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2019年12月15日05:54

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人間の殺人とゴリラ、ライオン、トラなど動物の子殺し、ヒトと動物の行動学的違いとその差

 連日のように悲惨な殺人事件がメディアを賑わす。その一方で、女児2人を含む熊谷6人殺しのペルー人犯人や、暴行目的で女児を誘拐して殺して遺体を列車に轢かせる残忍な新潟女児殺害の鬼畜男・小林遼、さらに刑務所に入りたいが死刑は嫌だとうそぶく理不尽な新幹線通り魔殺人の小島一朗など、人を殺しながら死刑を免れる。

◎鬼畜とも呼ぶべき殺人狂が死刑に処せられない理不尽
 まさに世の中、「殺され損」の不条理である。
 鬼畜とも呼ぶべき殺人犯を死刑に処さない裁判官は、昔風に言えば「法匪」である。彼らは、眼前の被告席に座る殺人犯がいつか真人間になると信じる無邪気な人種か、被告を死刑にするのに怖じ気づく卑怯者なのだろう。
 ただ同種を殺す動物は、何もヒトばかりではない。ただその理由は、全く違うのだが。

◎同種の他個体は殺さないという「神話」を作ったローレンツと杉山氏の反説
 かつてノーベル賞を授賞したコンラート・ローレンツのように自分と同じ種を殺す動物はいない、と信じられていた。動物行動学、生態学の研究がまだ浅い段階のその「神話」は、1962年に日本の優れた霊長類学者である杉山幸丸氏がインドのハヌマーンラングール(写真)の「子殺し」を世界で初めて発見し、打ち消された。
 ただこの時、後に明らかになるライオンを含め多数の動物種に見られる自らの遺伝子を残すための「子殺し」行動は、特殊事例として世界の動物行動学者に広く受容されることはなかった。ローレンツ流の「自らの同一種を殺すことはない」という神話が、一般的だったのだ。僕から言わせれば、ローレンツよりも世界初の動物の「子殺し」行動を確認した杉山氏こそノーベル賞にふさわしい発見だったと思うのだが。

◎死亡した仔の個体の3分の1以上は雄による子殺し
 さて我々ヒトに近いゴリラ(写真)は、動物園でも人気で、一見したところ平和的に見える。しかし、チンパンジーほどではないが、彼らもけっこう血なまぐさい種でもある。
 例えば、ゴリラの死亡の主因は、雄ゴリラによる子殺しであることを、ご存じだろうか。死亡した子どものゴリラの38%は雄ゴリラによる子殺しである。そしてゴリラの母親は、生涯に最低1頭の仔を雄ゴリラに殺されているというのだ。
 これも、杉山氏が半世紀以上前に発見したハヌマンラングールと同じ理由だ。
 ゴリラは、1頭の雄が、複数の雌を従えて小さな群れを作る。その群れの仔は、すべて1頭の雄の子だ。

◎群れを乗っ取り、雌に自らの遺伝子を残させるために
 ところで自然界は、よほどのことがない限り、雄と雌の数はイーブンだ。すると、1頭の雄が複数の雌を抱えるハーレムを形成すると、どうしても雌と交接する機会のない雄が出る。彼らはぐれ雄は、あるハーレム内で生まれた仔で、ある程度成長すると、雄はすべて群れから追い出されるのだ。
 はぐれ雄は、自分の遺伝子を残すには、群れを乗っ取るしかない。そして群れをしきる雄と激しく戦い、勝てば雄を追放する(闘争の過程で負傷し、それがもとで死ぬ負け雄も多い)。

◎子殺しは普遍的現象
 人間の目から見て恐ろしいことが起きるのは、その後だ。群れを乗っ取った新たなボスの雄は、子ゴリラを殺すのである。子育ての雌を発情させ、自分の遺伝子を持った仔を産ませるためだ。
 こうした子殺しは、ライオンでも有名だ。ハーレムを形成する動物では、そうしないと新陳代謝も進まないから、それも1つの摂理なのだ。トラ、オオカミを含め、ハーレムか、それに近い群れを作るほとんどの動物で仔の最大の死因は、同種のオスによる「子殺し」なのである。
 冒頭で述べたような人間の殺人は、動物行動学で説明できるものではない。なまじ知恵を付けたホモ・サピエンスの、ただの欲得ずくである。

◎子殺しを行わせたホモ・サピエンスの特性「将来への悲観」
 知恵をつけたホモ・サピエンスの悲劇の一例を挙げれば、例えば先頃東京地裁手裁判員裁判が始まり、13日に検察側が懲役8年を求刑した元農水事務次官・熊沢英昭被告の長男殺しである。このケースは、冒頭に挙げた3つの人非人の殺人と根本的に異なるのは、自らの半分の遺伝子を受け継いだ長男を殺したことだ。
 動機は様々だが、中年引きこもりの長男の家庭内暴力が激しく、妻も自分も命の危険にさらされていたし、隣の学校がうるさいと言って他人の子を殺傷しかねない危険もあった。妹は、兄の素行の悪さが遠因で自死している。
 親なら、手にかけるのはしのびなくとも、自分たち夫婦と長男の将来を考えれば、自分の遺伝子の半分を失っても殺すという選択肢は取らざるを得なかっただろう。
 ちなみに他の動物、例えばヒトに最も近いチンパンジーも、将来のことなど考えないので、自分の子を殺すことなどない。なまじ知恵が付き、将来を考えることができるようになったホモ・サピエンス特有の行動である。

◎自死が心配
 熊沢被告の場合、正当防衛が認められ、執行猶予がついたり、短期刑になって早期に釈放された場合、周囲は自死を警戒する必要がある。おそらく彼にとって、もはや生きていくのに何の希望もないはずだし、息子を手にかけたという罪の意識は、法律がどうあれ、救われないだろうからだ。
 そして自らの命を絶つという最終的な遺伝子消滅手段は、ヒトだけが行うのである。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201912150000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

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