mixiユーザー(id:1846031)

2020年02月29日10:28

450 view

ロームシアター京都新館長を巡るパワハラ事件

■ロームシアター京都 一部の公演で「辞退」の可能性 新館長人事めぐり波紋
(毎日新聞 - 2020年02月19日 23:14)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5979570

■パワハラ?次期館長人事めぐり劇場の演目が大揺れ 舞台関係者ら「懸念」公演辞退も、京都
(京都新聞社 - 2020年02月23日 19:30)
https://www.47news.jp/localnews/4550461.html

■ロームシアター新館長「選定経緯公表を」 平田オリザさんら公開質問状
(毎日新聞 - 2020年02月14日 12:22)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5972931

●劇団“地 点”解雇事件 - 映演労連
(映演労連フリーユニオン 劇団“地点”解雇事件ニュース No.1 - 2019年08月号)
http://www.ei-en.net/freeuni/archive/pdf/chiten_190923.pdf

●団体交渉 経過のご報告
(地点 CHITEN 京都 ニュース - 2020年01月29日)
http://chiten.org/news/archives/80

■三浦基氏のモラルハラスメント問題について
(青年団 主宰からの定期便 - 2020年2月13日)
http://oriza.seinendan.org/hirata-oriza/messages/2020/02/13/7893/

■三浦基氏のモラルハラスメント問題について、その2
(青年団 主宰からの定期便 - 2020年2月27日)
http://oriza.seinendan.org/hirata-oriza/messages/2020/02/27/7921/

 ロームシアター京都へは、こけら落とし公演の一つ、楳図かずお原作の『わたしは真吾』を観に行った。高畑充希と門脇麦が共演したやつね。広さよし、座席よし、音響よしの、威風堂々たる大劇場で、福岡でこれに匹敵する劇場はと言われれば、北九州芸術劇場大ホールくらいしかないと思う。ここの館長(と言うか、実質、芸術監督だと思う)に任命されるとなれば、これは演劇人にとっては充分以上の大栄誉だろう。

 その館長にこの四月から就任することが発表されたのが、劇団「地点」の主催者・三浦基氏である。彼に劇団員に対するパワハラ・モラハラ疑惑があることは、小耳に挟んではいた。
 けれども私は「地点」の舞台を見たことはないし、三浦氏の人となりもよく知らなかったので、何か意見を述べたいとまでは思わなかった。「事件」は昨年の半ば頃から始まっていたのだが、私はそのまま、コトの推移をぼんやりと眺めていただけだった。

 京都での一事件に過ぎなかったこの騒動が、毎日新聞に取り上げられて全国ニュースになったのは、今月半ば。三浦基の師匠筋に当たる、「青年団」の主催・平田オリザの「参戦」によって、状況が奇妙な方向に歪んでいくことになったのだ。
 いや、歪みと言うなら、モラハラ騒動の当初から、この事例は他のハラスメント騒動とはまるで違った、おかしな面が多々あったのである。

 映演労連が記事にした、そもそもの「地点」の劇団員解雇事件。
 三浦氏が被害者とされるAさんに向かって発言したという「なんとなく君がいらないってだけ」「辞めろって言い方になっちゃう、まぁ最初からそう言ってるんだけど」「もっと若い人にかけたい」などなど、これらの告発を読むと、確かに三浦氏の止めさせようとする態度は極めて不当かつ理不尽で、非があるのは完全に三浦氏側であるように見える。
 それが本当に事実であれば。
 記事を読んで違和感を覚えたのは、ハラスメントの実態が、一見、具体的かつ詳細に書かれているように見えて、実のところかなり曖昧なことである。
 なぜなら、Aさんと、三浦基氏とのやりとりは、殆ど「密室」状態の時に行われたものらしいからだ。となれば、真偽を認定することはかなり困難を要する。なのに映演労連の三浦氏を告発する舌鋒は極めて断定的で、異論や批判は挟ませないぞという頑迷さが随所に感じられるのだ。
 いや、映演労連、何一つ事実を「検証」してないじゃん? それらの発言が事実だって証拠、どこにも書いてないよ?

 三浦氏は、もともと平田オリザの主催する青年団の劇団員であった。そこから独立して、自身の劇団・地点を作った。独立の経緯について、詳細はよく分からないが、三浦氏が語ったとされる「あんなチャラチャラした遊びの劇団にいても役に立たないよ!」という発言が事実だとすれば、必ずしも円満な脱退ではなかったようである。後述する平田オリザの批判文を読んでも、二人の間柄は険悪であったと判断せざるを得ない。
 Aさんは、青年団が主催する演劇学校・無隣館の出身で、つまりはやはり平田氏の懐から飛び出して、三浦氏を追いかける形で地点に所属した、という流れだ。
 ではなぜその後、三浦氏はAさんを追い出すような行動に出たのか、そこには何らかの「理由」があったに違いない。なのに映演労連の記事は、Aさんの解雇に際して「明確な解雇理由が説明されることは一切ありませんでした」と書くのみで、その理由の調査もしていない。

 結局、最後まで記事を読んでも、現実にそれらのハラスメント行為があったのかどうか、解雇理由は何だったのかの検証は全くなされていない。Aさんが言ったと推測される内容をそのまま事実と認定して、団体交渉に臨んだ旨が説明されているのみである。
 映演労連がなぜAさんの言い分を何の疑念も抱かずに盲信したのか、理由が説明されていないのでは、第三者の立場として、書かれてある内容をそのまま信じることは困難である。
 それなのに「演出家の立場を利用したハラスメント行為に対して、 勇気をもって立ち上がったAさんの闘いに、是非ご注目・ご声援をお願いします!」とまでアジられてしまうと、そちらの方が極めて偽善的、高圧的な姿勢に感じられてしまう。常識的な感覚があれば、なにがしか虚偽がそこにあるのではないかと判断するのが普通だろう。

 そもそも映演労連フリーユニオン自体、典型的な左翼運動の温床で、右翼的な映画には中止運動を行うが、左翼的な映画に同様の運動が起きると反対を示すという、ダブルスタンダードな思想的な偏向のある組織なのである。「表現の自由」の意味なんて根本的に分かっちゃいない。Aさんが解雇後にそこに駆け込んだというのは、悪く勘ぐれば、最初からそれが目的で地点に潜入したのではないかという疑念だって浮かんでくるのだ。
 ただの憶測だろうと言われることを承知の上で言うが、三浦基と地点がAさんに「嵌められた」可能性、これは決してゼロではない。じゃあ、Aさんに三浦氏を罠にかける動機があったのかというと、その背後にいるのがこの人なのではないかと感じざるを得ない人がいるのものだから、疑いの目を向けざるを得ないのである。

 地点は、劇団員「全員の連名」で、一切のパワハラ・モラハラ行為がなかったことを告知している。
 ということは、三浦氏との密室でのやりとりはともかく、Aさんが稽古で受けたというパワハラは、全てAさんが作ったフィクションだと逆告発していることになる。「理由もなく稽古着にケチをつける、劇団全員参加のミーティングで意見を求められ発言しても『新人は何も分かってない』と、Aさんの意見を全否定する」などの行為は何もなかったと、三浦氏だけでなく、地点は「全員で」主張しているのだ。
 もちろん、Aさんと映演労連は、地点側がみんなで口裏を合わせているのだと反論するだろう。しかし、ある加害事実があったと証明する義務は、告発する被害者側の方に課せられている。パワハラが「ない」と主張する地点側には、「ないこと」を証明する立場にはない。いわゆる「悪魔の証明」というやつである。「パワハラがあったよ」という第三者による証言がない以上、Aさんと映演労連の主張を無条件に信じるわけにはいかない。それが常識的かつ客観的な判断というものだ。
 地点側がAさんを解雇した理由について、詳細に述べないのは、団体交渉の最中にいたずらに世論をかき回すような行為を控えるように担当弁護士から助言されたという言い分で十分に納得できる。現段階で説明不足と追求するのは、「パワハラはない」と主張する地点への言いがかりでしかない。

 ところがその「言いがかり」を繰り返しているのが、三浦氏とAさんの元の師匠である平田オリザだ。彼の青年団での三浦氏批判を読んで、これは平田氏とAさんの言い分の方がおかしいと判断するに至った。
 平田氏の主張の中で、何度か繰り返されているのが「蓋然性(=確率)」という言葉である。「パワハラの内容については、一部、音声記録や膨大なメモが残っており、私はおおむね事実である蓋然性が高いと認識しています」「裁判となった場合、被害者側の多くの証言者が、三浦氏の日頃の言動から、このような発言をする蓋然性が高いという証言をするでしょう」という使い方だ。
 いや、「可能性」と言う表現ならともかく、「蓋然性」なんて曖昧な表現は使わないと思うけど? それにAさんと三浦氏のやりとりは「密室」での出来事なのに、なぜ「被害者側の多くの証言者」がいるの? もちろん平田氏はそれが誰かは一切記さないのである。……存在してないんじゃね?

 さらに言えば、平田氏は「密室でのことですから、被害者側が、そのすべてを立証することは難しいかと思います」と言っているが、「音声記録」が残っているのなら、それはパワハラの立派な証拠になるのではないか。体操女子の宮川紗江が塚原夫妻を告発したときには、録音記録が証拠になったよ?
 なのに「立証は難しい」ただし「蓋然性が高い」という曖昧な表現をしているのはなぜなのか。音声データ(おそらくは三浦氏からAさんへの「辞めろ」というくだりなのだろう)を証拠として提出すれば、事件を団体交渉ではなくて裁判に持ち込むことだってできるはずだ。なのにAさんと映演労連はなぜかそれを実行しようとはしていない。
 もしかすると、証拠として提出できない理由でもあるのか(例えばそれが盗聴されたものであれば法的証拠としては採用されない)、あるいはそんな音声データも口からでまかせで、存在していないのではないかという疑問すら浮かんでくる。

 少なくとも証拠能力に欠ける証言やメモでもって、一人の個人を、劇団を簡単に告発して言いわけがないことくらいは、誰の目にも明らかだろう。
 平田氏の「彼を知っている周囲の人間からすれば、今回の案件は、『これくらいのことは言っているだろう』と感じるものでした」という主張も、憶測に基づく発言と言わざるを得ず、平田氏の発言の信憑性を著しく減ずる理由になっている。
 平田氏が伊藤詩織さんのレイプ事件を引き合いに出しているのも、ミスリードを招こうとするやり口のように見えて仕方がない。伊藤さんの場合、性交渉が行われた事実自体は原告被告ともに認めている。それが合意の上であったかレイプであったかで争われているわけで、その裁判も、刑事においては不起訴、民事は一審判決後に有罪となった原告が控訴して、未だに係争中である。結論はまだ出ていないのだ。
 なのに平田氏は、「伊藤さん勝訴」の前提で、被害者の言い分の方が正しく見えるように読む者の認知を歪ませようとしている。こういう論法を用いる人間を、果たして信用することができるだろうか?

 繰り返すが、三浦氏はパワハラがあったという事実自体、認めてはいない。伊藤さんの事件と比較できる案件ではないのである。それを平田氏は「特異性」と呼ぶが、本当にパワハラが事実無根であれば、特異でも何でもない。そう主張するしかないのだからしているまでのことだ。なのに「特異性」と呼ぶのは、決して双方の立場をフラットに観ているとは言いがたい。平田氏は最初から「Aさんが正しくて、三浦氏がパワハラを行った」という方向に、話を誘導しようとしているのである。
 証拠もないのに、舌先三寸で一人の個人の人間性を貶めようとする平田氏の方が異常だと考えざるを得ない。

 この事件に果たして「仕掛人」はいるのかどうか。
 目の前にこれだけきな臭い人間がいれば、疑わざるを得ないのではないか。
 普通の読解能力があれば、平田オリザの言ってることが矛盾だらけだって気がつきそうなものだけれど、彼に加担している連中は、義務教育並みの読解力もないのかね?
 私もTwitterで、演劇界を代表する人々を十人前後フォローしているが、ロームシアターの件についてのつぶやきは殆ど見られない。ロームシアターへの公開質問状に名を連ねているのも、平田オリザを含めたわずか十六名である。
 映演労連のこれまでの偏向的なやり口と、Aさんや平田オリザの主張の矛盾を見れば、みなさん簡単に賛同はしかねるという判断をしているのではないか。質問状以前に、パワハラがあったのなら、その証拠をAさんと映演労連は提示して、団体交渉ではなく、民事裁判に持ち込んで、白黒決着を付けるべきなのではないか。
 それをしない限り、この解雇事件は三浦氏への冤罪という形でしか決着がつきそうにないように思えるのである。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829