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2019年01月26日09:18
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「音楽嗜好症〜ミュジコフィリア」と備忘録
オリヴァー・サックス「音楽嗜好症〜ミュジコフィリア」を読み終えた。
脳科学の観点から「人間はいかに音楽を認知するのか？」そして「人間にとって音楽とは何か？」という根本的な問いについて，脳神経と音楽との深い関わりを示す具体的な症例に基づき，深く切り込んでいく。
・・・と表現すると，難解なイメージがあるが，決して小難しい学術書ではない。
学術書というよりも，脳神科医が，実際の症例に基づき記した「音楽エッセイ」といった方がふさわしい。
音楽というとらえどころのない「抽象的」なものを，脳科学者が「科学的」に解き明かそうとする探求。
「抽象的」と「科学的」。相矛盾する両者をつなぐものは，著者の旺盛な好奇心と，そして人間の持つ音楽への果てない嗜好について思索をめぐらす想像力だ。
大変わかりやすく，そして実に面白い内容だったので，読後のレビューについて，ここでみなさんにご紹介しようと思ったが，元・日本マイクロソフト代表取締役社長の成毛眞氏による巻末の解説が実に的確かつ適切，見事な内容だったので，ここではその解説文を要約したものをご紹介したいと思う。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊以下引用（要約）＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
著者のオリヴァー・サックスは1933年生まれのニューヨーク大学医学部教授。
現役の脳神経科医であり、世界的な人気作家でもある。ロバート・デ・ニーロの好演でアカデミー賞にノミネートされた映画「レナードの朝」は、著者の同名ノンフィクション作品が原作だ。
音楽，そして脳と心、想像力はどうはたらくのかについて、自らの患者などの症例を挙げながら説明を試みている。本書には『音楽嗜好症(ミユージコフイリア)』というタイトルどおり、音楽に関係する不思議な精神的症例が数多く登場する。じつに素晴らしい医学エッセイなのだ。
もちろん、脳神経医学者が書くエッセイだから、世界びっくり人間などを羅列するようなお手軽な読み物ではない。疾患や現象の発生機序についての仮説をたてながら、脳の構造や脳神経疾患についてたくみに解説を加えているのが本書の妙味だ。
オリヴァー・サックス作品の素晴らしさは、プロの作家が医師の話を聞いて書いたノンフィクション作品などではなく、プロの医師がカルテを見ながら書いた文芸作品であるところにある。臨場感だけでなく医学的な知識を得る楽しみもあるし、立派な医師に特有の人間に対する優しさや信頼がある。
本書の楽しみかたは、さまざまな脳神経の変調を主因とする病気を知ることであり、それに立ち向かう脳神経医たちの知識の積み重ねの努力を知ることだ。しかし、それ以上に著者の脳に蓄えられたストーリー力、すなわち知識を統合する能力を楽しむことができるはずだ。それはまさに音楽を楽しむがごとく、本書に身体を委ねる楽しみを意味する。その価値がある本だということをここで約束しておこう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊引用（要約）ここまで＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この本については，これまでも何度か自分のつぶやきや日記，そして参加コミュニティで紹介，引用してきた。
あるマイミクさんが，この本について興味を持たれたようなので，備忘録を兼ね，私自身の音楽論を記すために，これまで読んできた書籍の文献目録も合わせてここで，ジャンル別にご紹介したいと思う。
このジャンル分けが，これから私が執筆を始めようとしている音楽論の章・項目立てとリンクする。
私自身が「音楽とは何か？」という本質的にして根本的な問いにとりつかれた時，考えるべき方向や読むべき文献について，こんなガイドとなる目録があったらいいのに，と思ったことから，同様に「音楽とは何か？」との問いにとりつかれてしまった人たちに，その答えを見いだすための何かしらの参考になれば，道しるべになればと，そんな願いを込めて記すもの。
いくつかの著作については，互いに他の文献について引用されていたりする。
特に，ハンスリック「音楽美学」，ミズン「歌うネアンデルタール」，ストー「音楽する精神」については，ジョルダーニア「人はなぜ歌うのか」や，今回ご紹介した「音楽嗜好症 ミュジコフィリア」でも，重要な引用文献元となっている。
キヴィやクックの著作も，他文献で引用元として目にすることがあった。
外文献から引用されている言葉が気になり，今度はその引用元を読んでみる。
引用する著者同士が互いに同調している場合もあれば，その逆に反論のための引用もある。
著者が，以前読んだ外国の文献の訳者だったということもある。
本を読むと，まるで著者が私だけに特別講義をしてくれているような感覚。
「良き書物を読むことは，過去の最良の人物たちと会話することだ」〜デカルト
�機＿山攣亡愀�
【音楽史】
「世界史から見た音楽史」西崎嘉太郎
「西洋音楽史」岡田暁生
「音楽史と音楽論」柴田南雄
「commmons:schola音楽全集」坂本龍一，浅田彰，小沼純一，岡田暁生ほか編
�供／擁顕奮愆愀�
【音楽の起源】
「人間の音楽性」ブラッキング
「音楽の根源にあるもの」小泉文夫
【音楽社会学】
「音楽社会学序説」アドルノ
【音楽美学・音楽哲学】
「音楽美論」ハンスリック
「音楽美学入門」国安洋
「音楽美学」野村良雄
「音楽美学と一般思想史」神前尚生
「キヴィ『音楽哲学入門』読書ノート」難波優輝
【芸術論】
「芸術とは何か」ランガー
「芸術学」渡辺護
「音楽美の構造」渡辺護
「美について」今道友信
「複製技術時代の芸術」ベンヤミン
「芸術論２０講」アラン
�掘ー�然科学関係
【初期人類学】
「歌うネアンデルタール 音楽と言語から見るヒトの進化」ミズン
「ヒトはなぜ歌うのか 人類の進化における「うた」の起源」ジョルダーニア
【脳科学】
「美を脳から考える 芸術への生物学的探検」レンチェラー
「音楽嗜好症（ミュジコフィリア）」サックス
「音楽・情報・脳（放送大学テキスト）」仁科エミ・河合徳枝
「魅せられたニューロン」シャンジュー／ブーレーズ
【認知心理学・音楽心理学】
「音は心の中で音楽になる 音楽心理学への招待」谷口高士
「音楽はなぜ心に響くのか 音楽音響学と音楽を解き明かす諸科学」山田 真司ほか
「音楽の感動を科学する」福井一
「音楽の認知心理学」アイエロ
�検＿山敲顕熟澄Σ山敝章世覆�
「音楽のために」ドビュッシー
「ドビュッシー 生と死の音楽」ジャンケレヴィッチ
「ラヴェル」ジャンケレヴィッチ
「楽興の時」アドルノ
「音楽文化史」野村良雄
「私たちの耳は聞こえているか」武満徹
「音楽の聴き方」岡田暁生
「あたらしい教科書 音楽」小沼純一編
「サウンド・エシックス これからの音楽文化論入門」小沼純一
「音盤考現学」「音盤博物誌」片山杜秀
「音・音・音。音聴く人々」オーディオ・テクニカ編
「音楽・創造・文化」クック
「音楽の科学 音楽の何に魅せられるのか」ボール
「音楽する精神 人はなぜ音楽を聴くのか」ストー
「クラシックの快楽」「クラシックの快楽２」「ピアノ遊戯」キーワードクラシック事典編
�后〆邏糞史�
「大作曲家の和声」デ・ラ・モッテ
「音楽の進化史」グッドール
「名曲解説ライブラリー ドビュッシー」
「名曲解説ライブラリー ラヴェル」
「坂本龍一 全仕事」「坂本龍一 音楽史」「坂本龍一の音楽」山下邦彦
「坂本龍一の作曲技法」渋谷慶一郎
大学の卒論を書いた時，読んだ文献が，確か１５，６冊程度。
その４倍くらい読んでいるが，とにかく「知ること」「分かること」が楽しく，全く苦にならない。
折々に読んだ文献の中で，特に印象に残った文章を選んで，こんなトピックスを作ってみるという，思わぬ副産物もできた(^^)
「音楽についての至言・名言」
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脳科学の観点から「人間はいかに音楽を認知するのか？」そして「人間にとって音楽とは何か？」という根本的な問いについて，脳神経と音楽との深い関わりを示す具体的な症例に基づき，深く切り込んでいく。
・・・と表現すると，難解なイメージがあるが，決して小難しい学術書ではない。
学術書というよりも，脳神科医が，実際の症例に基づき記した「音楽エッセイ」といった方がふさわしい。
音楽というとらえどころのない「抽象的」なものを，脳科学者が「科学的」に解き明かそうとする探求。
「抽象的」と「科学的」。相矛盾する両者をつなぐものは，著者の旺盛な好奇心と，そして人間の持つ音楽への果てない嗜好について思索をめぐらす想像力だ。
大変わかりやすく，そして実に面白い内容だったので，読後のレビューについて，ここでみなさんにご紹介しようと思ったが，元・日本マイクロソフト代表取締役社長の成毛眞氏による巻末の解説が実に的確かつ適切，見事な内容だったので，ここではその解説文を要約したものをご紹介したいと思う。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊以下引用（要約）＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
著者のオリヴァー・サックスは1933年生まれのニューヨーク大学医学部教授。
現役の脳神経科医であり、世界的な人気作家でもある。ロバート・デ・ニーロの好演でアカデミー賞にノミネートされた映画「レナードの朝」は、著者の同名ノンフィクション作品が原作だ。
音楽，そして脳と心、想像力はどうはたらくのかについて、自らの患者などの症例を挙げながら説明を試みている。本書には『音楽嗜好症(ミユージコフイリア)』というタイトルどおり、音楽に関係する不思議な精神的症例が数多く登場する。じつに素晴らしい医学エッセイなのだ。
もちろん、脳神経医学者が書くエッセイだから、世界びっくり人間などを羅列するようなお手軽な読み物ではない。疾患や現象の発生機序についての仮説をたてながら、脳の構造や脳神経疾患についてたくみに解説を加えているのが本書の妙味だ。
オリヴァー・サックス作品の素晴らしさは、プロの作家が医師の話を聞いて書いたノンフィクション作品などではなく、プロの医師がカルテを見ながら書いた文芸作品であるところにある。臨場感だけでなく医学的な知識を得る楽しみもあるし、立派な医師に特有の人間に対する優しさや信頼がある。
本書の楽しみかたは、さまざまな脳神経の変調を主因とする病気を知ることであり、それに立ち向かう脳神経医たちの知識の積み重ねの努力を知ることだ。しかし、それ以上に著者の脳に蓄えられたストーリー力、すなわち知識を統合する能力を楽しむことができるはずだ。それはまさに音楽を楽しむがごとく、本書に身体を委ねる楽しみを意味する。その価値がある本だということをここで約束しておこう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊引用（要約）ここまで＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この本については，これまでも何度か自分のつぶやきや日記，そして参加コミュニティで紹介，引用してきた。
あるマイミクさんが，この本について興味を持たれたようなので，備忘録を兼ね，私自身の音楽論を記すために，これまで読んできた書籍の文献目録も合わせてここで，ジャンル別にご紹介したいと思う。
このジャンル分けが，これから私が執筆を始めようとしている音楽論の章・項目立てとリンクする。
私自身が「音楽とは何か？」という本質的にして根本的な問いにとりつかれた時，考えるべき方向や読むべき文献について，こんなガイドとなる目録があったらいいのに，と思ったことから，同様に「音楽とは何か？」との問いにとりつかれてしまった人たちに，その答えを見いだすための何かしらの参考になれば，道しるべになればと，そんな願いを込めて記すもの。
いくつかの著作については，互いに他の文献について引用されていたりする。
特に，ハンスリック「音楽美学」，ミズン「歌うネアンデルタール」，ストー「音楽する精神」については，ジョルダーニア「人はなぜ歌うのか」や，今回ご紹介した「音楽嗜好症 ミュジコフィリア」でも，重要な引用文献元となっている。
キヴィやクックの著作も，他文献で引用元として目にすることがあった。
外文献から引用されている言葉が気になり，今度はその引用元を読んでみる。
引用する著者同士が互いに同調している場合もあれば，その逆に反論のための引用もある。
著者が，以前読んだ外国の文献の訳者だったということもある。
本を読むと，まるで著者が私だけに特別講義をしてくれているような感覚。
「良き書物を読むことは，過去の最良の人物たちと会話することだ」〜デカルト
�機＿山攣亡愀�
【音楽史】
「世界史から見た音楽史」西崎嘉太郎
「西洋音楽史」岡田暁生
「音楽史と音楽論」柴田南雄
「commmons:schola音楽全集」坂本龍一，浅田彰，小沼純一，岡田暁生ほか編
�供／擁顕奮愆愀�
【音楽の起源】
「人間の音楽性」ブラッキング
「音楽の根源にあるもの」小泉文夫
【音楽社会学】
「音楽社会学序説」アドルノ
【音楽美学・音楽哲学】
「音楽美論」ハンスリック
「音楽美学入門」国安洋
「音楽美学」野村良雄
「音楽美学と一般思想史」神前尚生
「キヴィ『音楽哲学入門』読書ノート」難波優輝
【芸術論】
「芸術とは何か」ランガー
「芸術学」渡辺護
「音楽美の構造」渡辺護
「美について」今道友信
「複製技術時代の芸術」ベンヤミン
「芸術論２０講」アラン
�掘ー�然科学関係
【初期人類学】
「歌うネアンデルタール 音楽と言語から見るヒトの進化」ミズン
「ヒトはなぜ歌うのか 人類の進化における「うた」の起源」ジョルダーニア
【脳科学】
「美を脳から考える 芸術への生物学的探検」レンチェラー
「音楽嗜好症（ミュジコフィリア）」サックス
「音楽・情報・脳（放送大学テキスト）」仁科エミ・河合徳枝
「魅せられたニューロン」シャンジュー／ブーレーズ
【認知心理学・音楽心理学】
「音は心の中で音楽になる 音楽心理学への招待」谷口高士
「音楽はなぜ心に響くのか 音楽音響学と音楽を解き明かす諸科学」山田 真司ほか
「音楽の感動を科学する」福井一
「音楽の認知心理学」アイエロ
�検＿山敲顕熟澄Σ山敝章世覆�
「音楽のために」ドビュッシー
「ドビュッシー 生と死の音楽」ジャンケレヴィッチ
「ラヴェル」ジャンケレヴィッチ
「楽興の時」アドルノ
「音楽文化史」野村良雄
「私たちの耳は聞こえているか」武満徹
「音楽の聴き方」岡田暁生
「あたらしい教科書 音楽」小沼純一編
「サウンド・エシックス これからの音楽文化論入門」小沼純一
「音盤考現学」「音盤博物誌」片山杜秀
「音・音・音。音聴く人々」オーディオ・テクニカ編
「音楽・創造・文化」クック
「音楽の科学 音楽の何に魅せられるのか」ボール
「音楽する精神 人はなぜ音楽を聴くのか」ストー
「クラシックの快楽」「クラシックの快楽２」「ピアノ遊戯」キーワードクラシック事典編
�后〆邏糞史�
「大作曲家の和声」デ・ラ・モッテ
「音楽の進化史」グッドール
「名曲解説ライブラリー ドビュッシー」
「名曲解説ライブラリー ラヴェル」
「坂本龍一 全仕事」「坂本龍一 音楽史」「坂本龍一の音楽」山下邦彦
「坂本龍一の作曲技法」渋谷慶一郎
大学の卒論を書いた時，読んだ文献が，確か１５，６冊程度。
その４倍くらい読んでいるが，とにかく「知ること」「分かること」が楽しく，全く苦にならない。
折々に読んだ文献の中で，特に印象に残った文章を選んで，こんなトピックスを作ってみるという，思わぬ副産物もできた(^^)
「音楽についての至言・名言」
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