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2020年05月31日22:53

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時期と売り方では大ヒットしたかも、なのに/【大きなネタバレなし】映画『シグナル100』

■橋本環奈 R15+の新境地で鬼気迫る演技を見せた超問題作DVD化
(ドワンゴジェイピーnews - 03月12日 13:10)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=217&from=diary&id=6006194

 緊急自体宣言の解除で、繁華街に客足が戻りつつある今日この頃。
 日曜のキャナルシティもまあまあの人通りで、混雑とまではいかないものの、宣言直前の閑古鳥状態ではなくなっている。向こうからやってくる人とすれ違うときに立ち止まって避けないといけなくなったからな(逆に言えば宣言前は本当に人通りがなくて、楽々歩けたのである)。
 しかし映画館となると、来館者は未だにチラホラいるなあといった程度で、午前10時の開館前、チケット売り場前の行列も20人程度。100人以上がズラリと並んでいた頃に比べると、商売が成り立ちそうにないほどの閑散ぶりである。
 そんな中でも、某シューキョー映画には満席表示が出ているのだから、信者さんの不断の努力には感心してしまう。もちろんネットでチケットを購入しただけで、来場している様子はない。我々映画ファンは、ヒットしてほしいと思ったら、その映画に何度でも足を運んだものだったがなあ。妻なんか、ある映画に三週間ほぼ毎日通って20回以上観てたがなあ。

 『シグナル100』は関東では今年一月に公開、福岡ではようやく今月ロードショーされた作品で、来月にはもうDVD、Blu-rayが出てしまう。周回遅れみたいな鑑賞になってしまったが、他の映画は殆ど観てしまっているので仕方がない。ハシカン主演だから、地元民としては応援するに吝かではないからって、鑑賞理由はその程度。
 なんかねー、ハシカンって、充分売れちゃいるんだけど、どこか「いつかパッタリ売れなくなるのではないか」という天地真理状態(たとえが古いよ)になりそうな不安定感があるんだよねえ。『銀魂』やら『斉木楠雄のΨ難』やら、イロモノ役では結構ヒットを飛ばしてるけど、正統派ヒロインを演じてこれって印象に残る作品があまりない。ホラー映画のヒロインってのも、キャーキャー喚いて最後は殺されるってお定まりパターンの大根演技しか要求されないことも多いから、決して得する役回りではないのである。
 実際、今回の映画でも、主役らしい活躍なんて、本当にちょびっとしかない。原作マンガは未読なので、責任が原作にあるのか脚色にあるのかは分からないが、ヒロインの「立たせ方」をもっと入念に練る必要があったのではないか。なぜ彼女が生き残っていくのか、物語の中での説得力を持たせる努力があまりなされてはいないのである。作り手に「ハシカン、可愛いからいいじゃん」って程度の意識しかないのであれば、映画は死ぬよ。まあ概ね死んでた。

 設定は何だかどこかで観たことあるようなバトルロワイヤル。ちょっと工夫があるのは、生徒たちを死に導くのが「後催眠」だって点。ある「シグナル」を感知すると自殺する暗示が、クラス36人全員に掛けられる。助かる方法はただ一つ、「最後の一人になって生き残ること」。そして始まるのは、相手に「シグナル」通りの行動をさせて自殺に追い込む「自殺ゲーム」。さっきまで親友だったり恋人だったりしてた相手が、自殺への「罠」を仕掛けてくる恐怖でストーリーを引っ張っていく展開。
 原作者は『不能犯』の人なんだね。この「後催眠」の設定に乗れるか乗れないかで、映画の評価も賛否が分かれると思う。催眠術で人を自殺に追い込むことはできないってのは『刑事コロンボ/5時30分の目撃者』でも言及されてたことなんだが、実にみなさん、暗示通りに簡単に死んでいくねえ。簡単すぎて死に重みを感じられなくなるのは『バトル・ロワイヤル』と同じ。
 あれの劣化コピーだなと感じたのは、『バトロワ』の栗山千明や柴咲コウ、安藤政信といった強烈なキャラクターがいないこと。いいキャラなのに早々と死んじゃって「もったいない」って思うこともないんだよね。こういうマンガチックな設定の場合、キャラ設定はホントに大事。
 展開次第では面白くなるはずなのに、一番悪辣なヤツの「罠」のアイデアに稚拙なものが多くてね。そいつが友達を次々と殺していく動機にBL的な雰囲気があるのは新機軸のつもりかもしれないけれど、そのあたりを「狙ってる」感じがするのは、腐女子の方々にはかえって拒否感を覚えさせてしまうのではないか。
 荒唐無稽は承知の上で観れば文句も出ないんだろうけれど、催眠暗示にも個人差があるって知ってる身にはちょっと付いていけないものがあった。暗示にかかるヤツ、かからないヤツ、そこに差異があるとしたらその要因は何かとか、そういう謎解きがあった方が、もうちょっとサスペンスを盛り上げることができたんじゃないかなあ。

 ゲームの仕掛け人は『バトロワ』と同じく、教師である。でも『バトロワ』の北野武が生徒たちからバカにされていたのに対して、本作の中村獅童は日頃から生徒に優しく、慕われている。それが一転、狂気に捕らわれてしまうのだから、何かきっかけになるような設定があるのかなあと思って観てたけれど――理詰めで説明するシーンが作劇的に邪魔になると作り手が考えたのか、その辺りの描写がほぼないんだよね。いや、犯人の動機を説明しなくてもいいドラマもあるけど、これには必要だったんじゃないの?
 結論としては、「面白くなりそうなのに面白くなるポイントをことごとく外した映画」というのが『シグナル100』の率直な印象である。雑な出来だったとは思うけれど、『バトル・ロワイヤル』の方が100倍は面白かったなあ。
 ああ、そうそう 、タイトルについてる「100」は自殺のきっかけになるシグナルの数です。このシグナルの中には「そんなんあるか」と突っ込みたくなるようなものも結構あって、それが小ネタとしては面白いというのがこの映画の数少ない美点。シグナル考えた中村獅童のおちゃめな性格がうかがわれるのが楽しかったね。 


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