一時鳴りを潜めていた原油価格高が、またぶり返してきた。今年に入っての原油価格の上昇率は1割を越す(写真は油田)。
ニューヨークの原油先物市場では、19日に一時、1バレル=87ドル台まで上昇した。
遠からず年内に1バレル=100ドルを突破するという見方が強まっている。
◎OPECプラスの構成国に生産目標未達の国が相次ぐ
モルガンスタンレー証券の11日に示したレポートで、2022年の原油相場には「3つの欠乏」が原油高をもたらすとしている。在庫、生産余力、投資の不足、である。JPモルガンは、125ドルのリスクも指摘している。
そもそもOPECプラスなどの見方は、今年は供給過剰=値下がりと価格安定のはずだった。ところが同構成国に、生産が目標に達しない国が次々と現れて、昨年11月の生産量は目標を日量65万バレルも下回った。ナイジェリア(写真=巨大な原油タンクの手前の貧しさの目立つナイジェリア)、アンゴラといった経済不安定な途上国で目標未達の国が相次いだ。
◎世界一の産油国アメリカのシェールオイル生産も盛り上がらず
ロシアも不安定で、世界最大の生産国のアメリカも、シェールオイル生産が盛り上がらない。1バレル=80ドルを超す原油高であれば、どんな油井でも採算に合うはずなのだが、掘削装置(リグ)の稼働日数は、武漢肺炎前の19年末比で3割も少ない。
背景にあるのは、世界での脱炭素の動きだ。株主からSDGsの圧力を受ける原油生産会社に投融資する銀行やファンドの姿勢が厳しくなっていて、新規投資に資金を出せなくなっている。
それどころか現状維持のための油田のメンテナンスさえ不十分になっているという。
◎グリーンフレーションの現実化?
これでは原油生産は先細りとなる。
原油価格先物相場は、将来の見通しのもとに形成されるので、原油高は当然の帰結になる。
原油高は、鎌首をもたげている世界のインフレにさらに追い打ちをかける。
グリーンフレーションは現実化しつつある。グリーンフレーションについては、昨年11月15日付日記:「原油、天然ガスの高値の時代へ、長期的に供給源は明らかだから、これぞグリーンフレーションへ」
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昨年の今日の日記:「導入義務づけの税務ソフトにスパイウエアを仕込み、外資系企業を監視するスターリニスト中国」
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