昨日開幕のオリンピックで、直前に、またしても、のスキャンダルである。
◎五輪開閉会式の演出関係者で解任・辞任は３人目
開閉会式のショーディレクターを務める元お笑い芸人の小林賢太郎（写真）が、ナチ･ドイツ犠牲者であるユダヤ人のホロコーストを揶揄するコントをかつて演じていたことが発覚、アメリカのユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター（ＳＷＣ）」が非難声明を発表、各国メディアも報道し、五輪組織委は同日、小林を解任する羽目に追い込まれた。
これで、今オリンピック開閉会式の演出をめぐって解任・辞任は、３月の佐々木宏氏（演出総合統括）、１９日の小山田圭吾辞任に続いて３人目。すっかりケチがついてしまった。
◎お粗末！ 彼らは学校で何を学んできたのか
今回の小林の解任に至る経緯を見ると、どうも関係者の過去の言動を掘り起こして話題にしようという一部のネチズンが、２３年前（１９９８年）のコントで小林（当時、お笑いコンビの「ラーメンズ」の１人＝写真＝右が小林）の「あのユダヤ人大量惨殺ごっこやろうって言った時のな」という発言する動画を見つけて拡散したことがきっかけのようだ。
それを見る限り、「魔女狩り」的な風潮が出ているようにも思え、やや違和感がないでもない。
しかし、それでも、そしてたとえ２３年前のコントでの発言であっても、６００万人もの罪無きユダヤ人が大量虐殺された汚辱を、お笑いネタにするようなことは許しがたい。
僕は、今度の小林賢太郎といい、１９日の小山田圭吾といい、芸人やミュージシャンなどのお粗末なほどの歴史認識や人権意識の乏しさを見せつけられた思いだ。学校で、まともに学んでこなかったのか。
◎人類史上の大悲劇を茶化すなどもってのほか、小林はアウシュヴィッツを訪れよ
一部には、２３年前もの昔のことを、と今回の問題化を軽視する意見も見られるが、それは違う。
２３年前であっても、ナチ・ドイツによるユダヤ人のホロコーストがあったことは普通の成人が弁えるべき歴史的常識であった。その人類史上の大きな悲劇、ナチ･ドイツの犯罪行為を擁護したり、お笑いネタなどにするなど、許されない行為だ。サイモン・ウィーゼンタール・センターが問題化し、批判したのも当然なのだ。
僕は、７年前、ポーランドの旅でアウシュヴィッツを訪れ、跡地の野外博物館でナチ･ドイツの犯罪行為とユダヤ人の受難を具体的な形で見せられ、衝撃を受けたことがある（これは、当時、日記に連載した＝下の写真の下：二重の高圧電流の流された柵の中の収容所、下の写真の下：収容所のガス室で殺されたユダヤ人の子どもたちの収容時に撮影された写真。画面下に犠牲になった子どもたちの服の展示が見える）。
知識として知ってはいたが、それは凄惨な歴史的事実だった。
小林賢太郎が、ここを訪れていたら、決してそんな発言はしなかったはずだ。つまりコントで揶揄することで、自らの無知・無恥をさらけ出したのだ。今度の騒ぎが落ち着いたら、贖罪の意味で小林はアウシュヴィッツを訪れるが良い。きっと自分の浅薄さを、認識させられるだろう。
◎親日国イスラエル国民が日本をどう思うか心配
７年前の旅では、ポーランドの後、バルト３国のリトアニアにも訪れ、旧首都カウナスの杉原千畝記念館も訪れた。そこで、ナチ･ドイツの追及から逃れるべく日本領事館に日本通過ビザを求め、大量のユダヤ人が訪れた歴史事実を観た。領事の杉原千畝は、本国の訓令を無視する形で６０００人のユダヤ人に通過ビザを発給した（写真＝杉原が発給した通過ビザ。「命のビザ」と呼ばれた）。彼らは、ぶじに日本を経由し、アメリカなどに逃れていった。
このビザ無断発給行為がもとで、杉原は後に日本外務省を追われる。しかし、命を救われたユダヤ人たちは杉原の人道的行為を忘れず、後に生き残ったユダヤ人たちの手で戦後建国されたユダヤ人国家のイスラエルで顕彰されている。
杉原千畝の人道的行為はイスラエルで広く知られ、したがってイスラエルは強い親日国でもある。
そうした日本への信頼感・親近感が、この暗愚な小林の愚かな行為で損なわれるとしたら残念てもある。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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昨年の今日の日記：「武漢肺炎、子どもは感染しにくく重症化しない科学的事実、次々に明らかに；有害無益だった３月の全国一斉休校」
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