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2020年03月07日10:22

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「レ・ミゼラブル」

ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」ではなく、その「レ・ミゼラブル」の舞台となった、フランスのパリ近郊の町・モンフェルメユを舞台にした、現代の物語である。
「花の都」と呼ばれたモンフェルメユは、現在、低所得者向けのアパートが建ち並び、貧困層や移民が住みつく、犯罪多発エリア。そんな町に、地方から移動してきた警官のステファンは、地元のベテラン警官で、白人で人種差別者のクリス、そして、黒人のグワダの所属する「犯罪対策班」のメンバーとして、働くことになる。その仕事は、市中を車でパトロールし、犯罪を未然に防ぐことだったが、ステファンはリーダーであるクリスの、住民を犯罪予備軍視する、強権的な態度に、疑問を抱く。
町は、自称「市長」がリーダーの黒人グループや、ロマのサーカス団、イスラム原理主義舎のムスリム同胞団等、複数の勢力の対立・拮抗下にあり、ある日、黒人の少年がサーカス団からライオンの赤ちゃんを盗むという些細な事件をきっかけに、たちまち、一発触発の状態となる。ステファンたちは、犯人の少年イッサを捕らえ、ライオンの赤ちゃんも無事確保し、それで事件解決かと思われたが、しかし、連行されるイッサを救おうと、少年たちがパトカーを取り囲むという混乱が起き、その最中、グワダがイッサの顔面を至近距離から、ゴム弾で撃ってしまうという事態が発生。
しかも、その様子を、別の黒人の少年がドローンで撮影していたのだ。クリスはその少年を血眼で探し、撮した映像を回収すると共に、イッサを脅して、事件のもみ消しをはかる。それは、一見、成功したかに思えたのだが・・というストーリィ。
富める者と貧困層の対立に加え、貧困層の中での人種対立を、圧倒的なリアリティとして描き、イッサら黒人の少年たちの、警官の所行への反発が、ついに、暴動にまで発展していく様を、これが初の長編劇映画という、ラジ・リ監督は、見事なまでの群像劇として描き、カンヌ映画祭ではパルムドールを、受賞作の「パラサイト」と、最後まで、争った。
衝撃のラストは、何の救いもない結末で、見えるのは、暗黒の未来のみ。それが、フランスと世界の現実だと、ラジ・リは私たちに、鋭く、突きつける。
そして、それに、ヴィクトル・ユゴーの「友よ、よく覚えておけ、悪い草も悪い人間もない。育てる者が悪いだけだ」という言葉が、かぶる。重い、映画である。

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