■コロナ「ばらまく」男性死亡＝感染後に飲食店、持病影響か―愛知
(時事通信社 - 03月18日 15:31)
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ボイスの方で呟いたら、えらく炎上してしまった(笑)。なんだかなあ、ホント、自分を正義だと思い込める偽善者って、そのへんの巷にゴロゴロしてるね。
もちろん、この日記を読んでる人間の中にも、偽善者はゴマンといるだろうし、こちらはボイスと違って、長文のコメントも可能なので、さらにウダウダと難癖付けてくる人間も出てくるかもしれない。でも基本的に、難癖付けてくる人間って、読解力が低い人間しかいないんだよね。
私が呟いたのは次の二つ。
「男性には元々重度の疾患があったとか。自暴自棄だったのかな。こうなると入院させずに自宅待機させた愛知県の責任の方が重いよな。」
「行動自体は批判されて当然だが、天罰とか言って糾弾するのは筋違い。あくまで感染被害者だから。自分が感染したらって想像してみなよ。」
短文だが、読解力のある人なら、私が男性を擁護などしていないことは理解できるはずである。
以前の日記にも書いたことだが、男性の法的な罪としては、他人に感染させたことが立証されれば、「傷害罪」が成立するし、来店したパブに損害を与えた点では「偽計業務妨害罪」か「威力業務妨害罪」に該当する可能性が高い。被疑者死亡で書類送検されるべきた、という意見はその通りなのである。
感染させられた女性に対しても、同情を禁じ得ない。場所はフィリピンパブだったということだが、男性の心の中には、もしかしたら「死ぬ前の道連れに�狃��瓩魎鏡�させてやる」「フィリピン人なら感染させても構わない」というどうしようもない差別意識があったのではないだろうか。
もしそれが犯罪の「動機」であったとしたら、まさしく「許しがたい犯罪」である。そのことを否定したことは一度もない。
ただ同時に、当該男性が、常日頃、自身の肝細胞癌に関して極めて悲観的な考えを持っていて、さらに新型コロナウィルスに感染したと知ったときに、どのような心理状態になるか、やはりそのことも想像してしまうのである。
もちろん、多くの人が、実際にこれまで重病や難病で余命宣告を受けた人々の殆どがそうであったように、たとえ自暴自棄になったとしても、他人を巻き添えにするような「逆恨み」「八つ当たり」(なんて軽い言葉では足りないくらいだが)をしようとまでは思わない。粛々として運命を受け入れる人間の方が大半だろうと思う。
しかし、いざというとき、人間が本当に冷静な行動を取れるものなのか、という疑問はどうしても残る。普段は落ち着いていて冷静な人間が、パニックを起こしてとんでもない行動に出てしまう――そうした例も、決してないわけではない。当該男性も、病気になるまではごくごく真面目な、普通の社会人であったかもしれない。「私たちと同じ」であったかもしれないのである。
この男性と違って、「私たち」がパニックを起こさないとしたら、それはなぜか？
たとえば、自分がヤケになることで、家族を苦しめることになるかもしれない、と考えてみる。家族の顔が心に浮かんで、怒りや恨みつらみをぐっとこらえようとする。あるいは、酒を飲んでも、遊びに興じても、何も報われないことに気づく。誰かを憎んで、粗暴に振る舞ったり暴力に訴えたりしても、運命は変わりようがないという諦めの境地に達する。いろいろあるだろう。
しかし、暴走しそうになる心を治められるものがあるとしたら、それは結局「自分は一人ではない」と思わせる何かがあったなら、ということに尽きると思う。「死ぬなら誰かを巻き添えに」というのも、それは「孤独」が生み出す邪念なのだ。
そして、「個人」にそれを感じさせてくれるものは、小さな単位としては「家族」であり、大きな単位としては紛れもなく「社会」である。
件の男性の行為は、「赤の他人を巻き添えにした自殺(心中未遂)」なのではないかという気がしてならない。だとしたら、それを止める手段はなかったものかということを、考えざるを得ないのだ。
保健所が男性に自宅謹慎を要請したときに、何らかの心のケアを行っていたのだろうか、とか、「移してやる」と家を飛び出そうとしたときに、家族は必死で止めたのだろうか、とか。
もしも行政の対応がおざなりなもので、家族も大して深く考えることもなく見逃していたとしたら、男性の絶望感は普通ではないほどに増大してしまったのではないか。そう想像してしまう。
その意味では、「愛知県の責任は」云々については、男性への具体的な説得の内容がわからないので、十分不十分の判断は簡単には下せない。しかし、�犒覯未箸靴騰畸棒�が暴走してしまったことは事実である。詳細が分からないからこそ、その結果に至るまでの過程に不備があったのではないかと疑うことは、特に「社会の責任」については、「追及しなければならないこと」なのである。
仮に、自宅待機ではなく、即時入院を保健所が要請していたら、男性は自暴自棄にはならなかったかもしれない。少なくとも隔離されていればフィリピンパブには行けなかったのである。病床が足りなかった、というのが理由なのだろうが、「そういう言い訳をしてはならない」のが本来の行政の仕事なのだ。
「こんな大きな水害が起きるとは思わなかった」「こんな大地震が起きるとは想定外だった」。もうどれだけこの言い訳を聞かされてきたか、数え切れないほどであるが、実はそれだけ行政が「過去のデータ」を無視してきたという証拠でもある。
昨年から今年にかけて、医療費の予算は500億円も削減されたが、国民への自己負担を増やし、医療施設への設備投資も抑制しようとするこの動きに、「国民の安全を守る」という視点が欠けていることは明らかだ。
感染症の大流行は、スペイン風邪の昔から、MERS、SARSに至るまで、何度も何度も繰り返されてきたことである。「予測ができなかった」というのはあまりにも危機意識が低いと言わざるを得ない。それは官民双方に言えることである。
私のボイスに絡んでくる人たちが、国としての準備が整っていなかったことについて、実に簡単に「仕方がない」と答えてしまうことには驚きを禁じ得なかった。重度の疾患があった男性に対して自宅待機を要請する保健所の対応に、怒りを覚えるどころか、もっと重度の症状が出ている患者を優先すべきだ、と言ってしまえる感覚の「おかしさ」に気がついていないのだ。
今は症状が見られなくても、重篤化すればすぐに命の危険に晒されることは、十分知っていなければならない専門家が、何と暢気なことか。仮に県内に適切な施設がなく、病床が足りていなかったとしても、県境を越えてでも即時入院を促して搬送すべきではなかったか。少なくとも、その準備をした上で告知しなければならなかったのではないか。
もちろん、愛知県や保健所の法的な責任を問うことは難しいだろう。自宅待機の要請と、男性の暴走との因果関係を証明するにはあまりにも証言が少なすぎる。しかし、現実に男性が感染を拡大させてしまった以上は、「道義的な責任」は愛知県にも保健所にもあることは否定できないことだろう。
男性の死を「天罰だ」と言って、そこで思考停止してしまうのは、迷信に基づいて発言する愚も問題だが、社会の感染対策が未だ不十分であることからも目を逸らすことになってしまう。
再度、念のためにダメ押しで言っておくけれど、男性の周囲や社会の責任を糾弾しても、それで男性の罪(法的な意味での本当の罪)が軽減されるわけじゃないからね。男性擁護じゃないんだよ。
その点を思い違いをする人が多いのは、男性への憎悪を感情にまかせてぶちまけた人たちが、それを窘められたことに対してまさしく感情的に反発しているからなんだろうな。しかし、個人的な憎悪や怨嗟の念に紛れて、行政が新型コロナウィルスの感染拡大への対応が後手後手に廻っている事実に目が向かなくなるのは、極めて「危険」なことだと思うのである。
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