもそもの、本当にシンプルな動機、スタート。やってるうちにお酒って、ビジネスの世界じゃなくてもっと精神性の世界。たくさんの学びがそこの中にあって、単なるお仕事じゃなくて心の勉強。心にどんどん響いてきて引き込まれた。音楽も引き込まれていく状態ってありますよね。ものづくりっていうのは音楽もお酒も一緒。

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 11:13
    そうなのですね〜
    今度は、忘れずに観ます!
    ありがとうございます♩
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 11:53
    山下さんって、タモリを発掘された方ですよね♪

    とても遊び心がらあって魅力的な人だなぁと思います。

    音楽だけでなく、作家や文化人、芸能人を巻き込んで独自のサブカルチャーを作られた方ですね顔(笑)

    対談の再放送、見てみようかな?

    ありがとうございました顔(笑)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月23日 14:18
    > 木の実さん
    はい,山下洋輔と赤塚不二夫は
    タモリの大恩人ですね。
    >音楽だけでなく、作家や文化人、芸能人を巻き込んで
    >独自のサブカルチャーを作られた方
    そういう,柔軟で貪欲な好奇心と遊び心のある方を,本当の自由人というのだと思います(^^
    山下洋輔,タモリ,山田五郎。
    それに,若い頃は山下洋輔やタモリとも親交のあった坂本龍一。
    みなそうですね。

    私もそんな自由な人になりたいと,いつも思っています。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月24日 20:03
    > mixiユーザー いえいえ,お謝りにならなくても,文意は通じてますよ(^^)
    ワタシも,芸術を愛する心,何かを感じ取る感性があるうちは
    「自分もまだまだ大丈夫」って思えます!(^^)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月25日 16:56
    横からすみません。
    私が小学生の頃、山下洋輔さんがうちに遊びに来た時に、子供心に何だかおっかなくて面白いおじさんだなと思ったのをコメントを見ていてふと思い出しました(^^;;

    それから十数年、その後大阪に住むことになった私がぶらりと入ったジャズバーがなんと洋輔さんが初めて草鞋をぬいだお店。
    やっぱり似た者(芸術家)同士は似たようなところに溜まるんだな、と苦笑いしたのを覚えています。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月28日 20:04
    > mixiユーザー なんと!山下洋輔氏が遊びに来るって,さすがはグラさんのご実家!(^^)! そのような恵まれたご生家の環境が,生花のように素敵なグラさんの成果を育まれたのですね!(^^) 
    やっぱり似た者(芸術家)同士は似たようなところに溜まる,そんなお店にたどり着いたグラさんの直感,それは芸術家の正価なのですね!(^^)

mixiユーザー

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