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2020年03月20日15:41

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『能・狂言/説教節/曽根崎心中・女殺油地獄・菅原伝授手習鑑・義経千本桜・仮名手本忠臣蔵(池澤夏樹個人編集・日本文学全集10)』を読んでみた。

https://mixi.jp/view_item.pl?id=3299243

<以下、レビューページより転載>

ここまで、このシリーズが取り上げている古典の巻は、この2月にようやく完結したらしい角田光代訳の源氏物語の上中下巻(シリーズの巻数でいうと4、5、6巻)の三冊と、本書つまり10巻以外、全部読んでいた。
何故、この10巻だけを読まずに残していたか?
それは私が、能にも狂言にも、人形浄瑠璃(文楽)にも、そして歌舞伎にも、全く馴染みがないからだ。どのジャンルにも、興味がまるでないわけではないが、敷居が高く、なかなか実際に見に行く気にはなれない。そんな感じで。
そう、本書で取り上げている古典は、それら「古典演劇」にカテゴライズされる作品たち。
全く馴染みのない「演じ物」の脚本、その訳を読んで、果たして面白いのか? というのがあったから、読まずに置いたのだ。
しかし先般、本書の訳者たちが、自らの翻訳について語った『作家と楽しむ古典』というスピンオフ(?)シリーズを読んで、考えが変わった。
まあそう構えずに、とりあえず読んでみよう。面白そうだから。と。
で読んでみたら、やっぱ面白かった♪


各翻訳の担当は、以下の通り。

能(「松風」「卒塔婆小町」「邯鄲」)と狂言(「金津」「木六駄」「月見座頭」)を岡田利規、説教節(「かるかや」)を伊藤比呂美、近松門左衛門の「曽根崎心中」がいとうせいこう、同じく近松の「女殺油地獄」が桜庭一樹、竹田出雲・並木千柳・三好松洛の三人による合作の三作、すなわち「菅原伝授手習鑑」と「義経千本桜」と「仮名手本忠臣蔵」の三作は、それぞれ、三浦しをん・いしいしんじ・松井今朝子が担当している。


どの作品も、まず、ストーリー的に面白かったのだけれど、やはり、というべきか、能の三作(「松風」「卒塔婆小町」「邯鄲」)が、ちょっと、すんなり腑に落ちる感じではなかったかな? と。能がいちばん、愉しむための基礎知識というか教養が必要だという気が、改めてした。
その点、狂言以下、ほかの作品たちは、それほど事前の知識がなくても、単純にエンタテイメント作品として楽しめる気がする。
まあ、私はもともと日本史が好きなので、菅原道真の失脚や、平家を滅ぼした後の義経の零落、忠臣蔵の顛末も、それを観応の擾乱の設定に置き換えて語ってることも、説明がなくても理解出来たのだが、そのへんのところが全くわからないとなると、どう感じるのかは知らないが。。

全体のストーリーとしては面白いのだが、ところどころで理解できないところも、間々あったのもまた事実。
まあ、端的にいえば、何で皆そんなすぐ死にたがるの? みたいなところ。
しかしこれは感覚とか思想の(時代的)隔たりがあるから、仕方のないことだ。いや、仕方のないこととか、理解に苦しむとか言いつつも、彼らの衝動的で短絡的な行動に、もらい泣きしてしまっている自分もいたりなんかするのだが。。(;´∀`)

とにかく、とりあえずでも読んでみてよかったと思う。
これで能や浄瑠璃を見に行くようになるかは、あやしいにしろ。。
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