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2019年08月18日23:59

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和製ミュージカルが成功する道はないのか/【ネタバレあり】映画『ダンスウィズミー』

■ムロツヨシ、三吉彩花の普段着に大興奮「スポーツブラに透明のシャツを着てるんですよ!」<ダンスウィズミー>
(モデルプレス - 2019年08月16日 21:19)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=137&from=diary&id=5750825

■矢口史靖監督最新作『ダンスウィズミー』公開記念! ユーモアたっぷりで心に刺さる傑作ぞろい!矢口映画10本まとめ
(ガジェット通信 - 2019年08月17日 23:12)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=85&from=diary&id=5751814

■三吉彩花、体調を崩すほどのプレッシャーに「今言ったら間に合うかな」
(ドワンゴジェイピーnews - 08月18日 10:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=217&from=diary&id=5752016

 舞台挨拶のムロツヨシさんの写真、殆ど浮浪者だけど、道端で通報とかされやしないかな。
 映画でのムロさん(と言ってはいけないらしい。ムロツヨシで繋がってる名前だそうだから)は、探偵・渡辺役で、要所要所で現れては美味しいところを攫っていく役どころ……なのか?
 監督はそのつもりなのかもしれないけれど、実際、見ている限りでは、何のために出てきたのかわからない。神出鬼没で場を混乱させるようなトリックスターでもない。途方に暮れる主人公たちを車に乗せるなど、物語の展開上、役に立ってはいるけれど、ドラマ上必要なキャラとして立っているわけではない。むしろ話のテンポを悪くしてしまっている。
 設定自体は悪くないのに、使い方がウィットに欠けていて、実にもったいないのである。肝心なところで脚本に綻びが目立つのは、矢口監督の悪い癖だ。

 未だに名前を正確に読んでもらえない矢口史靖監督の最新作『ダンスウィズミー』。
 「予測不能のコメディ・ミュージカル」という触れ込みだけれども、残念ながら展開自体はお定まりの予定調和と言う他はなく、落ちの落ちまで予測できてしまう。まさかこんなことになるとはという驚きに欠けているのだ。
 今週公開されたばかりの新作だが、初発の興行収入も決して芳しくはない。正式には明日の午後には発表されると思うが、だいたい10位あたり、おそらくはひと月経つか経たないかで打ち切られることになると思う。海外の映画祭でも大評判で、凱旋上映的な宣伝もされていたが、国内での観客の関心を誘うほどではなかったようだ。
 まあねー、舞台ならともかく、「和製の」ミュージカル映画ファンとか、本当に見かけないものねー。たまに作られる映画が駄作ばっかりだからってせいもあるとは思うけれど。

 昔から邦画界には「和製ミュージカル映画は当たらない」というジンクスがある。
 理由はいろいろと挙げられてはいる。日本人にはミュージカルに合う音楽を作る才能の持ち主がいない(だから日本製のミュージカルの名曲が生まれない)からとか、そもそも日本人にはミュージカルを楽しんで観る伝統がないからだとか。
 しかし、その最たるものは、日本人がどんなに懸命になって演じても、ハリウッドのミュージカルのような派手さや華麗さには程遠く、地味にしか見えないということがあった。短足胴長民族の悲哀である。

 初手から当たらないと分かっているから、配給会社も「ミュージカル」と聞いただけで出資を渋ってしまう。今回、制作に漕ぎ着けたのは、矢口監督のネームバリューがあってこそだろう。
 それに、昔と違って、日本人のルックスもかなりよくなっている。スラリとしたスタイルの美男美女も少なくない。三吉彩花も長い脚が魅力で、これはイケるかも、とちょっとは期待していたのだ。

 それでも結果は、苦しい戦いを強いられることになってしまった。同じミュージカルで、『ライオンキング』という強敵がデンと構えていたって運の悪さを考慮するとしても、これはあまりにも悲しすぎる惨敗である。
 矢口監督にとって、本作は16年間の構想の末の待望の映画化ということであるが、周囲が散々止めてきたのも、「コケるから止めといた方がいい」ということであったのだろう。夏休み後半に公開することにしたのは、学生やファミリー層を当てにしたからかもしれないが――。
 だったら、使用曲を70年代の懐メロポップスとかにしちゃいかんだろうと思う。山本リンダの『ねらいうち』とか誰得の選曲なんだ。50代以上をターゲットにしてどうするんだよ。

 結果論によって将来が測られてしまう現実は否めない。
 10位スタートでも、口コミによって興収がアップする可能性もなくはないが、実際に映画を鑑賞した感想は、よく言えばそこそこかまあまあ、悪く言えばイマイチでしかない。またしばらくは和製ミュージカルが作られる機会は遠ざかるのだと思うにつけ、矢口監督には、もうちょっと何とかできなかったのかと恨み言の一つも言いたくなってしまう。

 「今まで普通にしていたのに、いきなり歌い出す不自然さ」というミュージカルへのツッコミは、タモリが流行らせてすっかり定着してしまった感がある。けれども最近のタモリはそういうことはあまり口にしなくなった。だいたい『今夜は最高!』で、散々ミュージカル・コントをやってた人だから、ミュージカルを本気で嫌っているわけではない。出来の悪いミュージカルは、曲への入りのタイミングもよくなくて、盛り上がるどころか、かえってダレ場を生み出してしまう。そういう凡百のミュージカルへの不満がタモリにはあったのではないかと思う。

 矢口監督の『ダンスウィズミー』での試み、「催眠術によって、音楽を聴くと歌い踊らずにはいられなくなる」というアイデアは、一見、「いきなり歌い出す不自然さ」を解消しているように見えはする。
 けれどもこのアイデア、誰しも思い付きはするけれども、これまで実際にこの設定で映画を作ろうって製作者はいなかった。その理由を、果たして矢口監督は考えていただろうか? 
 「時も所もかまわずに歌い出す」ということは、ドラマの盛り上がりと音楽の盛り上がりをシンクロさせることが、逆に非常に難しくなるからだ。シーンによっては、「ここで音楽が鳴るのはおかしい」状況でも、音楽を鳴らして、ヒロインをむりやり躍らせなければならなくなるのだから、逆に不自然さが目立つことになる。『ダンスウィズミー』がイマイチ面白くないのは、やはり「タイミング」が悪いからなのである。

 矢口監督は、このアイデアの大欠点に気が付かないまま、映画を制作しちゃったのだ。これまでの映画もみんな「つまらなくはないけれども面白いところまでには至らない」レベルなのは、やっぱり、肝心なところが抜けてるからなんだろう。いや、誰かアイデアを補填する優秀なスタッフが周囲にいれば何とかなったとは思う。でもそれがままならないのが邦画界の層の薄さなのだろうね。「この脚本ではまだまだだ」って判断を下せるプロデューサーもいないのだ。
 周囲が一緒になって踊り出すのは、たいていがヒロインの「妄想」で、実際には踊っていない、というのも興ざめである。周りも催眠術で踊り出すのかと思っていたのにね。
 どうせミュージカルはミュージカルファンしか観に来ないのだから、妙なリクツを考えたりしないで、普通にいきなり歌い出すミュージカルを作ればよかったんじゃないか? 『ルパンの娘』でもミュージカルシーンがちゃんと受けてるんだからさ。

 長年のミュージカルファンとしては、宝田明が結構重要な役で出演すると聞いただけで小躍りしていたのだが、いかんせん、ちょっとお年を召し過ぎていた。せめて映画を構想した16年前に出演されていればね。その時だと三吉彩花は出られなかっただろうけれど。
 若い人には宝田さんがどれだけのレジェンドであるかはピンと来ないだろうと思う。高島忠夫と並んで、東宝ミュージカルの屋台骨を支えていらっしゃったのだが、舞台はともかく、映画でその歌唱力を披露する機会は非常に少なかった。『山のかなたに』(1960年)など数本の主演作があるが、現在、記憶される宝田さんの主演作は、ゴジラ映画やアクション映画である。
 宝田さんの「伝説」がちゃんと伝わっていれば、集客ももうちょっと何とかなっていたかもしれないのに……。



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