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2019年11月09日21:21

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『大地』を読んでいます。

 中国(清朝)が辛亥革命を経て新しい国家に生まれ変わっていく時代の小説です。貧しい農民から土地を糧に財産を築いていく主人公王龍と,王龍から三代の物語です。学生時代に一度読んだことがあり,今回は2回目です。とても面白く,学生時代に読んだときも感動したことを思い出しました。作者はパール・バックです。
 ジムで毎日1時間ずつ読んでいます。やっと4巻中1巻が読み終わりました。先へ先へと読み進めたいのですが,少しずつ味わっています。美味しいものを少しずつ長く味わうのもいいものです。

<以下引用>
第1巻 P410
 王龍の耳に入ったのは,土地を売る,という言葉だけだった。彼は,怒りのあまり,ふるえる声を抑えきれず,調子はずれにどなりつけた。
「この馬鹿者,のらくらものめ!ーー土地を売るだと!」
 喉がつまって,王龍は倒れそうになった。二人の息子は,両方から彼をささえた。彼は涙を流しはじめた。すると,彼らは,父をなだめた。そして,なだめながら,こう言った。
「いいえーーいいえ,ねーー決して土地は,売りませんよーー」
「いいか,家がつぶれるときだぞーー土地を売りはじめるなんてのは」王龍は,とぎれがちに言った。
「私たちは,土から生まれて,いやでもまた土へ帰るんだーーお前たちも,土地さえ持ってれば生きてゆけるーー誰も,土地は奪えないからだ」
 王龍は,老いてどぼしい涙を拭きもせず,頰の上で乾くにまかせていた。塩っぽいよごれが、そこへ残った。それから,身をかがめて,ひと握りの土をすくい上げ,それを握ったまま,こうつぶやいた。
「お前たちが、土地を売れば,それが最後だ」
<以上引用>

 一代で財を築いた王龍,2代目になって暗雲の予兆が現れてきたようです。同時に中国も清朝政府が倒れ,列強の植民地政策に翻弄される時代に入っていきます。さて,王龍の3人の息子の行く末はどうなりますか。
 やっぱり小説は,おもしろい!
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