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2018年11月12日05:59

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インドネシア、カリマンタン島で4万年前のウシを描いた最古の具象画、手形ステンシル画は5万年前に

 インドネシア、カリマンタン島東部の洞窟で発見されていた石灰岩洞窟群に残る旧石器人の描いた動物壁画が、このほどオーストラリア、インドネシアなどの研究チームによって、世界最古の具象画の洞窟壁画ではないか、という分析結果が7日付『ネイチャー』電子版で報告された。

◎石灰岩のルバン・ジェリジ・サレー洞窟
 調べられた年代は、絵によって異なるが、ルバン・ジェリジ・サレー洞窟(右の地図の中央)で見つかった、この地域に今でも生息している野牛「バンテン」(ヨーロッパなどにいたオーロックスとは種が異なる)を描いたと考えられる彩画は、ウラン系列法で4万年前と測定された(写真=壁画をなぞったイラストのうち黒い四角の枠内から4万年前の年代を示す試料が採取された。左下にウシ)。
 この年代が正しければ、ヨーロッパの最古の動物具象画であるフランス、ショーヴェ洞窟より数千年は古い。
 さらに同洞窟に見られた、ヨーロッパにも広く見られる手形ステンシル画は、同じウラン系列法で最低3.72万年前、最高5.18万年前と測定された。

◎さらに若い年代の絵も
 なお研究グループは、ルバン・ジェリジ・サレー洞窟とそれ以外の3カ所の石灰岩洞窟の壁画のウラン系列法年代も得て、この地域の芸術の編年を可能にした。前記の壁画より新しく、一部を入念なモチーフで装飾された暗い紫色の手形ステンシル画は約2万年前、同色の、極めて稀少なヒトの彩画は、約1.36万年前という。
 こうした年代は、ヨーロッパの洞窟壁画と年代的に一致する。最終氷河期再寒冷期(LGM)に、ユーラシアと西端と東端でホモ・サピエンスの類似した芸術活動が展開された意味が、今後、議論されていくだろう。

◎洞窟壁画、もっと古いか
 東アジアとヨーロッパの壁画は、いずれも石灰岩地帯の洞窟の壁面をキャンバスにしたものである。しかもその制作年代がほぼ並んだ。
 以上の共通点は、実は旧石器人、ホモ・サピエンスは、洞窟地帯でなければ別の「キャンバス」も使っていたのではないか、ということも示唆する。この直前に報告された南アフリカ、ブロンボス洞窟はオーカーをチョークにして石器に斜交平行模様をつけていた(18年10月30日付日記:「南ア、ブロンボス洞窟で赤いクレヨンで斜交平行模様の付けられた磨製石器発見、最古の彩色図像」を参照)。
 朽ちて消えてしまった木の板、毛皮、自然の大岩なども使われていたかもしれない。野外の大岩の場合は、風化で数百年もたたずに消えてしまっただろうが。
 だとすれば、ブロンボス洞窟例のように、洞窟壁画の起源はもっと古いかもしれない。さらに古い壁画が見つかっても、僕は驚かない。ホモ・サピエンスの創造力は、奥底は深いからだ。

◎スペインのラ・パシエガ洞窟との関連は
 なおこの2月、米科学誌『サイエンス』で、スペインのラ・パシエガ洞窟など3洞窟で見つかっていた抽象彩画、手形ステンシル画の年代が6.5万年前という報告がなされた(18年3月5日付日記:「北スペイン、ラ・パシエガ洞窟壁画の年代は約6.5万年前、ヨーロッパ最古、ネアンデルタール人の作か?」を参照)。
 この年代の頃、ヨーロッパに早期ホモ・サピエンスはまだ到達していなかったので、ネアンデルタール人の制作と見られるが、その関連も興味深い。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201811120000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「After 藻岩山、次は東の野幌森林公園へ、北海道百年記念塔から原始林と博物館」

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