旅行二日目(1)
サンフラワーにゆられて夜を過ごす。
二等船室はエンジンに近い場所で、横になってみてからわかったことだが、エンジンの振動が直接心臓を叩くように
「ドン ドン ドン ドン」
と、伝わってくる。
こんな振動の中で眠れるのだろうか?
そう思っていたが、気が付くと結構ぐっすり寝ていたみたい。
部屋の端っこに陣取っていた二人組はもう荷物をまとめてどこかへ行ってしまっていた。
船は豊後水道に入っているようで、順調に進んでいる。海は穏やかで、月並みな揺れがあるが、乗り慣れていると心地よい揺れ具合。
荷物をまとめて、下船の準備を始める、ほどなく放送が入り、定刻通りに別府港に到着するとのこと。ロビーに出てみると別府の街並みが目前に迫っている。ゴロゴロしているだけで九州まで連れて行ってくれる乗り物、本当に便利だ。
降り口の方に行ってみると、今にも「降りたいオーラ」を出している人々は既に列を作って待っている。その列の最後尾に並んで待つ。
10分ほど待っていると着岸が完了して、下船のゲートが開く。乗ったときとは違う高さの降り口に案内され、船の中の階段で階下に降り、そこから桟橋へ移っていく、BGMにサンフラワーの歌が流れている、さびの部分
サンフラワー サンフラワー 太陽に守られて
サンフラワー サンフラワー 太陽に守られて いこおーー ♪
という歌が繰り返し繰り返し流されていてる。
その歌を聴きながら下船。
桟橋を渡ってビルの中に入り、一階に降りて窓口に行く。乗船券を販売している窓口だが、ここで「亀の井バス」の乗車券を買う。一日乗車券は900円。二日券だと1500円。路線バスを使って市内を移動して観光する予定なので二日券を購入する。
ビルの外に出るとちょうど別府駅行きのバスが待っていたので、それに乗り込む。目的地のホテルに直接行くバスはないので、海沿いに進んで途中の「餅が浜」で降りる。パスを見せると。
「会社が違うんですよ」 と、運転手。
やや、紛らわしいのだが、別府市内には亀の井バスの他に大分交通の路線バスも走っている。知ってはいたものの、初めて乗ると間違うこともあるよね。150円払って降りる。
そこから、山の手の方に向かって歩いていく。途中のポケストップをコツコツ回していくのも忘れずに。
ちょうど通学時間なので、中学生の歩いている姿を見かける。
「中部中学校通り」を西向きに歩いていき、途中JR日豊本線のガードをくぐる。さらに西へ進む。「南石垣温泉」という温泉が湧いているのだけど、ここはスルー、先へ進む。
「境川小学校通り」に入って進んで行くと、突き当りが「鶴高通り」この辺に目的の「ホテル別府パストラル」があるはず。辺りを見回すと、信号を渡った角にビアガーデンの看板が出ている。ビアガーデンやっているのだろうか?
「荘園通り」という道を進んで、「野口原公園」の向かい側が目的のホテル。鉄筋コンクリート建ての大きな建物で、広々とした立派なホテル。敷地内に進んで玄関から入ると左手にフロントがあった。時計を見ると7時50分。程よい時間に到着。
フロントで予約している旨を伝える。お風呂が先か食事が先かを聞かれるが、朝食を選択。準備ができるまでロビーで待つように指示される。
座って待っているとすぐに準備ができたとのこと。お風呂のタオルを受け取って、1階のレストランに行く。
さすが大きなホテル、朝食を食べている人が二人もいた。大盛況ですな。
コロナ前ならビュッフェだったのだが、現状は定食スタイルになっている。個人的にはビュッフェより定食の方が落ち着いて食べられるので良いのだけど、ホテル側はビュッフェの方が良いと思っているらしい。昨夜電話した時にも申し訳なさそうに案内された。
ちなみに別府ではビュッフェとは言わないで、「バイキング」というらしい。未だかつて、「バイキング」と銘打っていて、北欧海賊料理を食べた経験は一度もない。
朝食を食べているうちに、他にも二人お客が来た。さすが大きなホテル。
定食形式と言っても、おかずの種類も多く、オレンジジュースやコーヒーなどの飲み物も用意されている。メインのおかずは焼き魚(シャケ)と鶏天、鶏の天ぷらは大分名物料理の一つ。いきなり名物料理で歓迎してくれるとは芸が細かい。ご飯もお代わりして、朝からお腹いっぱいになる。朝食はさっさと済ませて、お風呂に行くことにした。
大浴場に行ってみると、誰もいなかった。完全な貸し切り状態。
まずは露天風呂に行ってみることに。
大きな岩をいくつも使った岩風呂になっていて、かけ流しの温泉が滾々と注ぎ込まれている。湧出温度が高いので、温度調節に水を加えているらしい。お天気は良く空は晴れていて日光が降り注いでいる。その中贅沢に一人で岩風呂を楽しむ。湯船の大きさから言えば10人ぐらいは同時に入れるだろうか、ホテルの規模からいって、200人ぐらいの宿泊ができるのかもしれない。多客期には大勢のお客でにぎわうのだろう。
そのあと、内風呂にも入ってみる。こちらは「ひのき風呂」。さらに大きく20人ぐらいは同時に入れそう。勿論独り占めする。その横にジャグジーがあって、こっちは冷たい。冷泉が注がれているのだろうか、入ってみる。泡がブクブク出ていて、熱くなった身体が程よく冷やされて気持ちよい。
もう一度、岩風呂で身体を温めてからあがることにした。
別府初日から素晴らしい温泉に当たり気分も上々。
http://www.pastoral.jp/hotspring
温泉のページのリンクはこちら。
別府に行ったら立ち寄る温泉としては、もっと良いところが沢山あるので、必ずしもお勧めというものでもないのだけど、サンフラワー利用だと朝食セットが用意されているので選択肢の一つだと思う。ちなみに、冷泉だと思ったのは、ただの水風呂だった。泡はブクブク出ていたがこれは単に空気を噴射していただけかもしれない。炭酸ガスかなあ?ちょっと分からない。
ひと風呂浴びて気持ち良くなったので、今晩泊まる「眺望の宿しおり」を目指すことにした。入ってきたときとは反対側の「境川」の方に出る。
看板が出ていて、この境川沿いの遊歩道は「鶴見岳一気登山道」になっているらしい。鶴見岳は活火山で、標高1375m。別府の街を見下ろしている。
別府の街そのものは中央構造線北に位置している。有馬や道後温泉も中央構造線の北に位置する温泉だが、九州に入ると活発な火山が多くあり、必然的に温泉が沢山湧いている。時間があれば鶴見岳にも登ってみたいところだが、あいにくの梅雨の季節、天候的には微妙な時期である。
この登山道を下る形で「鶴高通り」に戻ると「境川小学校前」のバス停がある。バス停で時刻表を確認すると5分後ぐらいに別府駅行きのバスがあるので利用することにした。
すぐに時刻表通りにバスが来る。手を挙げて「乗る乗るオーラ」を出す。
日本では、バス停に人が待っていると必ずバスが停まる。という親切設定なんだが、海外に行くとこの「乗る乗るオーラ」は必須。出さないとバスが停まってくれないことの方が多い。日本みたいに定時運行していないバスも多いのは当たり前なので仕方ないのかもしれないが、なんとなく乗る乗るオーラを出す方がバスの運転手に対して親切なのでは、と思って最近はそうしている。
バスに乗ったらスマホを開けて、次々とやってくるポケストップを回していく。今回の旅では町中にあるポケストップを全て回す勢いでやることにした。路線バス乗車はそのためにかなり有効な手段。
ただ、忙しい。ポケストップを回すとすぐに手持ちのアイテムがいっぱいになるので、どんどんモンスターボールを捨てていく。そして、この旅でのもう一つの目的が「たまごを一個かえす」のタスクを取得すること。ポケストップを回して違うタスクが出るとそれも捨ててしまう。
ちょうど、「ストライクを一匹進化させる」のタスクで止まっていて、この一か月ほどさんざんストライクが出る公園なんかを歩きまわったのだが成果がほとんど出ていなかった。ところが、むしポケモンのイベントがあって、「たまごを一個かえす」の報酬ポケモンがストライクになったので、この機会に一気に「ストライクのあめ」を集めて行こう、という目論見。
バスは「鶴高通り」を真っすぐ南へ進んで行く。駅までは乗らないで「ホテル白菊前」で下車。今度は逆向きのバスに乗れば良いのだが、さてどのバスに乗れば良いのかは微妙に分からない。
通行人に聞いてみることにする。
「明豊キャンパス前に行くバスってどれに乗れば良いですか?」
とおじいさんに尋ねると、
「どこへ行くの?」
と聞き返される。
「眺望の宿しおり、です」
と答えると、
「ちょうど同じ方へ行くので一緒に乗りましょう」
と、親切に教えてくれた。
そのおじいさんの説明だと、「明豊キャンパス前」より一個先のバス停で降りる方が近いとのこと。
バスはまたすぐに来た。別府市内の路線バスはかなり使える。バスに乗り込むと運転手さんが、「扇山団地行きですけど良いですか?」と2回ほど尋ねてきた。
いいも悪いも、おじいさんの言われた通りにバスに乗っただけで、分からんのだが、、、
でかいバックパック背負っているしね。観光地に行かないバスに乗ると、運転手さんも気になるんだろう。今回は乗る乗るオーラも出さなかったし。
また、ポケストップを回しながらバスが進んで行く。実際にはバスが速すぎて回せないところもあるのだが、とにかくバスに乗ると忙しい。
おじいさんにお礼を言って、
「中津留」というバス停で降りる。
グーグルの地図で確認してみると、大分違う場所にバス停が載っている。実際には、「ローソン別府南立石一区店」の前にバス停があって、宿までは徒歩で3分ほどの場所だった。この後「中津留」のバス停とそこを通る「3番」のバスは何度も使うことになる。
バス停から宿までの道沿いに「九尾温泉」という温泉があったが、結局この温泉には入らなかった。営業時間など分からないが、地元の人たちが利用する共同浴場の様子。
宿はすぐに見つかり、荷物を預かってもらうことにした。フロントの対応はとても丁寧で感じは良い。3階建てのこじんまりとした宿。
装備をナップサックに変えて、別府の「地獄めぐり」に出かけることにした。
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