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2017年05月07日01:36

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世界一の原油埋蔵量の国ベネズエラの破綻の研究;左派ポピュリストのバラマキで外貨が払底し、貧困層が死ぬ皮肉

 南米の破綻国家ベネズエラの独裁者マドゥロは、18年に予定される大統領で、自己の再選を確実にするための憲法改正の準備に入った。1日、改憲のための制憲議会を招集する準備委員会設置を発表した。
 いよいよマドゥロ居座りを糺す重要性が高まってきた。民主派市民・学生は連日の抗議デモを行っている(写真=3日の首都カラカスのデモで、機動隊の装甲車に火炎ビンを投げる学生たち)。

◎バラマキで豊富な外貨を蕩尽
 50年前、中南米の石油大国ベネズエラは、イギリスと比べても遜色ないほど豊かだった。100年前、中南米の農業大国のアルゼンチンは、『母をたずねて3000里』で描かれたように、イタリアから出稼ぎに来るほど豊かだった。
 その後、アルゼンチンもベネズエラも、国際金融破綻かそれに近い状況になったのは、ひとえに左派政権のバラマキ政策の失敗である。アルゼンチンについては、一足先に左派政権を打倒し、国際金融界に復帰したが(15年12月5日付日記:「アルゼンチンのポピュリズム左派政権の退陣は、南米左派政権消滅の第一歩」、12年12月21日付日記:「アルゼンチンの女性大統領クリスティナは世界一のバカ女;ジャンル=現代史」を参照)、ベネズエラはその目処さえつかない。このことは、3日付日記「餓える南米の石油大国ベネズエラの悲惨;極左マドゥロ政権のもと国が破綻」で述べた。
 中南米の左派政権の失敗は、最大の大国のブラジルの例を挙げるまでもなく、すべて共通する。それは、「貧困撲滅」を旗印に、豊富な外貨収入を政権獲得・維持のためにバラマキに蕩尽したことだ。

◎原油価格下落で3年連続マイナス成長に
 ブラジルは農畜産物、コーヒー、鉄鉱石などの資源、アルゼンチンはコムギと牛肉などの農畜産物、そしてベネズエラは原油が、外貨収入源だった(写真)。
 中でもベネズエラの原油依存は、際立っていた。輸出に占める割合は、9割超が原油である。この豊富な原油収入が、政府予算を潤し、トイレットペーパーからズボンまで、消費財のほとんどを輸入で賄っていた。
 前回述べたように、2014年から昨年まで、ベネズエラ経済は3年連続のマイナス成長に落ち込んだ。昨年のマイナス幅は、10%に達した。3年を足し合わせると、2013年比で経済は23%も縮小している。それは、2000年代のバラマキと繁栄を支えた原油高が、14年から反転したからだ。

◎通貨下落を無理に抑え込む失政
 宴が終わって、ベネズエラのドルは急減した。この時、賢い為政者なら、外貨準備の急減を抑えるため、通貨ボリバル(写真)の価値下落を容認しただろう。
 通貨安は、輸入物価高を通じて国内のインフレを招く。しかしこの物価高で、消費は抑制される一方、原油以外の輸出品の国際競争力を高め、国際収支の均衡に至るのだ。
 国民には不人気だろうけれど、通貨安を通じて、構造改革も進む。
 ところがバカな独裁者ニコラス・マドゥロは、為替市場を放置した。いや、正確に言えば、力でボリバル安を抑え込み、輸入制限を行った。ポピュリストらしく、物価高での人気下落を忌避したわけだ。
 ドルに対して、ボリバルの実勢は著しく下落したのに、公定レートを維持したのである。

◎ドル欠乏で消費財を輸入できず、猛烈インフレに
 で、どうなったか? かつてのソ連、そして現在のキューバのように、ベネズエラ通貨のボリバルがの信用力がなくなり、誰も受け取らなくなったのだ。ドルは、極端に稀少になった。
 不足する食料品や消費財、薬品などを輸入したくても、ドルがなく、ボリバルは信用されない。したがって、国内は極端な物不足になる(写真=空っぽのスーパーの棚)。
 通貨安ではなく、ドル欠乏によって、インフレが起こったのだ。
 財政赤字も膨らみ、お得意のバラマキもできなくなった。それでも、支払い義務を果たすためにボリバル紙幣を増刷した。インフレは、ハイパーインフレへと「進化した」。

◎他の産油国は原油収入を積み立てたのにベネズエラは無駄遣い
 サウジアラビアやクウェート、ノルウェーなど、多くの産油国は稼いだドルを、将来世代のために基金を作って積み立てた。ところがチャベスも、その後継のマドゥロも、バラマキに蕩尽した。今、ベネズエラの外貨準備はほとんどない。
 15年にはそれでも外貨準備は200億ドルはあったのに、推定では今は105億ドル程度とも言われる。年内に支払いを迫られる債務は約72億ドルとなっているから、もうデフォルト寸前だ。

◎自称「貧困層の味方」が聞いて呆れる
 貧困対策として貧しい層に手厚い給付をすることは、資金の裏付けがあってこそ正しいのであり、それがないのにマドゥロのやっていたのは、富の浪費以外の何物でもない。そして彼の重視すると称していた貧困層が、食料難と薬品不足で死んでいるのだ。
 これこそ貧困社会主義に他ならない。
 チャベスとマドゥロが支援してきたキューバは、今、かつての豊かな友人をどう思っているだろうか。さりとて外貨が素寒貧のキューバは、救いの手を差し伸べられないのだ。

注 GREEによる容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201705070000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「エチオピア紀行(39):戸外でインジェラを焼き、そこで食事する民家」
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