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2019年10月14日17:53

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TRPG トーキョーN◎VAリプレイ 真相は雨に流れて

プロローグ

トーキョーN◎VA、地軸反転により激変した世界で、鎖国した日本の唯一外へと開かれた都市。そこは欲望が渦巻き、メガコーポと呼ばれる企業が支配する街。

「ホーク、お前!これは処分すると決めただろ!」
重金属が混じる雨の中、ガード下の資材置き場でキックスは叫ぶ。
「悪いなキックス。だがこいつを捌けば大金が手に入る。ここから這い上がるチャンスなんだ。俺はそれをみすみす逃すほど無能じゃない。だからお前には死んでもらう。」

貨物列車がストリートを通り過ぎる頃、銃声が響いた。







探偵というのは因果な職業だ。椅子に座ったまま話を聞いて事件の真相を救命したり、殺人現場にたまたま居合わせて犯人を見つけたり、そんな華々しい活躍なんてのはフィクションの中だけだ。実際には浮気調査や身元調査で稼ぐもんだ。ときには犯罪すれすれのこともする。だが曲がりなりにも探偵を続けているんだから、そんな華々しい活躍へのあこがれがないわけではない。楽しいことよりも苦しいことが多いこの稼業を続けていられるのも、そういう憧れを捨てていないからなのかもしれない。

俺はマグロ。この街で探偵をしている。探偵といっても個人で食っていくのはかんたんじゃない。だから今は探偵社に所属している。選ばなければ仕事は安定してもらえるし、探偵稼業で食っていくには現実的な選択だ。そして今日はまた依頼が来たらしい。早速依頼人と打ち合わせだ。
「兄は殺されたんです!」
ソニアという少女は依頼内容を聞いた開口一番こう言ってきた。
こういう依頼人は苦手だが多い。感情的に話されると厄介なのでゆっくりと依頼内容を聞き出す。
「まず落ち着いて、順を追って話してください。」
「すいません、実は1年前、ストリートで起きた事件についてなんです。」
「1年前のストリート…あのオーバードーズした中毒者が暴れた事件?」
「はい。ですが兄はやんちゃだったとはいえ、あんなことをする人ではありませんでした。だからきっと、何か事件に巻き込まれたんです。」
まるでドラマのような依頼人じゃないか。
「それで、その事件を調査してほしいという依頼で良いんですか?」
ソニアは頷く。
「しかし事件をしらべてどうしようっていうんだい?復讐のためか?」
「いえ、復讐というわけでは…でも兄が、あんな死に方をしたのは納得がいかないんです。せめて真実が知りたいんです。」
「わかった。とはいえこれは仕事だ。もちろん報酬はいただく。」
「もちろんです。ただ、すぐには…出来高払いでお願いします。」
「それは構わないが割高だぞ。それに報酬とは別に必要経費ももらう。」
「…はい。」
「よし、話は決まった。それじゃ契約書にサインしてもらおうか。」



 イヌはN◎VAで警官をやっている。企業の力が強いN◎VAでは警察の評判は良くない。特に貧民が多いストリートでは事件そのものが多く、捜査は追いついていない。さらには企業の上層部が絡んでいるとなると捜査が打ち切りになることも珍しくない。そのため警察を辞めて民間の警備会社や探偵へと転職する人間も多い。ただ、そこに至らずに、悶々とした思いを抱えながら警官を続けているものがいるのもまた事実である。イヌもその一人だった。

 捜査の合間に時間があると、現場に足が向いてしまう。すでに捜査は終わり、ケリがついているはずなのに、イヌは納得していなかった。だからこそ、こうして何度も足が向いてしまう。1年前、ストリートの若者の一人であるキックスがドラッグのオーバードーズで暴れ、銃乱射により仲間と彼自身が死んでしまった事件。オーバードーズということになっているが、事件の前に何度かキックスと会ったことがあるイヌは納得していなかった。仲間思いの彼が、妹を残して馬鹿な真似をするとは思えなかったのだ。しかし捜査はあっという間に終了した。この街では珍しいことではない。ドラッグのオーバードーズによる事件なんてストリートではよくあることだし、そうした事件について他の可能性を探って捜査をするなんてこともない。たとえ遺族や仲間が望んだとしても、捜査が終わってしまえばそこまでなのだ。
「あれ、イヌさんじゃないですか。」
唐突に聞こえた声の主はマグロだった。警察と探偵という立場上、二人は面識があった。
「こんなところで何してるんですか。」
妙に嫌そうにイヌに話しかける。
「いや、ちょっと…ね」
「ちょっとってなんですか?」
口下手にもほどがあると言わんばかりにマグロが突っ込む。
「いや、事件を、追っているから。マグロこそどうした?」
「仕事ですよ。」
「どんな仕事だ?手がかりは見つかったか?」
「いやいや、守秘義務ってもんがあるんでね。詳しくはしゃべれないですよ。」
「そんなもんか。」
そう言いながらイヌは現場を歩き回る。
「む?」
ふと弾痕が目に入る。かつてキックスが銃乱射事件を起こした現場だ。弾痕があることは不思議ではない。しかし、それは明らかにストリートの若者が手に入れられる銃のものではなかった。
警察官をやっていればストリートで起こる犯罪で使われる銃についてはよく知っている。入手しやすく、値段も安いハンドガンが多く使われるのだ。しかしその弾痕は明らかに違った。そう、まるでアサルトライフルのような…
 イヌは手持ちの情報端末で弾痕の写真を撮った。



 電脳世界、それはネットの海に広がるもう一つのN◎VAだ。そこでは身体能力や社会的地位は関係ない。ハッキングの腕がある者が強者である。ライジングホッパーはこの世界での強者であった。現実の彼は身体能力は低く、人と会話するのも苦手である。しかし電脳世界では違う。そこでの彼はあらゆる情報源にアクセスし、ネットワークにつながったあらゆる機器へと侵入し、自在に動かすことができる。その腕を見込まれて、仕事を頼まれることも多かった。今回もそんな仕事の一つだった。
 マネーロンダリングルートを乗っ取ってほしい、そんな依頼だ。資金の動きに関する依頼は多い。それは秩序の維持のためであったり、敵対する組織を攻撃するためであったり、単なる嫌がらせだったりと理由は様々だ。そしてライジングホッパーは金さえ積めば、それらの依頼を断ることはほぼなかった。
「簡単だ。答えはイエス。」
巨額な報酬を前に、断る理由はなかった。
 投資会社ファルケニウス、ここ1年で急速に成長している会社である。依頼によるとこの会社が裏でマネーロンダリングに関わっているという。現在では数千億円を動かすような会社だが、実際のところ創業当時の情報はほとんどわかっていない。しかし巨額の資金を動かしている会社であれば、マネーロンダリングに関わっていてもおかしくはない。情報分析の基本は公開情報を整理することからである。そしてわかったのが次の情報である。

ファルケニウス株式会社
資本金5億円。運用している資金は数千億円におよぶ。
創業は1年前
株式の上場はしていない。
社長の名前はファルケ。
過去の経歴は不明点が多いがどうやらストリートにいた時期があるようだ。
「さて、まずはこんなところか。次はどう進めていくかな…」





 イヌは迷っていた。弾痕の写真を撮ったものの、果たしてこの情報だけで進展があるのか。思考は停止し、立ちすくんでいた。
「刑事なのに聞き込みとかしないんですか?」
マグロが言った。そうだ、イヌは刑事なのだ。捜査の基本は聞き込み。現場の周辺にいる人に話を聞いて手がかりを探す。基本中の基本だ。しかし、イヌは聞き込みが苦手だった。元来「フロ、メシ、ネル」以外の発言をせず、基本的に言われたこと以外何をやっていいか考えたこともないイヌは、自分から他人に話しかけ、情報を聞き出すなど道具を使わずに空を飛べと言われているようなものであった。しかしこれは命令で動いている捜査ではない。自ら動かねば何も変わらないのだ。
「この辺であった事件についてなんですが…」
「あなた誰ですか?忙しいんですけど」
いきなり本題から入ってしまうがゆえに断られてしまう。
「まずは名乗ってからでしょ」
マグロにまで怒られる。
「すいません、N◎VAの警察の者ですが」
「なんですか?」
怪訝な表情をされながらもなんとか話を聞けそうな人を見つける。
「1年ほど前にあった事件について聞きたいんですが」
「詳しいことは知りませんが、あの現場の近くにドラッグの売人が出るという噂はありますね」
「それはどのあたりですか?」
「さぁ…あそこのコンビニのあたりじゃないですかね」
「それは何時くら…」
「急いでるんで。それじゃ」
足早に立ち去られてしまう。
しかしドラッグにつながるのならば、この情報は追いかける価値はあるのではないか。
「あれだけ聞いて回って、ようやくですね。まずはこの線を追いましょうか。」
マグロも乗り気ということであれば、おそらく彼が追っている件にもつながるのだろう。単独で動いても埒が明かないと考え、イヌはマグロと協力することにした。
「売人というからには出るのは夜だろう。0時にあのコンビニでまた合流しよう」
「え?ここから別行動ですか?」
イヌは弾痕の写真も気になっていたので鑑識に行きたかった。
「仕方ない、それじゃ夜に。」
そう言ってマグロと別れ、イヌは鑑識へと向かった。

深夜、ストリートの空気も不穏になってくる頃、出歩く人も少なくなってくる。
弾痕については結局大したことはわからなかった。ストリートにいるような若者がかんたんに手に入るような銃ではない、アサルトライフルとのことだ。しかしそれ以上のことはわからなかった。もはや売人の情報を追うしかない、イヌは落胆と僅かな希望を胸に、待ち合わせ場所のコンビニに向かった。
「何かわかったんですか?」
いやみったらしくマグロが話しかけてきた。
「…」
「その顔だと大したことはかわからなかったようですね。」
「…」
「図星ですね。」
マグロに痛いところを突かれているとコンビニの角に怪しい男が通りかかった。
「…いくぞ」
イヌは動いた。
「おい、例のブツはあるのか」
凝りもせず本題を単刀直入に聞く。
「へい…」
男は黙って袋に入った粉末をチラつかせる。
「ちょっと待て、そいつはほんとに例の粉末かい?ここに来たらいいものもらえるって聞いたんだけどなー。ツナ缶一つもらえるかい。」
「金はあんのかい?」
「ああ。」
「ついて来な。」
とっさに何かを察したマグロのフォローにより、どうやら取引場所へと連れて行ってもらえることになったようだ。

「さて、さらなる深みへとダイブしようか」
ネットで情報を集める時にライジングホッパーはそう表現する。
凄腕のハッカーである彼はネットへダイブすることであらゆる情報へとアクセスできる。そのためハッキングの依頼も受けており、金次第であらゆる情報を盗み出していた。探偵であるマグロはそうしたハッキングによる情報収集を依頼しており、今回の事件においても情報収集を依頼していた。
 ストリートで流通しているドラッグの背景にはファルケニウスが絡んでいた。さらにはライジングホッパーが追っていたマネーロンダリンクの資金源はドラッグを売却した金だった。ここで2つの依頼が交錯した。ついでにドラッグの売買について調べるとストリートで売人に接触し、あるワードをつぶやくことで取引場所へと連れて行ってもらえるらしい。「ツナ缶一つ」と。ひとまずこの線を追っているらしいマグロへとメールで伝えておく。情報を流すことで報酬ははずむ約束になっているのだから一石二鳥である。そしてこれだけでは終わらない。そのままネットを通してファルケにコンタクトを取る。そしてファルケニウスによるドラッグ売買とマネーロンダリングの事実をつきつける。
「ほう、貴様があのライジングホッパーか。その様子からするとすでに証拠はあるということか。」
「もちろん。話が早くて助かる。マネーロンダリングのルートはすべてわかっている。」
「それで、狙いは何なんだ?」
「金だ。別にドラッグの売買やマネーロンダリングを潰そうってわけじゃない。それだけ儲かっているならその利益を少しばかり吸い上げたいだけさ。」
「ほう、それならファルケニウスの株を少しばかりくれてやろう。ただし、今後この件については一切深堀りするんじゃない。金が欲しいならな。」
「交渉成立だ。」
こうしてライジングホッパーはファルケニウスの株を手に入れた。これでまとまった金が入る。これ以上はマグロに情報も流せないがすでに十分だろう。金が手に入れば目的は達成だ。

 湾岸地区、鎖国しているこの国でも唯一外に開かれたN◎VAの海の玄関口である。それだけに様々なものが出入りし、それに伴い様々な人間がいる。そして最近ではダウンタウンの勢力争いを尻目に、勢力を伸ばしているギャングもいるらしい。
 ストリートで流通しているドラッグはこの湾岸地区から流れてきているという売人の情報をもとに、マグロとイヌはやってきた。
「…潜入するぞ」
「とりあえずさ、潜入して何をするの?」
「…潜入するぞ」
「??」
イヌはおもむろに倉庫の入り口にいる人間に話しかける。
「…」
はな…し…かける?
「ちょ、ちょ、ここに来るといいものが手に入って金がもうかるってきいたんだけど」
見かねたマグロがフォローに入る。
「おう、それならまずはパシリからだな。クリームパン買ってこいよ」
「はい、ここに!」
マグロがとっさにクリームパンを差し出す。
「それ、俺のおや…」
この期に及んでおやつを主張するイヌをマグロが制する。
「気が利くじゃねぇか。よし、ボスに会わせてやるからついて来な。」
ひとまずは内部に入ることに成功した。
「ボス、新入りです。」
大柄でモヒカンの男に紹介された。どうやらここを仕切っているらしい。
「おう、せいぜいがんばれや。」
ボスは言葉少なく応えた。

「ヒュー!面白いじゃねぇか!」
ミニバイクをウイリーさせて転んでしまうマグロを見て倉庫の連中は面白がる。
「もう一回やってみろよ」
運転が下手なため何回やってもウイリーになってしまう。しかしそれを皆面白がって見ている。こうしてマグロは数時間であっという間に可愛がられる存在になっていた。
「ところで、さっきのボスってどういう方なんですかね?」
打ち解けてきた頃を見計らってマグロは聞き出す。
「ああ、ボスはこの倉庫を仕切っていてな。どうも古株らしいが詳しいことはわからねぇ。おう、そうだ。さっき届いたこいつをボスのところに持っていけ。」
そう言うと何やら封筒に入った書類の束を渡された。どうやらドラッグの取引に関するもののようだがさすがにここで中身を改めることはできない。一旦ボスのところに持っていくか。

「ボス、マグロです。」
そう言ってボスの部屋へ入る。
「こいつを持っていくように言われたんで…」
封筒を差し出す。
「おう」
ボスが黙って受け取る。
その時、マグロはカミワザを発動した。

--カミワザ、N◎VAで行きていくには一筋縄ではいかない。そしてここで生きながらえているからには何かしら秀でたものをもっている人間が多い。そしてマグロもそうした人間だ。
そのカミワザは「フェイト」どんな人間にでも、一度だけ真実を話させることができる。マグロが探偵としてN◎VAで生きていられるのはこのカミワザのおかげでもあった。

「話してもらおうか。ドラッグの取引のすべてを」
「ああ、あれは1年前のことだ。」
こうして真実を聞き出した。

5
---1年前、ストリートの仲間だったキックス、ホーク、ビッグはある時、何者かが隠していた大量のドラッグを見つけた。ストリートではドラッグで身を滅ぼすものも多い。当初はこのドラッグは処分するはずだった。しかし売りさばけば大金が入る。キックスは断固として処分を主張した。しかし、ある時、ホークが裏切った。

「ホーク、お前!これは処分すると決めただろ!」
重金属が混じる雨の中、ガード下の資材置き場でキックスは叫ぶ。
「悪いなキックス。だがこいつを捌けば大金が手に入る。ここから這い上がるチャンスなんだ。俺はそれをみすみす逃すほど無能じゃない。だからお前には死んでもらう。」

貨物列車がストリートを通り過ぎる頃、銃声が響いた。

キックスを殺したホークはビッグも殺すつもりだった。しかしビッグはホークに協力する代わりに生きながらえた。そうして協力した結果、ドラッグ流通の拠点である倉庫をとりまとめているのだ。

そう、このドラッグ密売でもうけた金で会社を作り、投資会社を隠れ蓑に流通ルートを築いた者こそがホーク、つまりファルケなのである。

「やはりか…」
マグロはついにすべてがつながり、全貌を掴んだのだ。
「ここまで話しちまったんだ。あんたを生かしておくわけにはいかない」
そう言うとビッグはカタナでマグロに切りかかった。
「グワーッ」
マグロは戦闘が得意ではない。見事に顔面にカタナを食らい、重症を追って倒れ込んだ。
「こいつは港のゴミ捨て場にでも捨てておけ」
ビッグはそう命じて、マグロは外へと運び出された。

6
「まずい…マグロはどこへ行ったんだ…」
イヌは困っていた。いざ潜入してみるとマグロはあっという間に打ち解け、ボスに会いに行ってしまった。一方イヌは打ち解けることもできず、隅っこに立ち尽くしていた。しかしこれは逆に好機でもあった。マグロがすでにボスと会っているならば、真相を掴んでいる可能性は高い。さらにはさっきボスの部屋から布にくるまれたマグロとおぼしきものが運び出されていた。空気のような扱いをされているならば、空気のように立ち去るのも可能なはずだ。落ち着いた頃合いを見てイヌは倉庫から立ち去ることにした。

「痛ってぇ…」
倉庫街の外れにあるゴミ箱からマグロが這い出してきた。血は出ているものの、さっき受けた傷は治っていた。カミワザ、「蘇り」である。命がけで潜入することがあるマグロはこうして脱出することができたのだ。
「…」
「いるなら助けてくださいよ。」
イヌはだまって手を差し出す。
「…掴んだんだろ、真相を」
「そりゃあ、ね。今回は貸しですよ。それも特大のね。」
そうしてマグロとイヌは真相を掴むことに成功したのだった。


7
以上が事件の真相です。
「…よかった。やはり兄は、最後まで兄だったんですね…」
調査報告を受けてソニアは兄の死の真相を知ることができた。
「今回の依頼は相当に骨が折れた。もちろんその分依頼は完遂しました。なので報酬はいただきますよ。」
「もちろんです。一生かかってもお支払いします。」


 イヌは納得していなかった。真相がわかったからこそ、何もしないわけにはいかなかった。イヌはこのN◎VAでは珍しいほどに不器用な男である。ファルケニウスの件を上司に掛け合うも相手にはされなかった。
 上司に訴えても埒が明かない。そう考えたイヌはカミワザを使うことにした。警察の権限とマスコミを使い、警察とファルケニウスの癒着を白日の下に晒すことで社会的な制裁を下したのだ。
そしてイヌは暴走すると止まらない男でもあった。ライフルを持ち出しファルケニウス本社の出入り口が見えるビルの屋上へと陣取った。
「…俺は、俺の正義を通す。」
カミワザ、カブトワリを使って狙撃をする。ファルケもとっさにカブトワリで反撃をする。伊達にドラッグ売買で儲けてはいなかった。しかし、暴走したイヌはカミワザ、カブトで以て防ぐ。こうしてイヌによりファルケは暗殺された。

 ファルケニウスがヤバい、そう知ったライジングホッパーの動きは早かった。ファルケニウスの株を早々に現金化し、依頼人の取り分を支払い、自分の取り分はひとまずの隠し口座へと移したのだ。マネーロンダリングのルートはライジングホッパー自身も利用価値があると踏んだため、あえて潰すことはせず、今回の資金の洗浄に利用することにしたのだ。
こうして、ライジングホッパーは大金を手に入れ、マネーロンダリングのルートは残った。

エピローグ

N◎VA、それは鎖国した日本で唯一外へと開かれた都市。そこには様々な欲望がうずまき、様々な利害が絡み合っている。自分の正義を貫くことが、別の人間には悪になることもある。それをわかった上で、うまく立ち回ることで利益を得るものもいる。だからこそ、N◎VAは危険な魅力を放つ都市なのだ。
 ストリートで起きた一つの事件から始まった、マグロ、イヌ、ライジングホッパーは、それぞれに仕事を完遂し、独自の正義を貫き、利益を得た。それらすべてがN◎VAの一面なのである。
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