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2022年05月22日04:54

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寄生者は宿主の行動を予測する:年ごとに発生数の変動するブナハバチ幼虫の数に応じて個体数を調節する寄生蜂

 寄生者と宿主は、果てしない「進化の軍拡競争」を続けるが、この世の中には、寄生相手である宿主の行動を正確に予見できる能力を進化させた寄生者がいる。

◎寄生者と宿主の攻防
 昆虫の幼虫に寄生バチが産卵し、そのイモムシの中で孵化した寄生蜂の幼虫は、イモムシを体内で食べて成長し、やがてイモムシを食い破って外に出てくる。
 むろんイモムシも、それに防衛する手段をいずれ獲得する(21年11月28日付日記:「寄生者と宿主、捕食者と被捕食者の間に繰り広げられる「進化の軍拡競争」(後編):平和共存の中に現れた第3の寄生者を排除する進化」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202111280000/、及び21年11月27日付日記:「寄生者と宿主、捕食者と被捕食者の間に繰り広げられる「進化の軍拡競争」(前編):イモムシと寄生蜂」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202111270000/を参照)。
 自然界には、こうした寄生者と宿主の攻防が日々繰り広げられている。

◎ブナハバチの発生に応じて発生の程度を調節する寄生蜂
 ただその前に、寄生蜂にとっては、毎年変動する宿主の発生個体数が予見できれば、自らの子孫繁栄にとって好都合だ。
 日本の豊かな森を構成し、水資源を涵養する「緑のダム」とも呼ばれるブナ(写真=白神山地)。時に大発生し、ブナの葉を食害し、丸裸にしてしまう害虫にブナハバチがいる。
 一方で、そのブナハバチの幼虫に産卵し、いずれは幼虫を殺してしまう天敵寄生蜂もいる。
 東京農工大学の小池伸介教授らの研究グループは、ある種の寄生バチで、宿主のブナハバチが年ごとに不規則に発生しているにもかかわらず、ブナハバチの発生の程度に同調して発生していることを発見した。この寄生バチのブナハバチへの寄生率は、ブナハバチの発生の程度にかかわらず、おおむね一定を維持していた。
 ブナハバチと天敵の寄生バチの生態を調べ、寄生蜂は不規則に発生するブナハバチの発生の程度を何らかの方法で察知し、自身の発生する程度を同調させていることを見出した。

◎発生程度を予測できれば、長期的に安定してブナハバチを宿主にできる
 寄生蜂にとってこの同調の効用は、限りなく大きい。
 ブナハバチの幼虫は、ブナの葉を食害するが(下の写真の上)、この時、寄生蜂が近づき(下の写真の下)、一部の幼虫に産卵する。
 寄生蜂に産卵された幼虫は、地下にもぐって何年か過ごし、その間、繭の中でイモムシとなる。このイモムシが孵化した寄生蜂の幼虫の餌になる。
 その数は年によって変動する。ブナハバチが少なくしか発生しない年に自らの産卵を極大化しても、卵を生産するコストは大きいから、資源の損失は大きく、下手をすると自分の繁栄をも危うくしかねない。
 しかし、それが事前に察知できれば、寄生蜂は餌になるイモムシの個体数に応じて自らの産卵を調節でき、無駄が少ない。それによって、長期的に安定してブナハバチを宿主として利用できる。

◎寄生蜂の進化
 寄生蜂がブナハバチの発生動向をどのように予知しているのかは、まだ分からない。小池教授らによると、寄生蜂がブナハバチの大発生する条件と同じ条件で増えるように進化したのか、ブナハバチの成虫の出すフェロモンなどを感知できる寄生蜂だけが生き残ったかしたのではないか、と見ている。
 ブナハバチは、数年に1度のタイミングで大発生し、ブナの葉が食べつくされることがある(写真)。ブナは、弱ってやがて枯死してしまう。
 この研究は、ブナ林保護の1つの突破口を開くことになるかもしれない。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202205220000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「韓国の悪法『重大災害処罰法』に韓国経営陣は戦々恐々;『韓国のアマゾン』クーパンのNY上場にもリスク注記」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202105220000/

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