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2019年06月05日09:44

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『いじめているきみへ』――言葉が届かなくなっていく

■春名風花さんの絵本が販売停止に イラストレーターがネット上の写真を無断利用
(ねとらぼ - 2019年06月04日 20:13)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=5649002

●絵本「いじめているきみへ」に関する重要なお知らせ
(春名風花 公式ブログ - 2019年06月04日)
https://lineblog.me/harukazechan/archives/1688788.html

▼いじめているきみへ 春名 風花 文 / みきぐち 絵 (朝日新聞出版)
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20302

 もちろん、当該書籍は発売されてすぐに購入した。
 タイトルが指し示している通り、これはいじめ被害者ではなく、いじめ加害者に宛てられて書かれた本である。
 実際にいじめている、あるいはいじめに加担している(見て見ぬふりも含む)人たちに対して、何の気なしのその行動が、いかに被害者の身も心もボロボロにしてしまうものなのか、その事実を自覚してほしいという切なる願いが込められた本だ。

 だからこれは決して他人事で済まされるもの、自分とは無関係だと知らんぷりを決め込める本ではなかった。
 ここに書かれている「いじめ加害者」とは、暴力や恐喝や無視など、はっきりそれと分かるような行為に及ぶ人間だけを指しているわけではない。
 「無関心」も含めて、いつの間にか誰かを排除してしまっている人々全員を指している。
 つまり、「私たちみんな」が、例外なくそうなり得る危険性を孕んでいることを指摘しているのだ(もちろん春名さんも、自分自身が加害者となってしまう恐ろしさを感じながら文を綴っている)。

> 凄惨で悲しい事件が続く世の中
> 被害者の気持ちに寄り添うだけでは
> 被害を減らす事はきっと出来ないと僕は思う。
> ふとすると、いじめ加害者になってしまいそうな
> これからの子ども達と向きあい、
> 話をするために作った
> 僕に取って大切な本でした。

 この考え方に共感したからこそ、職場の図書室にも購入してもらった。
 できるだけ多くの人に読んでもらいたいと思ったのだ。

 なのに。

 春名さんには非はない。
 悪いのはもちろん、既成の写真をトレスして安易にイラストをこしらえたみきぐちさんである。
 しかし、この手のトレパクが判明するたびに、疑問に思うことがある。盗作者はなぜ自分の罪がバレないと思ったのだろうか? それともバレるかも知れないと思いながらも、トレスしなければイラストが描けないくらいに、追い詰められていたのだろうか?
 みきぐちさんの謝罪文(今回の件ではなく、以前の盗作騒動についてのもの)を読んでみると、「参考のつもりが盗用になっていた」という、そんな阿呆な話があるかと突っ込みたくなるような、苦しい言い訳をしている。
 実際、盗作騒動の後、『いじめているきみへ』についても、盗用がないかどうか、みきぐちさん本人に出版社が問い質したところ、「絶対にない」と大嘘をこいていたのである。
 嘘をつくことに罪悪感を覚えない情緒欠陥障害がある、そう判断するしかなさそうだ。そんな人間にうっかり関わってしまった春名さんは不運だったとしか言いようがない。

 現在、絵本『いじめているきみへ』は出版停止、写真の著作権者に連絡を取っている最中だという。そこで許可を得られたらまた再刊も可能、ということなのだろう。
 けれども、それは事後承諾を得たというだけのことであって、盗作した事実が消えるわけではない。イラストレーターを別の人に代えて、全くの新刊として出版し直した方がよくはないだろうか。

 今後どうするのか、春名さんからも朝日新聞出版からもまだ何のアナウンスもない。何もかもが未定で、言えることがないというのが本当のところなのだろう。
 少なくとも、このまま埋もれて幻の作品になってしまっていいような作品ではないことは断言したい。でないと、現時点でAmazonで5,100円まで高騰しているこの本(定価は税込1,296円)が、どこまで値段を吊り上げられてしまうのか、見当もつかないのである。
 こんなトラブルで本の価値を金勘定されるのって、気持のいいことじゃないよねえ。

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