昨年にEUを離脱したイギリスが、新しい年に入った1月30日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を2月1日に正式に申請する、とトラス国際貿易相が発表した(写真)。1日、輪番議長国の日本とニュージーランドの担当相に正式加盟を申請した。
◎アメリカ抜きで18年に11カ国で発足
イギリスはEU離脱前から内々でTPP加盟を表明してきたから、改めて驚きはないが、日本にとっては歓迎すべきことだ。
今のTPPは、日本を含む11カ国で発足したが、この11カ国以外の国による参加申請は初めてだ。
TPPは、そもそもアメリカが中心になって発足に向けて加盟12カ国間で長丁場の会合がもたれ、15年10月に大筋合意に至った。ところが1年後の16年11月のアメリカ大統領選挙でTPP離脱論のトランプ氏が大統領に当選し、翌年17年1月にトランプ政権発足に伴い、アメリカが離脱した。
アメリカが離脱した段階で、存在感が抜きん出ていたこもとあり、TPPもこれまでか、と思われたが、安倍政権が他の10カ国を引っ張り、アメリカ抜きの11カ国で、18年12月30日に発効させた(写真=18年の参加11カ国による署名式)。
◎11カ国と交渉し、合意後に加盟
ここにイギリスが加盟すれば、TPPをさらに強化でき、いずれバイデン政権のアメリカも参加への誘い水になる。
またイギリスが加盟すれば、現在は世界の13%の規模のTPP加盟国のGDP比率は16%を超える。
イギリスは、11カ国とは内々に交渉し、いずれも歓迎されている。したがって新加盟は、容易に認められるだろう。ただ、細かい内容で協議を続ける部分もあり、数カ月で加盟交渉が終わることにはならず、1年程度かかる見通しだ。
◎イギリス加盟でパワーアップ
EUを離脱したイギリスにとって、TPP参加はメリットが大きい。かつての植民地で、同じ英語圏のオーストラリアとニュージーランドも加わっているので、TPP11カ国圏からは遠隔地だが、この輪の中に入る意義は決して小さくはない。
そのイギリスがこれまでTPPに加盟申請を出せなかったのは、EUにいたから。EUでは、加盟国が単独で他の自由貿易圏に入ることはできなかったのだ。
アジア・太平洋の自由貿易圏は、昨年11月に15カ国で署名されたRCEPがあるが、この協定の貿易自由化率はTPPよりずっと低く、またスターリニスト中国が主導したこともあって、国有企業への優遇など等閑視されている。日本も加わっているが、期待感は乏しい。
◎アメリカを誘い込む呼び水に
そのスターリニスト中国も、習近平などがTPP参加を口にしたりしているが、とうていTPPの理念にそぐわないので、参加はあり得ない。
今後、韓国とタイが入ってくる可能性があるが、日本は1日も早くアメリカを誘い込むべく努力すべきで、それでRCEPを有名無実化できる。
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昨年の今日の日記:「ついにイギリス、EU離脱=ブレグジットを果たす、しかし国民の亀裂は深まり、前途は多難」
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