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2020年03月27日00:01

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追悼・増岡弘さん/悪人になりきれない声の人

■声優の増岡弘さん死去 83歳 『サザエさん』マスオ役 『アンパンマン』ジャムおじさん役など
(ORICON NEWS - 2020年03月26日 16:28)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6023291

■増岡弘さん死去 『サザエさん』スタッフ&現マスオさん役・田中秀幸が追悼【コメント全文】
(ORICON NEWS - 2020年03月26日 16:47)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6023313

 マスオさんとジャムおじさんを同時に降板されたときから、ある程度は覚悟していたことではある。
 けれどもあまりそのことを強くは意識しなかったのは、年を取られて、声が衰えていく声優も少なくない中で、増岡さんは降板する直前まで、まだまだ元気に演じられているように感じられていたからだ。
 実際には、昨年から闘病生活に入られていたのだろう。先代カツオ役の高橋和枝さんも、先代フネ役の麻生美代子さんも、降板して程なく亡くなられてしまったが、増岡さんもギリギリまで役を務めあげようとなさっていたのだと思う。

 戦前生まれの「声優第一世代」が概ねそうであるように、増岡さんもまた、声優という括りよりも、俳優の一環として声の演技がある、そういう方だった。
 ちょい役ばかりではあるが、ドラマの顔出し出演も少なくない。ほんのわずかなシーンであっても、声の特徴ですぐに増岡さんだと分かる。でも私の知り合いは必ずしもオタクばかりではないので、「ああ、増岡さんだ」と言っても、「誰?」と返されてしまう。それが悔しかった。
 オタクかパンピーかの識別って、ここで出来ちゃうんだよね。パンピーは「このキャラの声」でしか認識しないけど、オタクはちゃんと俳優として名前を覚えている。別に頑張って覚えようとしているわけではなく、自然と、「あれ? この声の人、前に別の作品のナントカってキャラもやってなかったかな?」って気づいて、名前を覚えるのだ。
 増岡さんの場合も、それこそ声優デビュー作の『狼少年ケン』(1963〜1965)で大熊役を演じてた頃から観てるからね。あの頃から、ひょいと裏返る独特の声が耳についていたから、「この声は!」って気がつくようになったのも早かった。子どもの頃の私には、主役陣よりも、悪役の虎のキラー(内海賢二)、子分の山猫(大竹宏)、ゴリラ(神山卓三)、大熊(増岡弘)のトリオの声の方が全然魅力的に感じられていたのだ。
 今や現役で活躍されているのは大竹さん一人。寂しい。

 ご本人のお人柄もあったのだろう、優しくて、ちょっと抜けたところのある好人物を特異としていたが、逆に悪役となると懸命にドスを利かせても、どこか愛嬌を感じさせてなりきれないような弱みはあった。やはりマスオさんやジャムおじさんの方が当たり役だったのである。
 個人的には『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(1982)のフェナリナーサの王様役が印象に残っている。沈着冷静な王妃様との対比で、何かと言えばモモのことを心配してあわてふためく様子がおかしかった。「〜だばだば!」という王様の口癖を覚えていらっしゃるアニメファンも少なくないだろう。

 『サザエさん』のマスオさんに関しては、初代の近石真介さんのイメージも強かったので、交代当初は役作りに苦労されていたのではないかと思う。特に初期のマスオさんは、結構な浮気性で、バーのマッチなんかをサザエさんに発見されてとっちめられたりもしていたから、イケボで線の細い、やや甲高いくらいの近石さんの声の方が合っていたのである。
 それが急に太くて低くてダミ声と言ってもいい増岡さんの声に変わったのだから、当時は相当驚いた。けれども不思議なもので、卵が先か鶏が先かは定かではないが、マスオさんのキャラクターがどんどん気の優しい、抜けてるところはあるけれど真面目な善人で、悪く言えば毒にも薬にもならないような人物に変貌して行くにつれて、増岡さんのあの声がピッタリに感じられるようになっていくのである。
 特にマスオさんの声の代名詞的な「え〜〜っ!?」っと驚く声、あれがマスオさんのキャラクターを決定づけたと思う。大げさだけれど声が裏返ってるものだから間延びして聞こえて、まさしく「抜けた感じ」のマスオさんらしさを感じさせていた。
 あの声の出し方を真似しようとしたけれど、なかなか難しくてね。坂本頼光はやっぱり凄いよ(笑)。
 こういう例もあるから、声優が代替わりするのは嫌だとか、簡単に言うものじゃないよ、と思う。

 本当にたくさんの番組に出演されていたから、もう増岡さんの声が聞かれなくなるのだと思うと、寂しいし信じられない。多分、アニメや洋画の再放送があれば、「あれ? この声、増岡さんだよね?」と気がつくことが多々あると思う。
 かけがえのない人を失った寂しさは、そのときにまた実感することになるのだろう。

 合掌。
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