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2017年09月18日12:35

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「アルプススタンドのはしの方」

この前土曜日、仕事から帰ってきてテレビをつけたら、NHKで高校の演劇部の全国大会が放送されていた。
あ、これ録画しようか迷ってたやつだ。でも時間が長いから録画してもたぶん見ないだろうなと思って録画予約はしていなかった。
それが今ちょうど放送されている。時間を見るともう終わりの方で、各賞の発表の時だったので、ちょっと見てみようと思い、見てみることに。
すると最後に最優秀賞が発表され、それが兵庫県立東播磨高校演劇部だった。
えー、兵庫!すごいなあ。と思ったら、「それでは今から最優秀賞の作品をノーカットでごらんください」とアナウンスが。慌てて録画ボタンを押した。

「アルプススタンドのはしの方」というタイトルから、どういう内容なのか、大体の想像はつく。
きっと野球の話で、そのはしの応援席で何かしらの話があるんだろう。いつも注目される野球をやっている選手ではなくて、応援をしている、注目されない側の話なんだろうな、という想像をして見始めた。
私の場合、こんなふうにタイトルからある程度想像できる時、その内容はよほどいいものでなければ感動できない。想像通りだと「ほ〜らやっぱり」と自分の想像が当たっていたことに満足するだけで終わってしまう(←ヤな性格(^_^;))
そんな自分を自覚しながら、見始めた。
内容は、甲子園の第一回戦。東播磨高校野球部と甲子園常連校の試合。県立高校なので、応援は全員強制参加。応援席の前の方では吹奏楽部が華々しく演奏し、盛り上がっている。
その応援の輪には加わらないではしの方で見ている4人。舞台上にはその4人だけ。その4人の会話で物語が進んでいく。
中心は演劇部の女子2人。ヤスダさんとタミヤさん。そこに元野球部のフジノくんが遅れてやってくる。3人はスタンド席に座っているけど、その席からは離れたところで立ったまま真剣な表情で試合を見ているミヤシタさん。
この4人の会話の中で、ピッチャーのソノダくんのことや吹奏楽部のトランペットのクスミさん、野球はすごく下手なのに練習をすごくする野球部員のヤノくんのことが出てきて、そこにいない登場人物も見事に描かれている。そしてその会話と同時に試合も進んでいく。
この会話や、4人がそれぞれに抱えている事情がだんだん明らかになっていく様子。バックには吹奏楽部が演奏する「タッチ」や「ルパン三世のテーマ」「狙い撃ち」などの甲子園の応援曲がずっと流れている。
そのどれをとっても素晴らしい。基本はコメディータッチで、客席から笑いも起きる。私もテレビの前で笑いながら見ていた。それでもラストは感動して、泣いてしまった。タイトルから想像した私の想像を、はるかに超えた作品だった。

劇中、演劇部のヤスダさんが「青春ってなんだろうね〜」とつぶやく。
それを見ながら、「そうやって、アルプススタンドのはしの方で、友達と話しているまさに今が『青春』なんだよ」と、テレビの前で大人になった私はしみじみ思う。
すごいな、高校生。こんなに大人を感動させられるなんて。すごいよ。
脚本は演劇部の顧問の先生が書いたそうだけど、それを演じるリアルな高校生。
こんな青春、うらやましいな。そう思いながら、見終わった。
この舞台をもっといろんな人に見てほしいけど、全国大会の放送だからなあ。NHKオンデマンドとかで、やってないかな?ほんとにぜひ、見てほしい。
私は東播磨高校とはまったく関係ないけれど、そんな気持ちにさせてくれる舞台でした。
おめでとう!
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