１１月２３日から２５日まで、Gotoトラベルのキャンペーンを利用して五島列島・長崎に行ってきた。長崎は、たぶん４度目になるから、特に行きたい所があったわけではないが、帰りが長崎空港からの出発の関係上、２泊目は長崎泊となったからである。
◎海外旅行の代わりに潜伏キリシタンの関連遺跡に
ただ五島列島は、２０１８年に登録された世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のうち、現在は無人島となっている小値賀町野崎島の「旧野首教会」（写真）、中通島北部にある、五島唯一の石造教会頭ヶ島天主堂（１９１９年建立）、奈留島にある木造の美しい教会「江上天主堂」の３つが世界遺産の構成資産となっている重要な島だ。国指定重要文化財の旧五輪教会も、ここにある。
五島列島に行ったことがないので、今年は行けなかった海外旅行の代わりとして、僕にはぜひ訪れたかった場所である。
◎プロペラ機で過疎化の進む五島列島に
人口７万人弱の五島列島は、近年、過疎化が止まらない。島のバスガイドさんも嘆いていたが、若者は島の高校を出ると、進学や就職でほぼ全員が島を出るという。また信じられないが、島にコンビニはあっても、セブンイレブンやローソンは１つもなく、ポプラというマイナーな店しかない。
第１日目、羽田空港から長崎空港を乗り継いでレトロな雰囲気のプロペラ機（ボンバルディア製：写真＝長崎空港で乗り継いだプロペラ機）で五島つばき空港に到着したのは夕方だったが、さっそくバスで福江のホテルに入った後、福江の食堂に案内されると、まだ夜７時台なのに、ほぼすべての店が閉まっていた。
人通りもない。
まさに眠ったような典型的な過疎地の趣だ。
◎廃屋の目立つ小集落の海辺を見るように建つ小教会
島の産業としては、観光と漁業しかなく、若者の働き口はなく、老人の島、になりつつある。
僕たちが翌日に訪れた五島の小さな教会は、印象的なことにすべてが海岸に立地し、しかも海を向いていた。教会のある集落外からの信者が来れるように、との配慮からという（写真＝崖が迫る狭い平地の上に建つ江上天主堂。手前に船の着ける港がある）。だからそれぞれの教会には、船で行った。
教会のある集落も極小で、民家は数軒くらいしかない。それなのに半分近くは、廃屋となっている（写真＝江上集落の廃屋の１つ）。
老人だけの世帯になると、集落内に店もなく、むろん医院もない。暮らしていけないのだ。廃屋になるのも、やむを得ない。
実際、五島の構成資産の１つである「旧野首教会」のある野崎島は２００１年以降、無人島になってしまった（写真＝放棄された旧野崎集落）。
そこに、武漢肺炎パンデミックが襲った。外国人観光客は皆無となり、日本国内からの観光客も激減している。
◎ヨーロッパ、中南米の大聖堂に及びもつかないが
せめて潜伏キリシタンの島を訪れ、世界文化遺産でも観たい、と切望していた。前記のように、訪れた教会は小さく、僕がイタリア、スペイン、ポーランド、フランス、オーストリア、メキシコ、ペルー、アルゼンチンなどで訪れた壮大なカトリック大聖堂とは比較にならない。それでも島の貧しいカトリック信者が、一灯を持ち寄って造り、維持してきた小教会には心を動かす「何か」がある。
なお潜伏キリシタンについては、過去に３本の日記を連載したことがある。
参考までに挙げておく。
・１８年７月４日付日記：「『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』を読む（後）；キリシタン『奇跡の発見』と明治になってもなお続いた殉教」
・１８年７月３日付日記：「『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』を読む（中）；禁教下、潜伏キリシタンが守っていたのはキリスト教ではなかった」
・１８年７月２日付日記：「『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』を読む（上）；隠れキリシタンはキリスト教を『命がけで守り通した』のではなかった」
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202012020000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。
昨年の今日の日記：「どこに行くか？ アメリカ民主党を乗っ取りかねない左派＝社会主義者エリザベス・ウォーレン上院議員の時代錯誤」
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