[5376]
7月にソースカツ丼が名物の福井勤務になった。
そのソースカツ丼の発祥の店と言われているのが福井市の「ヨーロッパ軒総本店」である。
西洋料理研究のためドイツで6年間修業した福井県出身の高畠増太郎氏が大正2年(1913年)に東京・早稲田で開業した「ヨーロッパ軒」で提供したのが始まりと言われており、大正12年に関東大震災で倒壊し、故郷の福井市に戻って始めたのが今の「ヨーロッパ軒総本店」だそうだ。
「ヨーロッパ軒」は「県外にはお店は出さない」というポリシーの下、暖簾分け方式で福井県内のみに19店舗展開しており、福井県民には「パ軒」と呼ばれ親しまれている。
「全日本卵でとじていないご当地カツ丼愛好家」の自分は、当然それは知っており、かつて新潟勤務していた時代に福井まで伝統のソースカツ丼を食べに「パ軒総本店」へは2回来ている。
ところが、実際に7月から福井に住むことになったら、福井県民は「パ軒」のソースカツ丼はおしなべて皆大好きではあったものの、「福井派」なのか「敦賀派」なのか論争している。
お店によって多少の違いはあるのは不思議ではないが、派閥があるのか。
「ヨーロッパ軒総本店」のホームページでは「敦賀分店」や「敦賀○○店」と紹介されている5店舗も暖簾分けした店として掲載されているのに、敦賀へ行ってみると敦賀市内の5店舗は「敦賀ヨーロッパ軒」という屋号を名乗っており、福井市の総本店から暖簾分けしたものだろうとは思うが、系統が異なるようなのだ。
自分は「敦賀パ軒」は食べたことがなかったので、とにかく敦賀へ行ったら食べてみなければならないだろうと考えており、昼前に仕事が敦賀で入った11月14日木曜日の昼飯として「敦賀ヨーロッパ軒総本店」に行って食べてみた。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973858473&owner_id=18367645
確かにそれまで何店舗かで食べた福井市内の「ヨーロッパ軒」のカツ丼とはトンカツの厚さもパン粉の挽き方もソースの味もボリュームも異なっており、自分は「敦賀パ軒総本店」の方が甘くておいしいように感じた。
福井に転勤してきて、最初の週にカツ丼を1週間に3食も食べてしまい、そんなにカツ丼ばかり食べるのはカラダには良くないので、翌週からはトンカツ類は週2回までと自主規制しているが、この週は敦賀での仕事が入ったこともあって意識的にトンカツ類は食べずに過ごしてきた。
したがって、「敦賀パ軒」がこの週は1食目のトンカツであり、もう1食トンカツ類を食べることができるようにしておいた。
「敦賀ヨーロッパ軒総本店」の味を覚えているうちに、福井市の「ヨーロッパ軒総本店」でも食べてみて食べ較べして、自分がどっち派なのか決めようと考えていたのだ。
「ヨーロッパ軒総本店」は福井市の中心歓楽街・片町にあり、かつて旅行では食べに来たことがあるが、福井勤務になってからはもっと手近なところにある分店しか訪問していなかった。
しかも、福井勤務になってからは「パ軒」では派生メニューを注文するばかりでオーソドックスな「カツ丼」はまだ食べていなかった。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972371626&owner_id=18367645
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972986322&owner_id=18367645
そこで、その翌日のランチはわざわざ片町の「ヨーロッパ軒総本店」まで食べに行ったのである。
前日行ってきた「敦賀ヨーロッパ軒総本店」とは値段も異なっていたが、同じく「カツ丼(930円)」をサラダ&みそ汁付きの「セット(220円増し)」にして注文。
配膳された時点で、フタなど閉まらず中が丸見えだった「敦賀パ軒」とは異なりちょびっとトンカツがはみ出しているだけで中は見えず、明らかに盛りが少ないことは分かる。
フタを開けると、パン粉がきめ細かくトンカツの表面が滑らかである。
ソースが染みた衣が旨そうだな。
ソースの味わいは「敦賀パ軒」より酸味を感じるソースで、お肉も薄っぺらいが、それが食感が良くおいしい。
トンカツを盛り付ける前にご飯にもソースを掛けてあるのは一緒である。
その酸味のあるソースが染みたご飯、これぞ「ヨーロッパ軒の味」って感じだな。
薄切りのお肉を細かいパン粉で揚げたトンカツは柔らかで、こっちの方が食べやすい。
さらに、追加用のソースが小皿で出てくるのも「敦賀パ軒」にはなかったので、トンカツにつけて食べてみよう。
なかなか美しいではないか。
当然ながらソースにつけて食べると味が濃くなり、これも旨いな。
ご飯の盛りは明らかに少ない。
「追いソース」をつけながら食べ進み、最後のひと口になった。
完食すれば、こっちはこっちで上品なおいしさがあって、量は多くはないがもの足りないことはなく満足できた。
前日初めて食べた甘くて少々大味の「敦賀パ軒」の方が旨いんじゃないかと思ったが、伝統の「ヨーロッパ軒総本店」のカツ丼も旨いな。
どっち派なのかと考えると、優柔不断かも知れないが「どっちも派」だな、俺は。
たかがソースカツ丼なのだが、福井のソースカツ丼は奥が深過ぎてどちらかに決めることなんかできそうにないのであった。
ログインしてコメントを確認・投稿する