マスクをしてても非難される異常さ

■緊急事態宣言、薄い効果　減らぬ人出に知事「自粛慣れ」
(朝日新聞デジタル - 01月16日 11:35)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6378924

■各地でウレタンマスクが“悪者扱い”、病院や学校で「お断り」　あるイラストが誘因か
(まいどなニュース - 01月16日 18:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=262&from=diary&id=6379235

■おのののか、ツイートの真意を説明「気をつけます」
(日刊スポーツ - 2021年01月14日 14:49)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=6376563

　「自粛警察」による国民の分断が、もう取り返しが付かないレベルにまで悪化してしまっている。
　人出が減らないから、いつまで経っても感染の拡大が止まらない、移動しなけりゃウイルスが拡散されることもないのだって、それはその通りだろう。
　けれども、人間が、この社会で生きていく上で、一切外出しないで生活できるはずもないってことだって、誰もが理解できているはずのことじゃないのか。
　なのに、「緊急事態宣言が出ても外出者が自粛しない」と報道されると(そんなことは当然予測されていたにも関わらず)、「自粛警察」連中は、まるで外出者を犯罪者であるかのように罵倒するのだ。「外出者に対してケシカランと怒るのは普通の感情だ」と堂々と言い張る呟きまである。
　そう言ってる当人が、この一年間、「完全に」外出せずに生活していたのかと、私も何度となく呟いたり日記に書いたりしてきたのだが、それに対する反論は全くなかった。そりゃそうだろう、自粛警察の連中の大半は、自分では外出も飲食も好き勝手やりまくってるくせに、そのことは棚に上げて、他人をあげつらってきたのだから。
　「外出するバカ」なんて言い方をしている時点で、そいつはただの人間のクズである。

　おのののかのように、「外食してお喋りしている」だけで非難する呟きをどれだけ見てきたことか。
　そりゃあ、飛沫を飛ばさない食べ方をして欲しい気持ちは理解できるよ？　お喋りしててもそうそう感染なんてしないだろうと高を括ってる連中を見ていて、緊張感に欠けている、コロナの恐ろしさを自覚できていないのかと憤る気持ちになるのも自然だ。だから、そんな客がいる店は避けようという判断も、決して間違ってはいない。
　でも「間違ってはいない」ことは、必ずしも「正しい」とイコールではない。その点がずっと、この一年間というもの、勘違いされてきているのだ。
　「喋らない方がいい」ってのが、「喋らないことが正しい」になって、さらに「喋るやつらは悪」にまで思考が移行してしまうと、それはもう「差別」っていう、人権侵害の域にまで達してしまってるんだよ。

　たとえ無症状な人であっても、感染の危険があるのなら接触は避けよう、と言い出してしまえば、それは一人の例外もなく、誰とも会話できない、対面できないということになってしまう。それも無理な話だってことは理解できそうなものだが、自粛警察のみなさんは、どんどん「規制のハードル」を上げまくってるんだよね。「外出しただけで罪」とか。そこまで踏み込んでしまえば、これはもう「危険思想」でしかない。外出者を糾弾し、場合によってはリンチに掛けても構わないってくらいのファシズムに陥っている。
　分かってるのかね、自粛警察のみなさん？　あんたらの「呟き」は、実質、何の罪もない人間を「脅迫」してるんだよ？
　「自粛」はあくまで本人の心情によって行われるもので、要請も強制もされるものではないという基本的な概念が、根底から崩れてしまっているのだ。

　もちろん、誰も彼もがリモートで在宅してられるわけもないから、自粛警察に対して、「反自粛警察」からの反発が起きるのも当然だ。
　すっかり引きこもり生活になっている私だって、全く外出しないというわけにはいかない。食料の買い出しには出かけざるを得ない。でもスーパーだってコンビニだって、密にならないってことはないんだよ。感染のリスクは常にあって、完全に回避することは不可能だ。でもこれを責められたら、じゃあどうやって食料を手に入れるんだよってことになる。誰かとすれ違いざまに、「近寄るな！」と言われて殴られたら？
　一般人はそれくらい怯えてるってこと、自粛警察連中の呟きがそんなにも世間に「恐怖」を与えてるってこと、認識してないだろう？　でもそうなんだよ？
　実際に、感情がエスカレートした自粛警察による差別や暴力行為が行われている現状は何度となくニュースにもなっている。マスク非着者への来店拒否くらいならまだ可愛いもので、帰省者への露骨な差別、中傷の貼り紙、他県から来た車への破壊行為などなど、それが「正義」だと勘違いした行為はもう目に余るほどだ。
　それが全国各地で起きている以上は、自粛警察たちの言い分に仰せご尤もと納得するわけにはいかない。自粛が「普通」だなんて、そんな「異常」な感情に賛同するなんてできるはずがないのだ。

　自粛警察は外出者を「意識が低い」と断じるし、外出者は自粛警察を「差別者」としか認識できない。この両者に、互いに歩み寄れる余地がないということは、今後もこれまでに起きていたような衝突、抗争が継続していくということである。感染状況に改善が見られなければ、さらに感情的かつ理不尽なレベルにまで悪化していくことは間違いない。
　ウレタンマスクが不織布マスクに比べて防疫効果が低いとなれば、これからは「ウレタンマスク着用者差別」が起きることは必至だ。既に「ウレタンマスクお断り」の店舗もあるというのであれば、その流れは全国的に拡大していくだろう。オヤジ狩りのように、「ウレタンマスク狩り」が現実のものとなる可能性は決して低くはないのではないか。

　正直な話、緊急事態宣言後も「人出が減らない」ことは、悪くない傾向だと思ってるよ。みんなもう、「自粛したって意味がない」ってことに気づいてるってことなんだから。
　感染の抑制は、もうワクチンの普及に頼るしかないんだよ。散々PCR検査を拡大して、無症状者を洗い出せって言われてたのに、「目先の医療崩壊」を恐れるあまり、検査数を抑制した結果、予想以上の医療崩壊を招いてしまったのだ。いまさら検査をとか自粛をとか言ったって、もう手遅れだ。会食を控えても、密を避けても、感染するときは感染する。そう覚悟を決めるしかない。
　誰かを非難したり、バカにしたりしても、何も解決しやしないのだ。自分でできる範囲で感染対策をしたら、後は運を天に任せようよ。それしかしようがないんだから。だから、密になっててお喋りがいるレストランを避けても構わないんだけど、それを責め立てるような呟きはやめようねってこと。ホント、意味ないから。