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2020年06月15日05:26

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The Secret Great Love Show

T兄がやってくる。
母に伝えた。部屋を片づけ、買い出し。
普段の食材に加えて、T兄の好きなのどごし生の6缶パック、T兄の好きな桃のチューハイ、うなぎにローストビーフにかつおのたたき。それらは母も食べられるという寸法。


来るのは午後遅くなると連絡があったので、私は母に断ってピアノを弾くことを許してもらった。いつもは母が習っている童謡だのを弾き続けているし(騒音)、リビングは母のいる場所なのでずっと我慢していたけれど、今日はどうしても弾きたかった。カワイのグランド。私は積もっていた埃をすべて拭き、蓋を大きく開け放った。


ビリー(T兄のくれた小さな、音のいい、JBLのワイヤレススピーカー)を連れてきたらどうかしら?楽譜になってくれる?私は耳で弾くから。
YouTubeをかけながら、両腕で追いかけていく。ビリーは楽譜立ての部分にきちんと納まって、私を導いてくれた。


Dream theater。
を多く弾いた。
実際あんなバカテクは無理でも、ついていける。
美しいコード、メロディ、ハーモニー。
ついていけることと、オクターブがラクラク届くようになっていることに驚愕する。
私はもう年単位で鍵盤に触れていないのに?
音楽にのめりこんでいくと、上体が動き流れる。弾くこともダンス。


発見。ディズニーは案外速い。


T兄が来た。
かれは母への美味しそうなお菓子のお土産を持って、そして私のためにいい赤ワインを買ってきてくれた。ワインなんか分からないくせに。
「こんなんでいいかなって思った。わかんねえ」
それはとてもフルーティでさわやかで、私の好きなミディアムボディだった。スペイン産。ねえT兄、スペインに行かない?


うなぎやお魚を用意する。庭の山椒の芽や大葉を添える。白いごはん。
でも遠慮屋さんのT兄はあんまり箸をつけない。うなぎを一枚、食べたきり。


ドライブに連れ出してくれた。
夜の東京。
ハンドルさばきと運転は、巧みでスリリング。性格出てる。
ねえ、もっと、のんきに優雅にげんきよくね。あぶないでしょう?でも私は笑ってしまう。
「東京ってわかんねえな」
と言いながら、スカイツリーをくれた。
「わあルパーン、あたしあれ欲しいわあ」
夜の宝石の塔。
「やんねえよ」
「もうくれちゃった。だって見てるもん。すごい!キレイ!芸術ね!どうやって造ったのあんなの・・・上空のほうなんか・・・」
「お前の好きな鳶が作ったんだよ」
T兄はSの話を聞いてからというもの、ずっと妬いている。
さくのことも、しゅうくんのことも、みんなにひどく妬く。


ねえ、分からないの?
知らないの?
もちろんもう分かっている。知っている。だから私たちは笑う。
流れる宝箱のような夜景を、ゆるやかな速度の走る王室を、くれるひと。
あなたはいま、やっと笑う。
もう恥ずかしがらずに。
私は大声で、ゴーオンジャーやキラメイジャーを歌い続けた。振り付きで。


あはは。


お夜食は、初めて私の手料理を。アマトリチャーナ、十八番。隠し味はバルサミコ酢と味の素とバター。上にレモンジュレをちょっと。
T兄は食べてくれた。ずるずるとすすって。どきどきした。このひとやっとものを食べたわ。
「これうまいな」
『プリンセスと魔法のキス』のウェイトレス、ティアナみたいな気持ちで、私は見張ってた。まず胃袋からなのよね?ティアナ。


その夜、夢は叶った。
かれは、ついに言った。
魔法の言葉を。
私はスパークして、もう昨日までいた世界にはいない。さようなら、こんにちは。


危険はあるかもね?
あなたのお仕事は、実は配管の溶接、ということが判明した。なんで言わないの?
でも、ええ、男はいつだって危機管理。
あなたが毎朝書くリスクアセスメントの書類。
私にも書いてね。


Then,you signed your name across my heart.




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