スターリニスト中国が途上国に貸し込み、債務漬けにしていることはつとに知られるが、その主舞台になっているアフリカで、デフォルト瀬戸際になっている国が出ている。
南部アフリカの最貧国の１つ、ザンビアである。
◎武漢肺炎以後、ザンビアがアフリカ最初のデフォルト
同国は、去る１０月１４日、たった４２５０万ドル（日本円換算で約４５億円）のドル建て債の利払いが期日までにできなかった。
猶予期間１カ月を経ても利払いがなされず、武漢肺炎パンデミック以後、アフリカ最初のデフォルトとなった。
邦貨で４５億円なら、利子は高利の３％としても１億５０００万円程度である。個人ならとてつもない重債務だが、いやしくもザンビアは国家である。国家が、たったこれだけの金利も払えないのは、ザンビア財務省の発表では武漢肺炎パンデミックによる「歳入減と予算外の支出」のため、という（写真＝首都ルサカの薬局で）。
◎利払い猶予に債権団は拒否、中国債務の利払いに回されることを懸念
ザンビアの唯一に近い外貨獲得源は、銅の輸出である。この銅価格が、武漢肺炎パンデミックによるスターリニスト中国や欧米先進国の経済後退で下落し、それが歳出減に直結した。予算外の支出とは、むろんザンビア国内の武漢肺炎対策であろう。
ザンビア財務省は、西側の銀行などの債権団に対し、来年４月までの猶予を求めたが、債権団はそれを拒否した。
債権団がわずかな債務利払いの猶予を拒否したのは、その原資がスターリニスト中国の債務と利払いに回されることを懸念したからだ。
◎スターリニスト中国への債務は４年間で２倍強に
ちなみにザンビアの対外公的債務残高は、他の途上国に比べて飛び抜けて高いわけでは無い。この６月末現在で約１２０億ドルだ。ところが世界銀行の統計では、対スターリニスト中国債務残高だけは多く、昨年末時点で３４億ドルもある。しかもこの４年間で一挙に２倍強に膨らんでいる（写真＝訪中したザンビアのルング大統領と握手する習近平、首都ルカサのスターリニスト中国からの借款でなされている幹線道路工事で中国航空工業集団の中国人労働者と握手するザンビアのルング大統領。いずれも２０１８年）。
まさに典型的な債務漬け構造だ。
◎アフリカ諸国に広がるスターリニスト中国の貸し込み
なお４年間に対スターリニスト中国の債務倍増は、他のアフリカ諸国にも見られ、ケニアやジブチもその罠にかかりそうになっている。コンゴやアンゴラの対スターリニスト中国債務は８〜９割、増えている。
いずれも習近平肝いりの「一帯一路」政策の下での貸し込みによる。
つまり「債務の罠」で、貧しいアフリカ諸国から資源などを奪い取り、ついでに６月末の国連人権理事会で露呈した「香港国家安全維持法」批判の否決のように、外交の自由も縛るのだ（９月１０日付日記：「現代の植民地主義国、スターリニスト中国が世界に広げる『債務の罠』」を参照）。
この数年は、台湾との断行を迫り、スターリニスト中国が代わりに国交を結ばせる手口もあった。
◎インフラ、資源を差し押さえか
西側の銀行などの債権団は、債務の減免や利払いの猶予が、スターリニスト中国への返済に流用されることを懸念し、拒否の姿勢を強める。
ザンビアの場合、国際金融市場からデフォルトとされると、食料輸入にも事欠くことになる。むろんスターリニスト中国への債務返済も覚束ない。
その場合は、ザンビアの豊富な銅資源を差し押さえるのだろう。２年前、スリランカの港湾を差し押さえたように（１８年３月３０日付日記：「スターリニスト中国の『サラ金援助』が新興国を借金苦に追い込み、あげくに領土を奪って植民地化へ：スリランカのハンバントタ港の例」を参照）。
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昨年の今日の日記：「追悼：中曽根康弘元元首相が残したもの：国鉄の分割・民営化と対外外交」
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