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2019年07月24日05:04

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ホルムズ海峡波高し;自国の船舶は自分で守るのが国際常識

 中東で、イラン対欧米諸国、特にアメリカとの緊張が高まっている。
 すべてはアメリカの一方的核合意からの離脱がきっかけだが、原油の輸送大動脈であるホルムズ海峡(写真=左のペルシャ湾と右のインド洋の間の細い海峡。幅は約30キロほどしかない)の周辺で高まる緊張は、徐々にエスカレートし、いつ戦争が始まるかわからないほどだ。

◎拿捕の報復の応酬
 18日、イランの革命防衛隊は、自国から原油を密輸入しようとした外国タンカーを拿捕した。この直後、アメリカはホルムズ海峡でイランの小型無人機を撃墜したと発表した。これより先の6月20日、イランはアメリカの無人機を撃墜している。
 そして19日、イランの革命防衛隊は、同じホルムズ海峡でイギリスの石油タンカー(写真はステナ・インペロ号)を拿捕したと発表した。おそらく4日にイギリス領ジブラルタルの自治政府がイランの大型タンカーを拿捕したことへの報復だろう。
 最初、緊張関係はイランとアメリカとの間であったものが、今や対イギリスへと拡大している。この5月から6月にかけて日本のケミカルタンカーへの攻撃も含め、計6隻がホルムズ海峡で攻撃されている。いずれもイランの革命防衛隊の仕業と見られる。

◎ホルムズ海峡は日本のエネルギー供給の大動脈
 この攻撃により、同海峡を通過するタンカーの保険料が10倍にも高騰し、日本を含む油送船運賃も急騰している。ただアメリカのシェールオイル生産増もあり、原油価格の急騰という事態は避けられている。
 しかしイランの革命防衛隊によるホルムズ海峡を航行する油送船への攻撃や拿捕が日常茶飯事になり、航行が停止すると原油価格は急騰する恐れが強い。
 だからこそホルムズ海峡航行油送船の安全確保に向けたアメリカの有志連合結成の呼びかけは緊急性が高くなっている。何しろ同海峡は、原油・石油製品合わせて日量1700万バレルもが行き交うエネルギー供給の大動脈だ。日本も輸入する中東産原油の3分の2が同海峡を通過している。ちなみに主要輸入国のうち、日本のホルムズ海峡通過依存度が最も高い。
 素早く動いたのは、ホルムズ海峡通過依存度が53%と高いインドで、6月に独自に護衛の艦船2隻をペルシャ湾に派遣している。

◎日本に呼びかけられた有志連合参加の難しさ
 こうして見ると、有志連合の呼びかけは、主に日本に向けられたものであることが分かる。
 ところが日本では、日本油送船の安全を守るために自衛艦を派遣する法的根拠が乏しい。
 あるとすれば、1つは自衛隊法に基づく「海上警備行動」だが、日本に関係する船しか守れず、また海上監視のみに限定される。武力行使は当然、できない。もう1つは、海賊対処法で外国艦船も護衛可能だが、その名のとおり海賊対応に限られる。ホルムズ海峡のイラン革命防衛隊を海賊とは言えない。
 だから特別法を制定するしかないが、その特別法が国会でスンナリ通過する環境にはない。立憲民主党などが必ず反対するだろうからだ。
 賛成するのは、自民と公明の与党と日本維新の会だろうから、衆院では参院が可決しなくても再議決できる3分の2超を持っているが、立憲民主党などの抵抗=引き延ばしに遭うと、なかなか成立させられない。

◎なぜ自衛艦を派遣して自国の船を守れないのか、アメリカ頼みは虫が良すぎる
 ボルトン補佐官が21日、来日。翌日、河野外相や、谷内国家安全保障局長、岩屋防衛相と相次いで会談した。内容は分からないが、日韓関係の他、対イラン有志連合について話し合われたと思われる。
 もし日本が有志連合に協力しなければ、それでなくとも「自国の船はその国が守ればよい」と公言してはばからないトランプ大統領の不興を買うだろう。もっともトランプ大統領に言われなくとも、日本の油送船の安全は日本が守るべきで、アメリカ海軍に守ってもらおうなどとは虫が良すぎる。

◎いいかげん普通の国に
 それにしてもこうしたことがあるたびにいつも思うことは、どうして自衛隊の海外派遣が制約されたままなのか、ということだ。以前にアルジェリアで日本のプラント建設会社員がテロリストに攻撃されて大量殺害されたこともあった(13年1月26日付日記:「アルジェリア、『覆面旅団』による砂漠の人質『戦争』始末記;ジャンル=現代史」、及び13年1月23日付日記:「資源・食糧安保のため国際化した人質事件に対処する法整備を;エンテベ空港奇襲作戦;ジャンル=現代史」を参照)。自衛隊がテロリストを制圧して、日本人を救えないのは、まさに珍妙の極みだった。
 いいかげん日本は「普通の国」になろうとしないと、「安保ただ乗り論」を口にしているトランプ大統領に見限られるだろう。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201907240000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「樺太紀行(5);成田とユジノサハリンスクの気温差20℃! 南樺太からリュックに入れて持ち帰った腕時計は氷のように冷たかった」
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