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2019年10月22日06:50

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追悼・吾妻ひでお/SFと美少女を愛する全ての人に

■吾妻ひでおさん死去=漫画家「失踪日記」、69歳 
(時事通信社 - 10月21日 15:02)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5834159



 1981年に大阪で開催されたSF大会。そのオープニングで上映されたのが、今や伝説となった、「DAICON OPENING ANIMATION」。
 制作スタッフは、庵野秀明、赤井孝美、山賀博之らで、これが彼らの実質的なデビュー作となる。その制作の経緯は、島本和彦『アオイホノオ』に詳しい。
 全くの素人である学生が制作したとは思えないハイクオリティな作画技術に、驚嘆、狂喜したアニメファンは数多い。当時、アニメ専門誌に取り上げられたほどの傑作で、ビデオで販売されるや、売れに売れて、製作費をはるかに超える収入を上げたという話である。
 ご覧になっていただければお分かりの通り、ほんの五分程度の作品の中に、SF漫画、アニメ、特撮のキャラクターたちが次から次へと目まぐるしく登場している。当時を知る人には説明の必要もないが、ヒロインの少女は明らかに「吾妻ひでおの描く美少女」だった。他にも科学特捜隊の制服を着た「不気味」や「ナハハ」、ゴモラのような「三蔵」、やっぱりナハハ眼のキングギドラなどが登場していて(いしかわじゅん「パンクドラゴン」も!)、吾妻ひでおが、いかに「SFの星」として認知されていたかが窺える。

 当時、SFファン、アニメファンの誰もが、「吾妻ひでお」がアニメになることを望んでいた。吾妻ひでおチルドレンと言ってよい高橋留美子『うる星やつら』がアニメ化され、大人気を博していたから(彼女の登場が、「少年サンデー」の売り上げを倍増させ、「少年ジャンプ」の牙城を脅かしていた)、「元祖」である吾妻ひでおもまたアニメ化を熱望されていたのだ(同人誌に勝手にアニメ化の企画書が書かれたりもしていた)。
 吾妻漫画の何をアニメ化してほしいかと言われれば、ファンはもちろん『やけくそ天使』や『スクラップ学園』、あるいは『不条理日記』など、SF色の強いナンセンス・スラップスティックなギャグ作品を上げていたことだろう。
 しかし、実際にアニメ化されたのは、1982年の『おちゃめ神物語コロコロポロン』(原作『オリンポスのポロン』)と1983年の『ななこSOS』。原作がもともと「一般向け」を意識して描かれた作品で、アニメになってさらにSF色が薄められたために、ファンは大いに落胆したのだった。当時としても作画レベルが決して高くなかったことも評価を下げることになった(主題歌は未だに人気があるようで、カラオケでも配信されている)。実はあまりに酷すぎて、私は両作とも数話で視聴を止めてしまった。だから若い人で、「子どもの頃、『ななこ』が好きでした」なんて言う人に出逢うと、複雑な心境になってしまうのである。
 どうせなら、プロになった(エヴァ以降の)庵野秀明らガイナックスのスタッフの手で、『ななこ』をリメイクしてくれないものか、そんなふうに思っていたファンは、決して少なくはなかったろう。

 「ビッグ・マイナー」と呼称されていた通り、吾妻ひでおの熱心なファンというのは、極めてコアなSFファンが多い。これが、一般人には「何が面白いのかよく分からん」という不当な評価につながる。しかし、その影響力は一部に留まるものではなかった。その点、吾妻ひでおはつげ義春と類似した立ち位置にいる。
 高橋留美子が美少女とナンセンスギャグの融合で時代を築き、数多くのフォロワーを生んだことを鑑みれば、その元祖たる吾妻ひでおがいなければ、現代漫画の隆盛はなかったと言っても、決して過言ではない。少なくともオタクの心を虜にする「萌え絵」は生まれていなかったと断言してよい。美少女イラストが「性差別だァ!」と似非フェミニストに糾弾される事態にもなっていなかったかもしれない(苦笑)。

 吾妻ひでおは、生涯、既成概念を、腐った常識を、排他的な固定観念を嘲笑していた。そのための武器が、可愛らしさを徹底的に追求した美少女たちと、彼女たちを取り巻くアブノーマルな変態どもと意味不明なキャラクターたちだった。だから吾妻漫画は「SF」の金字塔たり得たのである。
 復帰してからの吾妻さんは、同人活動が中心となった。健康状態の問題もあって、定期的な連載には耐えられなかったのだろう。遺作となったのは、どうやら復刊された『不条理日記 完全版』の描き下ろし短編のようだ。吾妻漫画を読んだことがないと仰る方は、どれか一冊を選ぶのなら、これを読んでほしいと思う。
 全く一般向け、初心者向けではないから、意味が分からなくて途方に暮れるとは思うが、それでも「面白い」と感じることのできる人がいてこそ、漫画は、SFは、ギャグは、次世代に継承されていくと信じるからである。

 合掌。








 


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